まだ終わってはいない消尽論争。

消尽論という熱いテーマを争点に抱えていたキヤノン・インクカートリッジ訴訟がどうやら終幕を迎えようとしている。


最高裁第一小法廷(横尾和子裁判長)が判決期日を11月8日に指定。

「結論を見直す際に必要な弁論が開かれなかったことから、リサイクル品の輸入・販売差し止めと廃棄を命じたキヤノン側勝訴の二審・知的財産高裁判決が確定する見通し。」(日本経済新聞2007年11月2日付朝刊・第11面)

ということで、あっと驚かされるような結論はもはや望めないようだ。


知財高裁でリサイクル・アシスト社を敗北させた「生産アプローチ」に乗っかる限り「特許の本質的部分」かどうかは単なる事実認定の問題に陥ってしまうし、かといって「環境保全」の観点をいかに強調しても、それで最高裁の裁判官を説得できるとはとても思えなかったから、上告が通っただけでも御の字なのかもしれないが、知財高裁判決時の盛り上がりを考えると、ちょっとあっけないような気もする。



もっとも、結論が変わらないからといって、判決に対する関心が失われるわけでは(当然)ない。


知財高裁の、それも「大合議」が打ち立てた2類型が維持されるのか*1、それとも、最高裁で別の論理が示されるのか。


大合議にかかった事件に対して、最高裁が判決を書くのは(おそらく)初めてのことだけに、2類型があっさりひっくり返ってしまっては、「大合議」の威厳、ひいては存在価値が問われかねない。


一方で、いろいろと批判のある折衷2類型をそのまま維持してしまうのも、どうかな・・・?という意見はあるところだろう。


筆者の勘では、「とりあえず第2類型には該当するので・・・」と、他の類型については論じることなく、結論を出して終わりそうな気もするのだが、果たしてどうなるか、興味は尽きない。


なお、2006年の2月、筆者がネタ半分で書いた、

「試験対策の観点からすれば、本判決のような“緻密すぎる規範”を消尽成否の判断基準として暗記させられる受験生が気の毒なので、今後実質的に今回の判断を維持するにしても、せめて最高裁にはもう少し、圧縮した規範の定立を望みたいものである(笑)。」*2

というコメント。


中の人、みてるかなぁ・・・(笑)。

*1:余談だが、今回の日経の記事は優秀な記者の方が書かれたのだろう。高裁判決の要旨がコンパクトにまとめられていて高く評価できる。

*2:http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20060207/1139328698#tb

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