加速する世代交代の波の中で。

真駒内で行われた2015年の全日本フィギュア。
いつもなら、どんな予定もすっ飛ばしてテレビにかじりつく年末の一大イベントなのだが、今年はいろいろと事情もあって、リアルタイムで観戦できなかったこともあり、細かいコメントは差し控える。

ただ、結果を見た時に思ったのは、男子にしても、女子にしても、急激に加速する世代交代の波の中で、“ベテラン”の域に踏み込んだ選手たちが頑張ったな・・・ということ。

男子は、18歳の宇野昌磨選手がショートプログラムで羽生選手に肉薄するような躍進を遂げ*1、同じ2位でもさらに「本格化」を感じさせるような結果を残した一方で、24歳の無良崇人選手がフリーで2位、全体でも3位に食い込んで3年ぶりに表彰台に返り咲く健闘を見せ、GPシリーズではほとんど見せ場がなかった小塚崇彦選手(26歳)も5位に踏みとどまっている。

女子も、まだ17歳の宮原知子選手が堂々の2連覇を達成し、14歳の樋口新葉選手も昨年からさらに順位を一つ上げて2位、と、世代交代をより強く印象付ける展開の中、ショートプログラムで5位と出遅れた浅田真央選手が、フリーで2位のスコアを叩き出し、全体3位に入った。

SPの結果を見た時、「フリーまでこのままの順位で終わってしまったら、世界フィギュアの派遣枠はどうなるのだろう?」というのが気になっていたのだが、そんな不安を吹き飛ばす、堂々の自力での四大陸、世界フィギュア代表選出である。

既に五輪に2度出場し、ソチ五輪後は引退一歩手前まで行った浅田選手の場合、「次の五輪」はまだ意識の中に入っておらず、1シーズンごとに進退を決する形になるのだろう、と思われる。そんな状況で、もし今季、世界フィギュアの舞台に立てなかったら・・・? という予感もあっただけに、3月末のボストンまで、リンクに立つ彼女の姿を見続けられることに、今はほっとしている*2

純粋な技術点だけを見れば、浅田選手のフリーでのスコア(63.24点)は、宮原選手、樋口選手に届かないのはもちろんのこと、今大会で躍進した14歳の白岩優奈選手(69.20点)にも遥かに及ばない*3

しかし、そういう状況は、ソチ五輪の前のシーズンだった2012年の全日本フィギュアの頃から変わっていないのであって*4、むしろ、それでも浅田選手はソチで世界を震わせる演技をやってのけた、ということ、そして、あれから3年経っても彼女自身の技術点のスコアは決して下がっていない、ということに、もっと目が向けられても良いのではないかな、と思うところである。


まだ五輪の中間年、ということもあり、今年のボストンの世界フィギュアを経て、来年以降フィギュア界の勢力図も大きく変わってくることだろう。
もしかしたら、2年後の全日本の表彰台には、このエントリーで「ベテラン」として名前を挙げた選手達は、誰ひとり残っていない可能性すらあるのだけれど、それでも、ステレオタイプな「世代交代」というフレーズを安易に使わせない、経験を積んだ選手たちの頑張りは、最後まで応援して行きたい、と自分は思っている。

(追記)

羽生選手の「アンドロメダ得点」があったとはいえ、浅田選手の特集を組んだ次の次の号で、再びフィギュアスケートを組むとは、すごい時代になったものだと・・・。

*1:フリーではプレッシャーもあってか、4回転を2度パンクさせたようだが、それでも後半に大きな加点付きの4回転トゥループを決め、スピンもすべてレベル4でまとめている。

*2:一方で、村上佳菜子選手が6位に敗れ、世界選手権代表切符を取れなかった、という残念な出来事もあったのだが・・・。

*3:ついでに言えば、本郷選手、新田谷凛選手といったところにも技術点のスコアでは負けている。

*4:http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20121222/1356333852参照。この年の全日本フィギュアで浅田選手は優勝している。にもかかわらず・・・のスコアである。