QC活動にメス

社員の労災事件で、名古屋地裁がQC活動を業務認定した衝撃がよほど大きかったのか、トヨタ自動車QCサークルに対して残業代を全額支払う方針を固めたそうである。


世の中のQC活動の実態を見れば賃金を支払うのは当然のことだし、上記のような潮流にも違和感はない。


だが、元々QC活動は「自主的な取り組み」として、現場レベルで行うことに意味があったはずで(というかそれが人事屋さんが好んで用いるフレーズだったw)、それを「業務」と位置付けてしまうのであれば、もはや「QC」独自の存在意義などなくなってしまうのではないかと思うのであるが、このあたり、世の人事労務系の方々はどのようにお考えなのだろうか・・・?(笑)。




ちなみに、自分は「自主的な取り組み」と謳いつつ人事考課と密接に結びついている(しかもポジティブな評価に用いるだけでなく、いわば会社への忠誠心を試すメルクマールとして、参加しない人間に不利益な査定を課すための材料にする)生臭さや、会社の経営政策の本質的な欠陥に起因して生じている問題事象を、小手先の“現場レベルの改善”によってごまかそうとする姑息さを苦々しく思っていたこともあって、入社以来この種の活動はサボタージュするのが常であった*1


仕事と個人の生活の境界線を曖昧にしてしまう、という意味でも、この種の活動は「昭和的価値観」(城繁幸氏のフレーズを拝借)の遺物として葬り去られて然るべきものだろう、と個人的には思っている。


もちろん、現場レベルの視点での緻密な問題抽出は重要だし、大した裁量や権限も与えられず、日々機械的業務に従事している現場の社員がこういった活動を主体的に行うことで、数少ない仕事への“前向きな”モチベーションが生まれる、という側面はあるのだが、そういった効果を達成したいのであれば、「半強制的な“自主的取り組み”」によるではなく、もっと根本的かつ効率的なやり方があるはずだ。


旧態依然とした慣行を見直すためのせっかくの良い機会なのだから、単に「残業代を支払う」という後ろ向きな解決策にとどめるのは勿体ないのでは? と思うのであるが、果たして各企業がこれから変わっていけるのか、注目したいところである。

*1:不良社会人の戯言なので、良い子の皆様にはお勧めしないがw

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