たった一年でこんなに世の中変わるのか。

久しぶりの三連休、そして学生の皆さんはこれから夏休み、ということで、世の中には何となく浮かれたムードも漂っていた気がするが、自分は、タフな日常の疲れをとるのに約1.5日、さらに来月に迫る大きな山の準備に追い立てられて約1.5日、ということで、いつもと変わらないどころか、普段の週末以上に休日らしくない「休日」を過ごす羽目に。

振り返れば、一昨年は、初めての”コロナ自粛体験”で滅入った気分をちょっとでも紛らわすために、思い切って遠出したのがこの三連休だったし、昨年も近場とはいえ一泊の旅に出ていた。

それが、今年は家からほとんど出ることもなく、パソコンの前に向かい続けていたのだから、一年経てばずいぶん変わるものだ*1

もちろん、そうはいっても便利な世の中。今は、パソコン一台あれば、全国各地の高校野球の予選から開幕したばかりの都市対抗野球まで一歩も外に出ることなく悠々と観戦することができるし、TVerで海を飛び越えて世界陸上のLIVE映像まで眺めることができる。

画面の向こう側で派手に鳴り物を使って声援を送る観衆、競技場に押し寄せている観衆の姿を見てしまうと、連休の後半、天気も良くなったのに外に出られずにいる我が身を嘆きたくもなったのだが・・・。


パソコンの画面越しにスポーツ中継、特にワールドワイドなアスリート達の戦いを見ていると、どうしても思い出すのが、五輪開幕を控えて「こんな時になぜやるのか?!」と世論を二分するような騒ぎになり、あたかも”この世の終わり”のような悲痛な声も飛び交っていた一年前のこと。

だが冷静に振り返れば、あの頃の新型コロナの感染者数は、たかだか全国で3000人を超えたくらいのレベルに過ぎなかった。
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その後、五輪期間中、じわじわと数字は増えていったものの、それでもピークは全国合わせても2万人台。

翻って今は、東京都だけで連日10,000~20,000人、全国では10万人を超えるレベルにまで達しているのに、今や誰もが気にせぬそぶりで街中に繰り出す日常になっているのだから、これまた僅か一年でずいぶんと変わるものだ。そして、あの夏燻ぶったうねりが秋に「政権交代」をもたらしたことを考えると、今の総理はずいぶんと運がいいな、と思わずにはいられない。

ちなみに、新型コロナ禍下での開催を強行したことで、世紀の祝宴になるはずだった舞台は「無観客」という大きな代償を伴う場となってしまったが、その副産物として、この国の人々は、全競技の国際映像を自宅のパソコンで視聴できる、という稀代の恩恵に預かることができた。

その後もいくつかの波を越えていく中で、過度な修飾が施されていない映像をネットで楽しむ、というのは、スポーツ観戦の一つの形として、少なくとも自分にはすっかり定着している。

あくまで自分は家の中、で、決して現場の空気に触れることはないから、画面の先にある舞台が東京だろうが、江戸川区の野球場だろうが、はたまたはるか遠くのオレゴンだろうが、見ている者にとっては大差ない。

本当に一流の勝負を現場で見た時の、心が奮い立つような感情を経験したものであれば、「そんなリアル感のない世界の何が楽しいのか?」という皮肉も一言、二言言いたくなるところなのかもしれない。

だが、怖いもので、染みついた習慣は、いつか原則と例外を逆転させる

おそらく今競技場に足を運んでも、リアルに触れる喜びを感じる以前に、感じるのは、選手の細やかな表情が見られないもどかしさや、一定の時間、シートから動けない窮屈さ、さらに試合の間ずっと行儀よくマスクをしていないといけない、という不自由さばかりで、かえってげんなりするんじゃないかな、と思ったりするし、最後の一つを除けば、これらの違和感は新型コロナ禍が去った後でも何ら変わるところはない。

多少なりともリアルな現場に足を運んでいた者でさえそうなのだから、物心ついたときからネットで・・・という方々になれば、なおさらこの傾向が加速することだろう。

人々の意識や習慣の変化による原則と例外の逆転、というのは、他の世界でもどんどん起き始めていることではあるが*2、まずはこの身近な世界で、この先何が起きるのか、ということはしっかりと見守っていければ、と思っている。

*1:まぁ、世の中の日常が戻ってビジネスも催し事も、あれこれ活発になるからこそ自分の出番も来るわけで、そう考えればこの変化も全く不思議なことではないのだが。

*2:この日もまた話題になっていた契約書の「AI」審査にしても、それが今人間が行っている行為にとって代わるとしたら、それはAIが進化したことによるのではなく、今のAI確認ツールのアウトプットのレベルでも違和感を抱かない人々が増えることによるんだろうな、というのは常日頃から自分が思っていることでもある。

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