最高裁判事の本音?

日経新聞の日曜書評面で、元最高裁判事が書かれた一冊の本が紹介されていた。


最高裁判所は変わったか―一裁判官の自己検証

最高裁判所は変わったか―一裁判官の自己検証


少し前に出版されたもののようだが、書評欄でのコメントを読む限りいろいろと興味深い内容のようである。

「これまで何冊か出た最高裁裁判官の回顧録と比べた本書の特徴を考えてみた。1つは、ここ10年ほどの最高裁の法律判断が国民の権利擁護を重視する方向に変化してきたことを跡づける形で、自分が関与した裁判に限定せず、判例の評釈をしたのが目新しい。」
「著者の姿勢にも特徴を見いだせる。それは最高裁の仕事を在野の法律家の視点から批判的に振り返っていることと、年間2千件に及ぶ裁判の処理に追われる日々の折節に覚えた「これでよいのか」の迷いや悔いを明かす率直さである。」
(以上、日本経済新聞2009年9月13日付朝刊・第22面)

滝井氏が最高裁判事を務められた平成14年6月〜平成18年10月という時期は、いわゆる“泉コート”(第一小法廷)を中心に最高裁発の大胆な判決が業界を賑わせていた時期だし、当の滝井判事ご自身が、貸金業規制をめぐる判例形成に大きな影響を与える判決に関与されていた、というのも記憶に新しい。


それゆえ、この時代の最高裁の“考え方”の一端を知らしめてくれるような文献はそれ自体貴重なわけで、自分も機会があれば一度本屋で手に取ってみたいと思える一冊だと言えるだろう。


ちなみに、最近、元・最高裁判事の中で比較的積極的にご意見を述べられている方としては、福田博氏(外交官出身,平成7年9月〜平成17年8月)などもいらっしゃるところであるが、個人的にはやはり、一つの時代を作った泉徳治・元最高裁判事(前職は東京高裁長官,平成14年11月〜平成21年1月)や、泉・元判事と同じ小法廷で、任期中に自らのご意見を大きく転回された横尾和子・元最高裁判事(平成13年12月〜平成20年9月)といった方々に、在任中の思いを是非とも記していただきたいものだ、と思っているところである。


世襲政治家がなぜ生まれるのか?

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