予備試験もそろそろ一息、か。

今年でもう4回目、ということで、そろそろスルーしても良い頃なのかもしれないが、短答・論文・口述の試験スタイルに郷愁を感じる世代の人間として、今回も一応コメントしておきたい。

法務省は6日、2014年の司法試験予備試験に、前年より5人多い356人が合格したと発表した。合格率は3.4%で、前年より0.4ポイント下がった。」
法科大学院や大学(学部)に在学中の現役学生は計282人で、合格者全体に占める割合は79%と前年(77%)から微増した。」
日本経済新聞2014年11月7日付朝刊・第38面)

受験者数も合格者数も一気に増え、さらに受験者・合格者ともに20〜24歳、という若い世代が一気に1000人以上増えて、業界を震撼させた昨年の結果*1に比べると、今年は、

受験者 9,224名→10,347名(うち20〜24歳 2,894名→3,441名)
最終合格者 351名→356名(うち20〜24歳 207名→204名)

と、受験者の増加割合がかなり鈍化した印象があるし、合格者数もほとんど変わっていない、ということで、何となく一息ついた感がある*2

もちろん、法科大学院進学希望者が大幅に減少し、司法試験受験者数も年々減少の一途をたどっている中で、こちらの方の人気は、合格者数も依然として“プラス基調”だから、それ自体面白くない、と思う人はいるのかもしれないが、今年、「合格者の若年化」に一定の歯止めがかかった、という事実を踏まえると*3、老若男女問わず、これ以上門を狭めない方が、法曹業界のためにはなる、と自分は思う。

なお、30〜39歳の世代が受験者、合格者数ともに伸び悩む一方で*4、40〜49歳の世代が逆に気を吐くなど*5、社会人世代にとって、この試験が今どの程度魅力的に映っているのか、ということは、自分にも読みづらいところはあるのだけれど、受験回数の制限があるわけでもない、フラットでオープンな試験なのだから、もう少し受験者が増えても良いのではないかな、と思うところ。

今回で過去問も4回分蓄積されたし、予備校が得意とする試験傾向分析等も、かなり進んできているだろうから、だいぶ受けやすい試験になってきたのではないか、と思うのだけれど・・・。

*1:http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20131108/1384277751

*2:終結果については、法務省HP参照。http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji07_00112.html

*3:先述のとおり、20〜24歳の合格者数は減少しているし(その代わり、その一つ上の世代の25〜29歳のレンジで合格者数が増加しているのが特徴的で、「法科大学院に在籍している実力のある層」の受験者がこちらに回ってきているのではないかと推察される。それでもたかだか増加したのは30名くらい、というレベルに過ぎないのだが)、合格者の平均年齢も27.66歳から27.21歳、とそんなに大きくは変化していない。要は、この景気の良い時代(就職活動も一時に比べてかなりの売り手市場になっている時代)に、「わざわざ苦労して、時間をかけて、法曹になるために試験勉強をしよう」などと考える層は、世の中にそんなにいるわけではない、ということなのだと思う。

*4:特に35〜39歳は、受験者が1028名→991名、合格者も38名→22名、と、かなり寂しい状況になっている。

*5:40〜44歳は、受験者数が925名→988名、45〜49歳も、702名→776名、と思いのほか人気になっており、合格者数も40〜49歳全体で22名→25名と増やしている。

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