職務発明訴訟における証拠の偏在にどう対処すべきなのか?

かねてから当ブログで取り上げている「職務発明」をめぐる問題であるが、今般、法改正を主張している人々の中には、「相当の対価」算定の困難さ、という法解釈上の問題に加えて、

職務発明をめぐって訴訟になると、発明者の特定から、特許の有効性・権利範囲、そして損害額算定の基礎となる実施料率等に至るまで、当事者の主張が錯綜し、紛争が泥沼化することが多い」
「その結果、訴えられた企業側において、営業秘密にかかわる証拠を開示して反論するか、あるいは、あえて反論せずに受忍するか、というシビアな選択を迫られることも多い」

といった“裁判という紛争解決手続”そのものの問題点を指摘する方も多い。

そして、そんな懸念が決して机上のものではない、ということが、判決文からも優に読み取れる判決が、最近になって最高裁のHPで公表された。

判決文は、HPへの公表版だけでも158頁と大部になっているため、ここでは、上記の問題点に関係する部分のみの紹介に留めるが、それでも、いろいろと考えさせらることが多い事件である。

東京地判平成26年6月20日(H22(ワ)第25934号)*1

原告:X
被告:株式会社リコー

本件は、被告の従業員であった原告が、被告に在籍中に完成させ、被告に承継させた「選択信号方式の設定方式」という発明について、平成16年改正前の特許法35条3項に基づく相当の対価の一部として、5億円及びこれに対する遅延損害金の支払いを求めた、という事案である。

特徴的なのは、本件の原告が、当初は、(他の職務発明事件で登場する原告の方々と同様に)開発部門*2に在籍していたものの、その後、知財部門に異動し、退職するまで約8年間、知財業務を担当していた、ということであろう。

知財部門に在籍していた、ということは、単に特許法や特許の解釈に精通しているのみならず、職務発明訴訟でよく問題となる、「特許の権利範囲」に関する解釈や、他社とのライセンス契約の実態等について、会社の手の内を知り尽くしていた、ということでもあるわけで、そういった原告のポジションの特殊性は、本件訴訟の原告主張の中からも、至るところで垣間見ることができる。

そして、そのような背景を受けて、本件では、原告による書証の提出に対して、被告側が「違法収集証拠排除の申立て」まで行う事態となった(争点(2))。

ここで、この争点に関する当事者の主張をざっと紹介すると以下のようになる(9〜11頁参照)。

<被告の主張>
「上記各書証はいずれも,被告が社内でその原本を秘密情報として管理している文書(以下「本件社内文書」という。)の写しであり,原告が被告在職中に入手したものである。原告は,被告の就業規則(31条:退職者の責任,33条:機密漏洩の禁止)及び企業秘密管理規定(22条:退職・退任時の文書の取付け)などに基づき,被告が秘密裡に管理する文書についての社外への持出し,記載内容の開示,漏洩を禁じられていた。また,原告は,退職に当たり秘密保持誓約書に署名押印し,かつ,業務上作成した文書等を会社に返還した旨の退職者チェックリストを提出した。したがって,原告は,本件社内文書の記載内容について法律上秘密保持義務を負っており,かつ本件社内文書の写しを在職中社外に持ち出すことができず,退職時には被告に対し返還する法律上の義務を負担している」
「よって,上記各書証は,原告がそれを所持し提出することが適法であって,上記義務に反しないことを証明しない限り,違法に所持し又は収集された証拠に当たるから,証拠能力を有しないというべきである。」
「また,被告は営業秘密を厳重に管理し,従業員に対して秘密保持義務を何重にもわたって課し,退職時にも書類を返還済みであるとの誓約書を提出させて,営業秘密管理の実効性を担保しているにもかかわらず,原告は,書類を全て返還済みであるとの誓約書を提出するという詐術により被告を錯誤に陥れてこれらの書類の返還を免れて社外に持ち出したのであり,このような行為は不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項4号にいう不正競争に該当し,また,証拠収集の方法として社会的に見て相当性を欠くことは明らかである。原告がこのような不当な行為により社外に持ち出した営業秘密に係る文書を,職務発明対価請求のためという大義名分の下,自己の利益を図るために使用する行為は違法であり,不競法において営業秘密の保護が規定されている趣旨を没却する。」(強調筆者、以下同じ)

<原告の主張>
被告の主張は事実に反するものが多く,また,民訴法上真実発見も一つの目的である以上,原告が提出した書証が排除されるべきではない。原告は,本件訴訟において,被告が争う事柄について,自己の権利保護のために必要な範囲で書証を提出しているにすぎないのであり,むしろ,その支払義務を免れるために自ら過去の行為を翻すことも厭わない被告の態度こそが強く非難されるべきである。」
「被告が違法収集証拠であると主張する甲6の1ないし3は,いずれも原告が知的財産部に異動する前に,自宅で業務を行うための参考資料として写しを取り保管していたものであるが,このように自宅で業務を行うために必要な書類を持ち帰ることは一般的に行われていたことであって,何ら違法ではない。」

「被告が掲げる就業規則,企業秘密管理規定及び秘密保持誓約書などの文言からは,原告が,不合理な被告の主張(自ら発明の実施を過去に認めながらこれを翻すこと)を正すために裁判所に証拠として提出することが,「漏洩」に当たらないことは明らかである。」
「また,不競法2条1項4号は窃取等の不正の手段により営業秘密を取得する行為を対象とするものであり,本件に該当しないことは明白であるし,原告の行為について,「不正の利益を得る目的」や「保有者に損害を加える目的」がないことも明白である。原告は,職務遂行に必要な文書を,その業務に使用するために,設計部門及び知財部門に在籍中に通常の入手方法により取得したのであるから,「不正取得行為」に該当することもない。そもそも,被告が事実に反する主張を繰り返し行ったことに対して,原告が反論の必要上やむを得ずこれらの文書を証拠として提出する行為が,違法あるいは契約違反との非難を受けることはない。」

会社の退職時に「秘密保持義務」を負わせた上に、「文書等の返還」を確認するチェックリストにまで記入させるとは、さすが、我が国有数のメーカー、といった感があるが、いかにそのような形式的手段を講じたとしても、既に退職者が物理的に書類を手元に持っていれば、実質的には何の役にも立たない(せいぜい、悪用しないようにするための牽制効果、といった意味合いのものでしかない)、というのは良くある話。

で、チェックをすり抜ける形で手元に持っていた会社の資料を、原告がここぞ、という場面で裁判上の立証に使おうとしたら、被告から“何とけしからん”ということで、つつかれることになったわけである。

過去に、このような形で、原告側の提出した証拠の適法性が「争点」のレベルで争われたケースは、(公表された裁判例の中には)見当たらないし、理由中で言及されているものも、自分が探した限りでは、一件しか見つけられなかった*3

「違法収集証拠」のような主張は、裁判の過程でちょこちょこ主張されることはあっても、争点整理の手続き等を経る中で、些末な話、として扱われることが多いし、当事者も最後まで固執することは少ない、ということで、判決にまではなかなか残らないのだが、今回、最後の最後まで「争点」として残ったのはかなり珍しいことで、それだけで一種の先例的価値はあると言えるだろう。


ちなみに、被告側の代理人の筆頭にお名前を連ねている竹田稔弁護士は、平成22年4月30日の「産業構造審議会 知的財産政策部会 特許制度小委員会」において、「職務発明対価請求訴訟に関する秘密保護規定の必要性について」という資料*4を提出されており、その中で、

「なお、企業は、営業秘密保護のため上記の文書を通常事業所内で管理しており、従業者は、退職の際は、持ち出し禁止の誓約書を提出しているが、それにもかかわらず、「発明者」の認定証拠として原告側から提出されることがしばしば生じている(このような場合、違法収集証拠の問題となるが、証拠能力を否定される要件は明確とはいえない)。」

と述べられている。

竹田弁護士の資料の趣旨は、上記のような問題を踏まえて、職務発明訴訟における証拠収集や秘密保護の手続きの創設を提言するところにあったようだが*5、ちょうどその頃、本件が提起され、その判決の中で上記のような懸念が一大論点化されることになるとは、何と皮肉なことか・・・。

いずれにしても、本筋の争いの決着と並んで、上記争点に関して裁判所が何と書くか、ということが、注目されることとなった。

原告には酷?とも思える裁判所の説示。

裁判所は、まず、事実関係を以下の通り認定している。

「被告の従業員は,就業規則によって,業務上の機密や自己の業務内容を洩らすことが禁止され,その退職時には,在職中に知り得た会社の企業秘密に関する情報を全て会社に返還し,退職後にそれらを洩らしたり,使用したりしないことが義務付けられているほか,被告の企業秘密管理規定においては,退職時に企業秘密の漏洩防止のために企業秘密の返還に関する条項を含む書面を提出するものとされている。そして,原告は,被告を退職するに際し,これらの規定に基づいて秘密保持誓約書及び退職者チェックリストにそれぞれ署名押印して,被告に提出しているところ,上記秘密保持誓約書には,原告が勤務中に従事した業務において知り得た被告の法務・知的財産管理上の情報等の一切の情報について,退職後も秘密を保持し,第三者に開示・漏洩せず,また,自ら又は第三者のために使用しないこと,及び,その業務上作成,入手した文書,資料,電子データ等の一切を被告に返還し,それらを一切保有していないことをそれぞれ誓約する旨が記載されており,また,上記退職者チェックリストには,原告が業務上作成した文書等(自宅に置いてあるもの及び複製物を含む。)の一切を被告に返還したことを確認する旨が記載されている。」
「一方,本件訴訟において,原告は,特許権の活用に関する被告の社内文書及びこれに関する従業員間のEメールをプリントアウトした文書,他社とのライセンス契約の内容を記載した文書,他社とのライセンス交渉経過に関する社内の報告書並びに他社とのライセンス契約に係る協議内容が記された議事録などの本件社内文書の写しを書証として提出している。そして,これらの文書は,いずれも原告が被告における自己の業務に関連して,被告社内で入手した被告の社内文書であって,いずれも原告が退職時に被告に対してその返還を確認し,その旨を誓約したはずの文書に当たると認められる。」(81〜82頁)

元々、原告側でも、提出した文書等が、秘密保持義務、返還義務の対象となるものであることは、積極的に争っていなかったように思えるから、ここまでのところはそんなに違和感はない。だが、自分が驚いたのは、この先の説示である。

「そうすると,原告は,被告の社内規則等に反し,かつ原告自身の被告に対する誓約に背いて,本件社内文書又はその写しを退職後も返還することなく所持していることが認められる(なお,原告は,自宅で業務を行うために必要な書類を持ち帰ることは一般的に行われていたと主張するが,仮に在職中に業務の遂行のために書類を自宅に持ち帰ることが一般的に行われていたとしても,そのことが,それらの書類を退職後も返還せずに所持することを正当化する理由にならないことは明らかであるし,原告は自宅に保管された書類を含む一切の文書を被告に返還した旨を誓約しているのであるから,原告の上記主張は失当である。)。」
「このように原告が被告の社内規則や自らの被告に対する書面による明示的な誓約に反して,本件社内文書を被告から持ち出し,あるいは被告に返還せずに,退職後も所持していることは,原告が,被告の従業員として労働契約又は信義則によって負担する,被告に対する法律上及び契約上の義務に違反するものであることは明らかというべきである。」
(82頁)

裁判所はこれに続く説示の中で、以下のように述べて、「違法収集証拠排除」という被告側の主張自体は明確に退けている。

「しかしながら,民事訴訟においては,証拠能力の制限に関する一般的な規定は存在せず,訴訟手続を通じた実体的真実の発見及びそれに基づく私権の実現も民事訴訟の重要な目的というべきであるから,訴訟において当事者が提出する証拠が,当事者間の訴訟外の権利義務関係の下で法律上,契約上若しくは信義則上の義務に違反して入手されたものといい得るとしても,それゆえにその訴訟上の証拠能力が直ちに否定されるべきものであるとはいえず,当該証拠が著しく反社会的な手段を用いて採取されたものであるなど,それを民事訴訟において証拠として用いることが民事訴訟の目的や訴訟上の信義則(民訴法2条参照)に照らして許容し得ないような事情がある場合に限って,当該証拠の証拠能力が否定されると解するのが相当である。
「本件においては,上記のとおり,原告が本件社内文書を持ち出して,退職後も所持していることは,法律上及び契約上の義務に違反するものであって,被告に対する背信行為というべきものであるが,他方で,本件社内文書は,いずれも原告が被告における自己の業務に関連して接することができ,その業務の過程で入手し得たものと考えられること,それら本件社内文書が不競法2条6項に規定する「営業秘密」の成立要件を充たす文書であるか否かは必ずしも明らかでなく,また,原告は上記社内文書を法律上正当な権利の行使である職務発明対価請求訴訟の書証として利用しているにすぎないこと,本件社内文書のような使用者側の保有する特許権のライセンス契約等に関する社内文書は,職務発明対価請求訴訟において,一般的に請求の基礎となる事実関係の解明に重要な書類であり,職務発明対価請求訴訟は,本来企業と従業員若しくは元従業員との間の訴訟であるから,上記のような社内文書においても,閲覧制限の申し立てをし,当事者間で秘密保持契約を締結したりするなどすれば,上記社内文書が不用意に外部に流出することはないにもかかわらず,本件において,被告は上記社内文書等を書証として提出することを拒んでいること,以上の事情をも考慮すると,原告が被告在職中に入手した本件社内文書を本件訴訟において自己の有利な証拠として用いることは,いまだ著しく反社会的なものであるとまで断じることはできず,民事訴訟の目的や訴訟上の信義則に照らしても全く許容し得ないものとまでいうことはできない。 よって,原告が提出した本件社内文書に係る書証につき証拠能力がないと断ずることはできず,したがって,被告の証拠排除の申立ては理由がない。」
(83〜84頁)

元々、民事訴訟の一般原則としても、証拠が制限される、というのは決してポピュラーな事態ではないし、ましてや、職務発明訴訟のように、主張立証に必要な証拠が会社側に著しく偏在している*6場合に、上記の程度の事情で、「違法収集証拠」として排除されてしまうようだと、原告にとってはたまったものではないだろうから、被告側の主張を退けた裁判所の判断自体は、至極妥当なものだと思う。

にもかかわらず、裁判所は、その前段で、元従業員である原告が、「立証のための書類を保持していた」という点を捉えて、「労働契約又は信義則上の義務違反あり」と断言した・・・。


裁判所としては、(今後の同種主張の蒸し返しを防ぐために)「会社・社員間の秘密保持義務違反の問題と、証拠としての適法性の問題は、関係しないよ」ということを明確に言いたかったのかもしれないし、「義務違反」云々の部分は、本判決の中では所詮傍論でしょ、という思いもあったのかもしれない。

だが、自らの正当な権利を行使するために裁判を提起し、それを維持するために必要な書類を会社から持ち出して、手元で保管しておく行為について「契約違反」等のレッテルを張ることが、合理的なことなのかどうか、自分は大いに疑問を感じている。

我が国の民事訴訟において、当事者の武器対等を完全に保障する手立てが完全な形では整っていない*7以上、裁判を対等に戦うために、一定の“自力救済”は認められるべきだし、そのためには、自らの権利行使のための情報の入手、保管、使用については、私人間の契約をもっても制限できない、と解するくらいの柔軟さが必要だ、と思うところである。

原告提出証拠が結論に与えた影響は?

さて、被告側からの激しい攻撃を浴びつつ、原告が提出した証拠は、本件訴訟において、どの程度効果的に働いたのだろうか。

本判決は、他の職務訴訟にまして、「*」で伏せ字になっている箇所が多く、特にライセンス契約に関するあれこれについては、ほとんどが非公開となっているため、原告が捨て身で提出した(と思われる)資料がどこまで生きたのか、明確に見極めることは難しい。

また、特許のクレーム解釈に関する主張のくだりで、

「原告は,被告が過去に,本件発明のクレーム解釈について本件訴訟における主張と異なる見解を採っていたなどして,本件訴訟において被告が過去の行為と矛盾する主張をすることは信義則に反し,許されないと主張する。 しかし,被告が過去に本件発明のクレーム解釈について何らかの見解を有していたとしても,それは被告社内における見解にすぎないのであり,また,そのような被告の見解は,他社とのライセンス交渉等において相手方に示されたことがあり得るとしても,被告が本件特許の成立過程でそのような見解を明示して,それを前提に本件特許の登録査定を得たとか,以前の原告との訴訟においてそのような見解を主張して攻撃防御方法として用いたなどという事情は認められない。そうすると,本件訴訟において被告が過去の見解と異なる主張をしているとしても,そのことが原告との関係において信義則に反して許されないと解することはできない。」(91頁)

として、おそらく原告が証拠提出した「被告の過去の見解」と、本件訴訟での被告の主張の不一致も許される、という判断になっているなど、原告の証拠をもってしても、原告の主張が認められなかった、という場面も、相当あるように見受けられる。

ただ、本判決においては、他の同種事例と比べても、ライセンス契約の交渉経緯について、相当充実した事実認定がなされているように思われ、特に、有償ライセンス契約における「グラントバック」権付与や、「精算金の減額」といった部分について、その意義を丹念に検討した上で、「被告が受けるべき利益」に算入しているあたりなどは、原告提出証拠の影響があるようにも読めるところである(ちなみに本判決では、既払い済み部分を控除した約746万円の補償金支払いが命じられている)。


会社から「禁を破って持ち出した資料」というのは、本来であれば、“最終兵器”とすべきものであって、原告としても、被告が求釈明等に応じて、あっさりと提出してくれれば、出したくはなかったことだろう。

しかし、裁判所が認定したところによると、被告はそういった社内文書の多くを、最後まで証拠として提出しなかったようで、原告の“掟破り”がなければ、最終的な事実認定の様相は、また異なったものになった可能性も否定できない。


自分は、企業側の人間として、強制的な証拠開示のプラクティスが我が国の民事訴訟に持ち込まれることには、強く反対すべきだと思っている。

そして、そのような事態を招来しないようにするために、多くの会社で未だ残っている、何でもかんでも「企業秘密」として、法廷への提出を拒むような“企業文化”はいずれ根絶していかねばならない、と思っているところでもある*8

そんな過渡期において、「会社を訴えた個人」によってなされた自力救済をどう評価すべきか。

様々な意見があり得るところだと思うが、自分は、本件原告の行為には、十分な正当性があったと思うし、当面の間(訴えられた会社側が、自主的に必要な証拠を出す慣行が定着する、あるいは、強制的な証拠開示制度が導入される)は、そのような解釈で「裁判を受ける権利」を実質的に担保する、というのが、穏当なところではないかと思っている。

*1:第40部・東海林保裁判長、http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/746/084746_hanrei.pdf

*2:発明時には、ビジネス用ファクシミリ装置のNCU(ネットワークコントロールユニット)の電気回路設計を担当していたようである。

*3:東京地判平成21年12月25日(H19(ワ)31700、和光純薬職務発明事件)、「違法収集証拠」である旨の主張を被告側が行っていることは、http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/360/038360_hanrei.pdf86頁あたりにサラッと出てくるが、その主張自体はあっさり退けられている。ちなみに、この事件の被告代理人も後述する竹田稔弁護士である。

*4:https://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/pdf/tokkyo_shiryou026/4.pdf

*5:この点については、訴訟法上の原則との関係等、様々な指摘がなされ、議論自体は継続審議、というところで収まったようである。

*6:どの会社も「知財」に関する情報は、高次の機密事項として管理しているから、世の中には断片的な情報しか出てきていないし、たとえ訴訟になっても、会社側から積極的に証拠開示がなされるケースは稀である。

*7:もちろん、文書提出命令等をフルに活用すれば、ある程度目的は達成しうるのかもしれないが、それでも多くは、被告側企業の“寛容な心”に委ねられている、というのが実態ではないかと思う。

*8:あえて、現在の会社側のやり方を正当化する余地があるとすれば、本筋の主張との関連性も明らかではないような証拠を出せ出せ、と要求してくる者があまりに多い(そして、それを代理人も裁判所も十分にコントロールできていない)から、ということになるのだろうが、それにしても・・・というところはあるような気がする。それでも、昔よりはかなりマシになった、ということは、様々なところで見聞きする話ではあるが。

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