ブブゼラの音色を聞いて思いだすもの。

W杯が始まって一週間くらいになるが、誰に聞いても、あの“ブブゼラ”の音はちょっとね・・・というコメントが返ってくることが多い。


確かにブブブブという、あのハエのような音を聞いて愉快に思う人はそんなにいないだろうし、サッカー観戦に親しんでいる人間としては、試合開始から終了までメリハリなく、のべつまくなしに吹き鳴らされることへの不快感を感じることも多いだろう*1


W杯期間中連載されている武智幸徳氏のコラムは「ブブゼラの響き」というタイトルになっているにもかかわらず、16日朝刊の同コラムの中では、ブブゼラの音を“騒音”と断言したうえで、

南アフリカの人々にとって、ブブゼラを吹きながらサッカーを見ることは大いなる喜びなのだろう。それもまた固有の応援スタイルだということも分かっている。ただ、W杯とは自分たちの音を聞かせるだけでなく、相手の音を聞ける貴重な場所でもある。開催国ならなおさらではないか。」(日本経済新聞2010年6月16日付朝刊・第34面、強調筆者)

とかなり強い苦言を呈されている。


テレビで聞いているだけの我々ですら、あまり愉快に思わないのだから、現地で観戦している人にとってはなおさら、なのかもしれない。



ちなみに、個人的には、今大会で流れてくる“ブブゼラ”の音を聞いていると、Jリーグが始まった17年ほど前に流行っていた、「チアホーン」を思い出す。


自分も、開幕した年の天皇杯だったか何かを見に行った時にチアホーンを買って、Jリーグが開幕後もしばらくは試合を見に行くたびに使っていた。


結局、国立競技場の近隣住民からクレームが出たとかなんとか、で、使用が自粛されることになり、さらにサポーターの組織化が進んで、欧州流の“地声応援”が主流になっていったこともあって、1年持たずに廃れていったと記憶しているが、あれはあれで、応援のアイテムとしては面白かったなぁ、と思う*2


もし、日本の“チアホーン”文化がその後も廃れることなく残っていたら、8年前に「サッカー先進国」のメディアから大批判を受けることになっていただろうから、国際調和の観点からはなくなってよかったんだろうと思うけど、ピーク時に比べてJリーグや代表戦の観客動員が伸び悩んでいる、という話を聞くたびに、「チアホーンがあったらこの国のサッカー文化はどう変わっていたんだろうなぁ」と思うのも確かなわけで・・・。


なお、自分がもし今から南アフリカまで観戦に行くとしたら、実家の倉庫に眠っているチアホーンを掘り出して、持って行ってもいいかなぁ、なんて思っている。
あのブブゼラの大音量の中で、一人くらいチアホーン吹いたって迷惑にはならんだろうし(既に試している先人もいらっしゃるかもしれないが)(笑)。

追記

調べて見ると、「ブブゼラ」も“チアホーン”の一種、として定義されるようである。もっとも、日本で売られていたチアホーンで音を出すのは結構簡単だったから、今南アフリカで使われているもの(テレビで紹介されるたびに、音を出す人が悪戦苦闘している・・・)とはだいぶ作りが違うんじゃなかろうか。

*1:もちろん、素人目で分かるビッグチャンス(ゴール手前でのFKやCKなど)のときは音量が上がる、といったくらいの“使い分け”はあるのだが・・・。

*2:野球の応援と違って、誰でも“音”で試合に参加できるという、というところに、初期のJリーグの爆発的人気の根源もあったように思う。

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