残念過ぎるニュース。

ここ数年、景気の悪い話しか聞かない法科大学院だが、まだ一つ残念なニュースが飛び込んできた。

東北学院大(仙台市)は7日、法科大学院の2014年度以降の学生募集を停止すると発表した。全国的な法科大学院への進学希望者の減少などを受け、近年は入学者数が落ち込んでいた。全ての在籍学生が修了した段階で法科大学院を廃止する予定。」(日本経済新聞2013年3月8日付け朝刊・第42面)

姫路獨協大を皮切りに、神戸学院、大宮法科、明治学院駿河台、と続いたドミノ倒しはこれで「6例目」ということになる。

元々、設立された法科大学院の数が多すぎたんだから、ちょっとくらい減ったって・・・という意見もあることだろう。

だが、これまでの5例と今回の話が違うのは、この法科大学院が、曲がりなりにも「東北の地に根をおろして活躍する弁護士を育てる」というコンセプトで設置された学校だったことだ。

法律家へのアクセス機会が大都市に偏在する実態を、ちょっとでも改善したい、という思いは、司法制度改革の根源にあった話なわけで、特にお世辞にも司法先進地域とは言えない東北の地に、東北大と並ぶ法曹育成機関として、東北学院大学法科大学院が設置された、ということには、それなりの意義があったはずだったのだが・・・。

「30人の定員に対し、入学者数が11年度に8人、12年度は2人にまで減っていた。」

ということだから、私学としての経営を考えると、フェイドアウトする選択肢しか考えられなかったのかもしれない。

だが、大都市に乱立する学校をそのまま放置しながら、こういうところが看板を下ろすのを指をくわえてみているだけで良いのか、といえば、個人的には大いに疑問を感じている。

なお、大学のホームページにも無念の思いが綴られている(http://www.tohoku-gakuin.ac.jp/info/top/130307-1.html)のだが、その中で、法務研究科のコメントとして、

「昨年夏までに5つの法科大学院が学生募集の停止を発表しました。そうした発表の際に公にされた募集停止理由のほとんどは、本学にとっても当てはまるものです。しかし、こうした理由のうち、教育組織としての当研究科が今回の決定をやむをえないとした最大の理由は、教育活動に必要な入学者を確保できなくなり、また今後においても入学者数を回復する展望を得ることができないということです。これまで、入学者減という深刻な状況は放置されていたわけではありません。研究科としては、充実した教育こそこうした事態への正当な対応であると考え、課外の指導を含め各種の教育上の工夫と努力を続けてきました。また、大学全体や大学設置母体の理解を得て、学生の大幅な学費軽減も実現しました。さらには東北地方での広報活動にも力を注いできました。こうした措置を講じてもなお、事態を改善できませんでした。

という点が強調されているのは、「合格率」ばかりを取り沙汰そうとする、メディアや関係者へのあてつけもあるのなかぁ・・・とも思ったり。

実際、東北学院法科大学院平成24年度の合格率は、「9.3%」ということで、決して低調というわけではない*1

それでもなお、入学者を集められなかったところに、今の業界構造の根本的な問題がある、ということを、大学側としては訴えかけたかった、ということなのだろう、と思うのである。

*1:駒沢大や東海大と同レベルで、地方の法科大学院としては、むしろ健闘している部類に入る、というべきだろう。

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