名物裁判長

今日の日経の朝刊に、
東京地裁の名物裁判長、藤山雅行氏の率いる合議体が下した判決が
小さく載っていた。


NTTコムの国際電話サービスをめぐって、
自社のシステムの採用合意が反故にされ損害を受けた、と主張する
千葉市プリペイドカードシステム開発会社の請求を認め、
NTTコムに1億円の支払を命じた、というもの。


何日か前には、
結婚式場の予約金不返還をめぐる訴訟で*1
これまた原告勝訴の判決を下している。


藤山裁判長は、
以前行政訴訟の分野で「画期的な」判決を連発されていたことで有名で*2
それゆえ、他の部に異動になった時には、
いろいろとメディアでも憶測が飛び交ったものであるが、
変わらず、ご活躍されているようである。


自分は、今回新聞に載っていた件も含めて
藤山裁判長の合議体で出された判決文をしっかり読んだことがないし、
ご本人の訴訟指揮等を目の当たりにしたこともないので、
判決の当否を評価する立場にはないのであるが、
個人的には、地裁レベルで事件をご担当されている限りにおいては、
少々荒っぽい法律構成でも、原告の思いに応える判決を書いていただいた方が、
最終的にはすっきりとした紛争解決につながるのではないか、と思う。


訴訟に関わった当事者の多くは、
最終的な勝敗よりも、そのプロセスでどれだけ自分の主張が反映されたか、
という方を重視するものであるし、
「被告」になることが多い企業の担当者としては、
訴訟で負け続けてフラストレーションのたまった相手方に、
現実社会で「報復」を受けるよりも、
地裁で相手に勝った相手に名を取らせておいて、
高裁でひっくり返すか、さっさと和解に持ち込む、
という訴訟戦略を取るほうが合理的な場合もあるからだ。


訴訟において、裁判官が目立つのは、
決して好ましいこととはいえないが、
学会に新しい議論の視点を持ち込むという意味でも、
ぬるま湯につかりがちな大企業の法務部門に刺激を与えるという意味でも、
「名物裁判長」の「思い切った判決」が持つ意味は、大きい。

*1:1年後の挙式予約を予約の6日後にキャンセルしたというもの

*2:石原都知事にほとんど名指しで非難されたのも記憶に新しい・・・。

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