何となくそんな予感はしてたけど、結局2日続けてWBCの話をすることになってしまった。
今日の昼くらいから飽きるほど眺めたニュース速報だが、自分は、その字面以上に今回の優勝には価値がある、と思っている。
第1回、第2回大会とは異なり、1次ラウンドが終われば完全ノックアウト方式の敗者復活戦なきトーナメント戦を、最初から最後まで一つも星を落とすことなく勝ち上がり7戦無敗。文句なしの「最強」を証明してみせたこと。
そして何より、決勝戦の相手がメジャーリーガーを揃えた米国だった、ということ。
アウェーの地、フルメンバー揃った相手に正面から挑み、ロースコアの展開に持ち込んで堂々の一点差勝利。
日本を代表するチームがここまで申し分ない展開で「最強」を証明して見せた、というのは、他の団体競技の過去の様々な歴史を振り返ってもそうそうあるものではない。
今日も、前日同様、試合の映像をライブで見ることはほとんどなかった。
まるで、フィクションのストーリーが昨日から続いているかのような錯覚に陥った村上選手の先制弾にヌートバー選手の勝ち越し打。そこで築いたリードを守り続けた若き日本の投手陣。映像に張り付いていたら胸が張り裂けるような気持ちになっても不思議ではない劇的に過ぎる展開も、途中までは完全に文字情報だけで眺めていた。
今大会、ほとんどライブの映像は見てこなかった人間が、こんな時に限ってライブ視聴などして負けようものなら、自分で自分が憎らしくなるから。
でも、9回表、大谷選手がマウンドに上がった最後の1イニングだけは、やはり見ずに済ませることはできなかった。
歩かせても、すぐさま1番打者をゲッツー。そして渾身の一投であのトラウト選手を三振に切って捨てた瞬間、間違いなく自分は新しい歴史を見た。
これまでの大会と同様、WBCが”プレシーズンマッチ”であることに変わりはなかった。
盛り上がっている、とされた日本ですら、代表チームが戦っている裏で各チームが着々とオープン戦を消化していたことは忘れてはならないし*1、開催日程にも、大会で適用された球数制限等のルールに関しても、さらにはアジア側で行われる1次ラウンドの参加チームのレベルに関しても、これまで指摘されてきた”興ざめ”的要素は依然として残り、改善の余地はまだまだ山ほどある。
ただ、今大会、そういったあれこれに行方を遮られることもなく、逆にそれを過度の追い風にすることもなく、環境とルールを淡々と使いこなして勝ちきったところに、この国の人々が創る未来への微かな希望の光を見た・・・というのは言い過ぎだろうか。
最後に・・・。
「憧れるのを、やめましょう。」
で始まる大谷選手の試合前の名シャウトは、いずれ教科書に載ることになるかもしれない。
いや、それよりもずっと早く、代表チームの選手たちが国に戻るかどうかのタイミングで、「国民栄誉賞だ!」なんて言い出す人々が現れても不思議ではない。
だが、この大会の僅かな時間の中で有り余る才能を目の当たりにした一観戦者として願うことはただ一つ。
「3・21」の歓喜に湧いた選手たちが故障に泣かされることなく無事今シーズンを乗り切ってくれること。
これに尽きる。
*1:この点、全世界共通で大会期間中のリーグ戦を止めて見守るサッカーW杯と比べると、残念ながらそこには大きな意識の差があると言わざるを得ない。