最高裁判所裁判官・国民審査対象各裁判官の個別意見について(2014年版)

前回の総選挙からちょうど丸2年が経とうとするタイミングで、再び訪れた審判の時。
そして、それに合わせて行われるのが、最高裁裁判所裁判官の国民審査である。

いつも言われているとおり、一般市民にとっては限られた情報しかない状況で、特定の人に「×」を付ける、というのは、極めて難解な作業であるのは間違いないわけで、多くの場合は「白票」(=信任票)を投じることになるわけだが*1、同じ「白票」を投じるにしても、それぞれの裁判官がこれまでに表明されたご意見について、ある程度前提知識を持ってから投票所に行った方が、多少なりとも“義務を果たした感”を得られるのではないか、と思う。

実に10名の裁判官が対象となった前回の国民審査*2に比べると、今回は、前回の国民審査からの間隔が短いこともあって、対象となる裁判官はその半分の5名、さらに、任命から一番日が経っている裁判官(鬼丸かおる裁判官)でも約1年10か月、最も日が浅い裁判官(池上政幸裁判官)となると僅か2か月少々、という短い在任期間の中での評価、ということになるので、このエントリーでお示しする「個別意見」が、どこまで情報として参考になるかは心許ないのだが、それでも国政選挙をめぐる2度の大法廷判決における個別意見等、一定の切り口から見れば、個々の裁判官の特徴が垣間見えるところもあるので、以下、ダイジェスト形式でご紹介していくことにしたい*3

第一小法廷

金築裁判官(裁判官出身)や櫻井裁判官(行政官出身)が積極的に補足意見を書かれており、DNA鑑定に基づく親子関係不存在確認請求事件(最一小判平成26年7月17日)では小法廷が「3対2」に分かれて意見が飛び交うなど、最高裁随一の活気を感じる第一小法廷だが、今回対象となる池上裁判官は、前回の国民審査の対象となった横田尤孝裁判官の後任として今年の10月に就任したばかり、ということで、残念ながら評価対象となる個別意見は見当たらなかった*4

池上政幸(検察官出身)

平成26年10月就任、平成31年退官予定

個別意見見当たらず。

第二小法廷

3つの小法廷の中では、最も個別意見が出る機会が少ないところなのだが*5、今回対象となっている、鬼丸裁判官、山本裁判官のいずれも、「一票の格差」をめぐる大法廷判決では、個性的な反対意見を書かれており、今後、小法廷の事件においても、存在感を発揮される可能性は高いように思われる。

鬼丸かおる(弁護士出身)

平成25年2月就任、平成31年退官予定

意見
最大判平成25年11月20日(H25(行ツ)226/H25(行ツ)209)*6
平成24年12月16日施行の衆議院議員総選挙について、小選挙区選挙の選挙区割りに関する公職選挙法の規定は憲法に違反し無効であるから、これに基づき施行された本件選挙の上記選挙区における選挙も無効である、と主張して提起された選挙無効訴訟において、「本件選挙区割りは,前回の平成21年選挙時と同様に憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったものではあるが,憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず,本件区割規定が憲法14条1項等の憲法の規定に違反するものということはできない。」として、選挙の違法性を否定した多数意見に対し、「多数意見の結論に賛同する」としつつ、投票価値について「憲法は,衆議院議員の選挙について,国民の投票価値をできる限り1対1に近い平等なものとすることを基本的に保障しているものというべき」と述べ、さらに国会の裁量権について、「(選挙制度について)国会が具体的に決定するに当たっては,投票価値の平等を最大限尊重し,その較差の最小化を図ることが憲法上要請されて」おり、技術的に不可避な較差が生じる場合には「それが生ずる理由を明らかにした上で,当該理由を投票価値の平等と比較衡量してその適否を検証すべきものである」という新しい基準を提唱した*7
なお、「多数意見の結論に賛同」した理由としては、「国会が上記判決(注:平成21年総選挙に関する平成23年大法廷判決)から本件選挙施行までの約1年9か月の間に,多数意見において必要とされる内容の改正のみならず,私が憲法上の要請と考えるところのできる限り1対1に近い投票価値の平等を実現するために上記のような選挙区割りの是正作業を行うことは相当に困難」であることを挙げている*8

反対意見
最大判平成26年11月26日(H26(行ツ)155、156/H25(行ツ)78、79)*9
平成25年7月21日施行の参議院議員通常選挙について、選挙区選出議員の議員定数配分規定は憲法に違反し無効であるから、これに基づき施行された本件選挙の上記各選挙区における選挙も無効であると主張して提起された選挙無効訴訟において、「本件定数配分規定の下で、選挙区間における投票価値の不均衡は、・・・違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものではあるが,本件選挙までの間に更に本件定数配分規定の改正がされなかったことをもって国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず,本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできない。」として選挙の違法性を否定した多数意見に反対し、「本件定数配分規定は憲法に違反するものであり、本件定数配分規定に基づいて施行された本件選挙も違法であるから、その違法を宣言すべきである」と述べた。
理由としては、「選挙人は1人1票の等価値の選挙権を有するとすることが憲法の要請するところである」「選挙区及び定数配分の具体的な設定に当たっても・・・できる限り1対1に近い投票価値の平等の実現が憲法上求められる」という原則を挙げた上で*10「国会は、遅くとも平成21年大法廷判決が示された平成21年9月30日の時点で、選挙制度の仕組み自体の見直しが必要であることを認識し得たということができる」*11とし、本件選挙を違法なもの、と結論づけている。
なお、選挙の効力については、憲法の予定する立法権司法権の関係に鑑み,司法が直ちに選挙を無効とするとの結論を出すのではなく,まず国会自らによる是正の責務の内容及びこれを速やかに実現する必要性を明確に示すことが相当であると思料される。そして,今後の進捗の状況等を注視し,その是正が速やかに行われない場合には,司法が選挙の効力に関して上記の結論につき決する新たな段階に歩を進めるのが相当であろう。」という見解を示している。

山本庸幸(行政官出身)

平成25年8月就任、平成31年退官予定

反対意見
最大判平成26年11月26日(H26(行ツ)155、156/H25(行ツ)78、79)*12
平成25年7月21日施行の参議院議員通常選挙について、選挙区選出議員の議員定数配分規定は憲法に違反し無効であるから、これに基づき施行された本件選挙の上記各選挙区における選挙も無効であると主張して提起された選挙無効訴訟において、「本件定数配分規定の下で、選挙区間における投票価値の不均衡は、・・・違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものではあるが,本件選挙までの間に更に本件定数配分規定の改正がされなかったことをもって国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず,本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできない。」として選挙の違法性を否定した多数意見に反対し、「選挙は違憲無効である」という意見を示した*13
一票の格差」については、「現在の国政選挙の選挙制度において法の下の平等を貫くためには,一票の価値の較差など生じさせることなく、どの選挙区においても投票の価値を比較すれば1.0となるのが原則であると考える。その意味において、これは国政選挙における唯一かつ絶対的な基準といって差し支えない。」という厳格な基準を、また選挙の効力については、「国政選挙という代表民主制を支える最も重要な制度の合憲性が争われる争訟において、裁判所がこれを違憲と判断しながら当該選挙を無効とせずに単に違法の宣言にとどめるということが、法律上の明文の根拠もなく許されるものであるかどうか、私には甚だ疑問に思えてならない。」「選挙制度憲法への適合性を守るべき立場にある裁判所としては、違憲であることを明確に判断した以上はこれを無効とすべきであ」るという強い姿勢を示したうえで、「無効とされた選挙において一票の価値*14が0.8を下回る選挙区から選出された議員は,全てその身分を失うものと解すべきである。」等の具体的な提言を行っている。

第三小法廷

6年半にわたって補足意見を書き続けた田原睦夫裁判官(弁護士出身)が、昨年4月に退任して以降は、比較的落ち着いた感のある第三小法廷だが、後任の木内裁判官も、親族法に関する注目事件での補足意見をはじめ、比較的積極的に意見を書かれている印象がある。一方、山崎裁判官は、今年の4月に就任されたばかり、ということもあって、個別意見を目にする機会は多くない。

木内道祥(弁護士出身)

平成25年4月就任、平成30年退官予定

補足意見
■最三小決平成25年12月10日(H25(許)5)*15
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に基づき男性への性別の取扱いの変更の審判を受けた抗告人X1と、その後抗告人と婚姻をした女性である抗告人X2が、抗告人X2が婚姻中に懐胎して出産した男児Aに関し、父の欄を空欄とする等の戸籍の記載の訂正許可を求めた事案において、民法772条(注:嫡出推定の規定)による推定の趣旨は、嫡出否認の訴えによる以外は夫婦の間の家庭内の事情、第三者からはうかがうことができない事情を取り上げて父子関係が否定されることがないとすることにあるのであるから、血縁関係の不存在が明らかであるとは第三者にとって明らかである必要があるが、夫が特例法の審判を受けたという事情は第三者にとって明らかなものではなく、嫡出推定を排除する理由には該当しない。」「 子の利益という場合,抗告人らの子にとっての利益だけでなく,今後に生まれるべき子にとっての利益を考える必要がある。」として、高裁決定を破棄し、戸籍の訂正を認めた決定を支持する補足意見を述べた*16
また、民法についていえば、高度化する生殖補助医療など立法当時に想定しない事象が生じていることはいうまでもない。それに備えてきめ細かな最善の工夫を盛り込むことが可能であるのは立法による解決であるが、そのような解決の工程が予測できない現状においては、特例法および民法について、解釈上可能な限り、そのような事象も現行の法制度の枠組みに組み込んで、より妥当な解決を図るべきであると思われる。」という基本的な考え方も示している。
■最三小判平成26年1月14日(H23(受)1561)*17
血縁上の父子関係がないことを知りながら上告人を認知した被上告人が、上告人に対して認知の無効の訴えを提起した事案において、「実親子関係が公益および子の福祉に深くかかわるものであり、一義的に明確な基準によって一律に決せられるべきであることは、認知による父子関係についても同様であ」り、「錯誤無効を認める場合,錯誤者に重大な過失があれば無効を主張できず,血縁関係についての錯誤ではない動機の錯誤であっても表示されていれば要素の錯誤となり無効を主張できるという錯誤についての法理が適用されないとする根拠はなく、これが、前記の一義的・一律に親子関係が決せられるべきとの要請に反することは明らか」として、血縁上の父子関係がないことを知って認知した者による認知無効請求を認めた判決を支持する補足意見を述べた*18
■最三小判平成26年7月29日(H25(受)78)*19
「元利均等分割返済方式」による金銭消費貸借契約に関し、不当利得返還請求権に基づき返還を求める過払金の額が争われた事案において、将来発生する利息への充当を否定した判決(破棄差戻し)を支持する補足意見を述べ、合わせて「約定分割返済額の超過支払額を将来発生する利息に充当する当事者間の合意がなされたか否かなどの特段の事情の有無を判断するについては、このような将来利息への前倒し充当がもたらす効果を考慮する必要がある。」という見解を示した。
■最三小判平成26年10月28日(H24(受)2007)*20
破産会社から無限連鎖講による配当金を受けた者に対し、破産会社が不当利得返還請求権に基づき返還を求めた事案において、民法708条の不法原因給付にあたることをもって返還を拒むことは信義則上許されない、として返還請求を認めた判決(破棄自判)を支持し、「破産管財人の返還請求を認めないとすれば、他の会員の損失の下に本件事業により相当額の利得を得た者がその利得を保持し続けることを許容することになる」という法廷意見の理由に、「本件における破産管財人の返還請求はそのような結果を回避して、損失を受けた会員を含む破産債権者など利害関係人の権利関係を適切に調整するためのものである」という理由も付加する補足意見を述べた。

反対意見
最大判平成25年11月20日(H25(行ツ)226/H25(行ツ)209)*21
平成24年12月16日施行の衆議院議員総選挙について、小選挙区選挙の選挙区割りに関する公職選挙法の規定は憲法に違反し無効であるから、これに基づき施行された本件選挙の上
記選挙区における選挙も無効である、と主張して提起された選挙無効訴訟において、「本件選挙区割りは,前回の平成21年選挙時と同様に憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったものではあるが,憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず,本件区割規定が憲法14条1項等の憲法の規定に違反するものということはできない。」として、選挙の違法性を否定した多数意見に対し、憲法上要求される合理的期間内における是正・・・がされておらず,本件区割規定は違憲であると考える。」と反対意見を述べた上で、「違法である旨を宣言するが選挙は無効としないこととするのが相当」という見解を示した。
合理的期間の経過に関する意見の理由としては、「国会が憲法上要求される合理的期間内における是正を行ったか否かの判定は、国会が立法府として合理的に行動することを前提として行われるべきである。」という前提に立ったうえで、「本件選挙の実施までには平成23年大法廷判決から1年9か月の期間があり、この期間は、区割基準の改正を経て具体的な選挙区割りの決定に至るまでには二段階の法改正が必要であることを考慮しても、国会が立法府として合理的に行動する限り、前記のとおり同判決において方向を指し示された改正の作業を行うための期間として不足するものとはいえない。」と述べている。また、選挙の効力については、「違法宣言にとどめる」という従来型の解決策を取りながらも、「訴訟の対象とされたすべての選挙区の選挙を無効とするのではなく、裁判所が選挙を無効とする選挙区をその中で投票価値平等の侵害のごく著しいものに限定し、衆議院としての機能が不全となる事態を回避することは可能である」という見解を示し、「区割規定が違憲であることが司法判断によって確定しながら国会による改正が行われないまま選挙が繰り返し行われ、その結果として、選挙が無効とされるような事態が杞憂に終わることを切に期待するものである。」と付言している。
最大判平成26年11月26日(H26(行ツ)155、156/H25(行ツ)78、79)*22
平成25年7月21日施行の参議院議員通常選挙について、選挙区選出議員の議員定数配分規定は憲法に違反し無効であるから、これに基づき施行された本件選挙の上記各選挙区における選挙も無効であると主張して提起された選挙無効訴訟において、「本件定数配分規定の下で、選挙区間における投票価値の不均衡は、・・・違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものではあるが,本件選挙までの間に更に本件定数配分規定の改正がされなかったことをもって国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず,本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできない。」として選挙の違法性を否定した多数意見に反対し、「(違憲状態は)国会の裁量権の限界を超えるものであり、本件選挙時において本件定数配分規定は違憲であった」とする意見を述べた。
理由としては、過去の大法廷判決の判断内容を分析した上で、「国会が違憲状態にあることを平成24年大法廷判決の言渡しに至るまで認識することができなかったと断ずることが相当とは思われない。」と述べたほか、そもそも論として「国会の裁量権の限界を検討するに当たって、国会の選挙制度の見直しに関する具体的な立法能力あるいは立法意欲を国会の外から推し量ることは行うべきではない」「国会の合理的な立法活動として、投票価値の較差の是正が本件選挙までになされなかったことを、違憲状態の解消はできるだけ速やかになされるべきであるという観点から是認できるか否かという問題であり、そういう事柄として判断すべきものである。」という見解も示している。
また、選挙の効力については、「議員一人当たりの選挙人数が少ない選挙区からその少ない順位に従って選挙を無効とする選挙区を選定すべきである。」という方法まで踏み込んで提言しているものの、「議員一人当たりの選挙人数が少ない選挙区からその少ない順位に従って裁判所が選挙を無効とする選挙区をどれだけ選定すべきかの規律は、選挙を無効とされない選挙区の間における投票価値の較差の程度を最も重要なメルクマールとすべきと思われるが、この規律は、いまだ熟しているということはできない。」ということから、上記のとおり、「違法宣言」に留めている。

山崎敏充(裁判官出身)

平成26年4月就任、平成31年退官予定

補足意見
最大判平成26年11月26日(H26(行ツ)155、156/H25(行ツ)78、79)*23
平成25年7月21日施行の参議院議員通常選挙について、選挙区選出議員の議員定数配分規定は憲法に違反し無効であるから、これに基づき施行された本件選挙の上記各選挙区における選挙も無効であると主張して提起された選挙無効訴訟において、「本件定数配分規定の下で、選挙区間における投票価値の不均衡は、・・・違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものではあるが,本件選挙までの間に更に本件定数配分規定の改正がされなかったことをもって国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず,本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできない。」として選挙の違法性を否定した多数意見を支持する立場から、櫻井、金築、岡部、山浦の4裁判官との連名で、「今後国会において具体的な改正案の集約と収斂に向けた取組が着実に実行され、同附則の前記の定めに従って、平成24年大法廷判決及び本判決の趣旨に沿った選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置ができるだけ速やかに実現されることが強く望まれる」という趣旨の補足意見を示した。

おわりに

以上、今回国民審査の対象となる裁判官の個別意見について、なるべく主観を排しつつ*24、ご紹介させていただいたつもりである。

いつも国民審査に合わせて“キャンペーン”を張っている「一人一票実現国民会議」のサイト*25では、今回も一部の裁判官について、「×」推奨を行っているようであるが*26、法律の世界の“プロ”&“セミプロ”の皆様にとって、本エントリーがまた違う切り口から、国民審査において投じる「一票」について、考える手がかりとなれば、望外の幸いである。

*1:そして、民主主義の誤謬をチェックする、という最高司法機関の役割や、事後的なネガティブチェック、という「国民審査」の性質を考えるならば、自分はこれで良いと思っているわけだが。

*2:前回の国民審査については、http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20121215/1355569304のエントリーをご参照のこと。

*3:なお、ここに挙げたのは、最高裁のHPで検索できる判決の個別意見に限られており、最高裁HPに掲載されなかった判決は原則として対象としていないことにご留意いただきたい。

*4:就任直後に判決が出された平成25年参院選の「一票の格差」を巡る大法廷判決には関与しているのだが、さすがにこのタイミングで個別意見を書くのは難しいと思われ、それをもって評価材料とするのは、少々気の毒な気がする。

*5:千葉裁判官(裁判官出身)、小貫裁判官(検察官出身)が時折補足意見を書く程度であり、反社会的勢力によるゴルフ場利用等の詐欺罪の成否を巡る事件で小貫裁判官が反対意見を書いたのを除けば、この2年の間、小法廷ではほぼ全員一致で結論が出ている。

*6:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/744/083744_hanrei.pdfなど。

*7:多数意見が、「憲法上,議員1人当たりの選挙人数ないし人口ができる限り平等に保たれることを最も重要かつ基本的な基準とすることが求められているというべきであるが,それ以外の要素も合理性を有する限り国会において考慮することが許容されているものと解される」として、国会に一定の裁量権を認めていることに比べると、より国会の裁量権の幅を狭く解する基準だと評価されるものである。

*8:鬼丸裁判官は、「行うべき作業」として、多数意見が述べる「1人別枠方式の廃止」にとどまらず,「都道府県への選挙区数の配分,各都道府県における選挙区割りの見直し、その結果についての全選挙区の選挙人数を比較対照した上での再度の選挙区割りの見直し」といったものも挙げている。

*9:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/647/084647_hanrei.pdfなど

*10:この過程で鬼丸裁判官は「参議院の特殊性」を強調する見解にも個別に言及し、「少人口地域の居住者という要素のみを投票価値に反映させることに合理性を認めることには、著しい困難があるといえよう」等、踏み込んだ意見を述べている。

*11:多数意見は、平成22年参院選に関する平成24年大法廷判決が出た時を基準として、平成25年参議院選挙までに改正がなされなかったのもやむを得ない、という評価をしているのだが、鬼丸裁判官の意見は、国会の「認識」をさらに遡ったところに求めるものであるといえる。

*12:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/647/084647_hanrei.pdfなど

*13:この大法廷判決に対しては、大橋、鬼丸、木内、山本の4裁判官が反対意見を付しているが、「違法宣言」にとどまらず、「選挙を無効とすべき」というところまで踏み込んだのは、山本裁判官のみである。

*14:山本裁判官は、これを「各選挙区の有権者数の合計を各選挙区の定数の合計で除して得られた全国平均の有権者数をもって各選挙区の議員一人当たりの有権者数を除して得られた数」によって算定している。

*15:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/810/083810_hanrei.pdf

*16:この決定に対しては、岡部、大谷両裁判官による反対意見が付されており、「3対2」の僅差で結論が出された事案であった。

*17:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/877/083877_hanrei.pdf

*18:この判決に対しては、大橋裁判官の反対意見が付されている。

*19:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/341/084341_hanrei.pdf

*20:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/582/084582_hanrei.pdf

*21:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/744/083744_hanrei.pdfなど。

*22:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/647/084647_hanrei.pdfなど

*23:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/647/084647_hanrei.pdfなど

*24:とはいえ、あまりに取り上げる“サンプル”が少なかったゆえに、2年前のエントリーに比べると少々主観的な記述を交えざるをえなかったところはあり、この点はご容赦いただければ幸いである。

*25:http://www.ippyo.org/topics/2011090102.html

*26:個人的には、彼らの主義・主張に照らしても、そこで表明されている「印」の付け方が正しいのかどうか、首を傾げたくなるところはあるのだが、そこは読者の皆様のご判断に委ねることとしたい。

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