シアトル・マリナーズのイチロー選手が、大リーグ移籍初年度から「9年連続200本安打」という偉業を達成した。
残り試合数を考えれば、間違いなく達成できるのは分かっていても、決まるまではどうしても冷や冷やしてしまうのが見ているものの心理。
しかも、本人が意識過剰になるせいか、190本台の後半になると急に安打量産ペースが落ちる、というのがこれまでの8年間の“お約束”で、今年もご多分に漏れずスローペースに陥っていた上に、故障での数試合欠場、という例年にない事態が発生していたこともあって、例年以上に冷や冷やさせられた。
試合後にイチロー選手が残した
「解放されましたね。解放というのは人(キーラー)との戦いというか争いですね。終わりを迎えることができたことから来る、解放です」
というセリフは、彼の偉業とともにこの先ずっと語り続けられることになるのだろうけど、ヒットを打つ才能に関しては比肩する者のないようなスーパースターでも、口述試験後の司法受験生と同じような(笑)*1素朴な開放(解放)感を味わっているのか、と思うと、余計に親近感がわいてくる*2。
それにしても、今年のシーズン開幕前、WBCでの彼の極度のスランプや、開幕早々の欠場、といった報に接して、「9年連続200本安打」などというハッピーな結果を想像できた野球ファンはどれだけいただろうか?
沈黙の後に訪れた“例年以上に凄い”ヒット量産劇を、能天気な一般メディアは、例年と同じく、何事もなかったかのように淡々と報じていたが、自分にとってはこれが今年一、二を争うサプライズであった。
“人間イチロー”が春先のハードラックをどうやって克服していったのか。
いずれ、シーズンが終われば、各種スポーツメディアで彼のコメントが取り上げられる機会も増えると思うが、今はシーズンの行く末を見ながら*3、あれこれ想像を巡らせておくことにしたい。