週が始まった頃は、いったいどうなっちゃうんだろう?という感じだった新型肺炎騒動だが、少なくとも日本国内では「根拠なき鎮静化」とでも言いたくなるような、不思議な空気が流れた一週間だった。
中国国内での死者数は気が付けばSARSを超えてしまっているし、インバウンドがどうこう、といった直接的な影響を超えてサプライチェーンへの影響も懸念されている状況なのに、一見すると人の動きには全く変わりはないように見えるし、株式市場もなぜか上げ基調で推移。
自分も決して世の中の変調を願っているわけではないので、穏やかに時が流れていくならそれにこしたことはないのだが、どこかで歪みが爆発しやしないか、ということだけが心配である。
* * * *
で、そんな状況だから、週末も東京・京都・小倉で粛々と開催日程が消化されたのだが、その中身の方に目を移すと、「異変」というか、先週まで勝ち星を積み重ねていたマーフィー騎手が去ったことによるインパクトがそれなりにあったような気がして、「堅い」と思われたレースでの波乱がまぁまぁあった。
結果的には、今がまさに旬の川田騎手が少ない騎乗機会をフルに生かして5勝を上積みし、マーフィー騎手の勝利数を1週にして抜き去った上に、勝率35.4% 連対率46.8% 3着内率63.3%、という驚異の数字を掲げ、追撃する武豊騎手もきっちり3勝を挙げてリーディング3位をキープ。
これに対し、マーフィー騎手が去った恩恵をもっとも受けたはずのルメール騎手は、 同じく3勝ながら、「絶対に勝てるだろう」というレベルの1番人気馬での取りこぼしが目立ち、未だリーディング4位のまま週末を終えることになってしまった*1。
さすがにこの数年の実績があるから、ルメール騎手が本邦No.1騎手の座をそう簡単に譲り渡すことはないだろうし、週が変われば、二度三度、爆発的な固め打ちがあっても不思議ではないのだが、既に昨年、40歳の大台を越え、さらにレーン騎手、マーフィー騎手といった若い腕利きの外国人騎手と比べられる中で、取り巻く環境が徐々に変わってきたことは否定できないわけで、ちょっとしたきっかけで、いつ大きな潮目の変化が訪れても不思議ではない。
きさらぎ賞を人気薄のコルテジアで制した松山弘平騎手*2や、小倉で7勝と爆発した藤岡佑介騎手、さらには、先週まで関西の騎手にコテンパンにやられていた東京競馬場で4勝を積んで意地を見せた関東の大野拓弥騎手*3など、中堅世代の騎手たちも元気だったこの週末。
シーズンが終わる頃には、”例年と同じ顔ぶれ”が上位を占める結果となる可能性は今年も否定できないのだけれど、今の、いい意味で”何となく変わりそう”という雰囲気は、もう少し続いてほしいな、と思わずにはいられないのである。