宝の持ち腐れ?

「エンドユーザーの見た著作権」というサイトで、himagine_no9こと谷分章優氏が、「コルシカの中の人」(株式会社エニグモ・広報担当の桐山雄一氏)へのインタビューを敢行されている。
http://himagine9.cocolog-nifty.com/watchdogs/2009/11/post-c2c9.html


あれだけ物議を醸したエキセントリックなビジネスモデルのとってもローテクな裏側(?)や、出版社と直接話をしていなかった理由など、とても興味深いお話への連絡が満載なのだが*1、自分が特に気になったのは↓のくだりである。

エニグモ社は、TMI総合法律事務所(法律顧問)とお付き合いがあるそうですが、コルシカの開始前に相談はされてたんでしょうか?
【桐山】
 TMIさんに関しては、弊社が創業して以来、サイトにも掲載したように(法律顧問として)お世話になっているところということです。出版社の方にも「裏にTMIがいるからヤバいんじゃないか」「確信犯じゃないか」みたいな言われ方をしてますけれども、そういうわけではなくて。
 普通に一顧問弁護士と思っていただければと。特に意図はないですね。(強調筆者)

わざわざ「サービス開始前に相談をしたわけではない、との趣旨です。」という注記まで付いているこのくだり。


普通に見たら、「何だ弁護士に相談してなかったんだ。それじゃ、しょうがないなぁ・・・」ということになるのかもしれないが、自分にはかなり引っかかるところがある。




だって、「コルシカ」は、少なくとも国内では他に例のない新しいサービスなわけでしょ?


これまでどの事業者もやっていなかったビジネスを新しく始めよう、という時に、しかもそれが“出版物の複製”というセンシティブな行為を伴うものである、というのに、「法律顧問」として名前が挙がっている「一顧問弁護士」に相談しない、なんてことがあるんだろうか、と。


しかも、その「一顧問弁護士」っていうのが、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長を続け、知財分野においても「包括的で高度なリーガルサービスをスピーディーに提供することが可能」な、あの事務所だというのに・・・*2


背景として考えられることはいろいろあって、

(1)単に担当者がリーガルリスクに鈍感だっただけ。
(2)本当は相談していたけど(&リスクを指摘されていたけど)*3で、これだけの騒ぎになってしまったので、会社のメンツ的にも事務所への仁義的にもそんなことは言えない。
(3)「法律顧問」に名前は挙がっているけど、諸般の事情で敷居が高くて行けなかった(そんなに気軽に相談できる関係ではなかった)。

のどれかかな、と思っているところではあるのだが、いずれにしてもいろいろ問題はある。


今は、どんな会社でも1つや2つは顧問先の弁護士事務所を抱えている時代。


とはいえ、肝心な時に活用できないのでは、宝の持ち腐れ、顧問料の無駄払い以外の何ものでもないわけで、企業法務人としては、この辺りを他山の石としなければならないと思っているところである。

*1:いつもながらhimagine_no9さんは良いお仕事をされるなぁ、と感銘。

*2:http://www.tmi.gr.jp/introduction/intellectual.html参照。

*3:いくらTMIでも、さすがにあのサービスにGOサインを出すわけはないだろう・・・。その辺はよく分からないけど。

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