これも一つの決着

先日の選挙で再投票にもつれ込んだ日弁連会長選挙。


同じ顔ぶれで再選挙が行われた、ということで、再び膠着状態に陥ることも十分予想される状況だったわけだが*1、思いのほかあっさり決着が付いたようである。

「日本弁護士連合会の次期会長選挙の再投票が10日に実施され、東京弁護士会宇都宮健児氏(63)が、同会の山本剛嗣氏(66)を破り、今年4月から新会長に就任することが決まった。任期は2年間。宇都宮氏は司法試験合格者数の大幅削減などを訴え、支持を集めた。」(日本経済新聞2010年3月11日付朝刊・第1面)

一般のメディアでは、宇都宮弁護士の「弁護士増員反対」という主張*2ばかりがクローズアップされていたこともあって、この日の日経紙では「内向きの日弁連では困る」という小見出しの手厳しい社説が早速掲載されているし、この後もしばらくは同様の批判が世の中の至るところで展開されることが予想される。


そして、今回の選挙結果に関し、同じ切り口で上記のような表層的な一面だけを捉えるなら、自分の感想も巷のメディアとそんなには変わらない、というほかない*3



もっとも、前回の投票後、何人かの知り合いの弁護士に話を聞く機会があったことなどもあって、自分は今回の結果に対し、ちょっと違った印象も抱いている。


すなわちそれは、

勝った候補の「司法試験合格者数」云々といった主張よりも、「脱・派閥のイメージ」の方が、今回の会長選の投票行動に与える影響が大きかったのではないか。

というものだ。


「時計の針を戻すような話に興味はないが、きな臭いしがらみは少なそうな人だから・・・」


という理由から、(最終的に)勝った候補に入れた、という類の話を聞いたことも、決して一度や二度ではなかったわけで。



表面的なところを捉えて批判するのは簡単。


でも、それだと余りに能がなさすぎるから、メディアにしても何にしても、この先もう少し様子を見てあげても良いのではないかな・・・と個人的には思っているところである。

*1:http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20100206/1265530066

*2:そもそも、「司法試験合格者数の削減」と「弁護士増員反対」は必ずしもイコールではないので、このような主張の要約が適切なものといえるかどうかも、実は怪しいのだが・・・。

*3:今、一部の人々が声高に唱えている「増員反対」論は、当の職業集団に属する者以外の人々に対する説得力が極めて弱いものというほかないし、それが、当該職業集団に属する人々の多数の声であるかのように報道されることによって、当該職業集団が失ったものは決して少なくないと思う。なお、後述するように、自分は今回の宇都宮候補の勝因が「増員反対」の一点にあったとは思っていないし、弁護士の方の中にも、増員を前提に法曹の裾野の拡大に尽力されている方々が未だ多くいる、ということは(当該職業集団の名誉のためにも)看過して欲しくないと思っているところである。

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