「景表法」の今。

消費者庁の発足に伴い、それまで公正取引委員会が所管していた「景品表示法」が消費者庁に移管したわけだが、その影響か、景表法違反事件の処分件数が急減している、という。

「商品や広告の不当表示や誇大表現など景品表示法違反で行政処分を受けた企業は2009年度は12社と、前年度の4分の1以下にとどまっていることが24日、分かった。業界を横断するような複数の企業にまたがった違反事例が少なかったことが直接の要因だが、担当が公正取引委員会から職員の少ない消費者庁に移り、調査に専念しにくくなったことも影響しているようだ。」(日本経済新聞2010年5月25日付朝刊・第38面)

役所の論理(組織防衛の論理)をとりあえず排除して考えるなら、「処分件数」の減少それ自体が問題ということはできないし、“ためにする”摘発を反復継続的に行って件数を維持するよりはよっぽどましだと思う。


記事の中では、「これまで例がない案件」に取り組んだ、という消費者庁サイドのコメントも掲載されているところで、この種の事案に“一罰百戒”的要素が強いことを考えると、たとえ全体としての処分件数が減少したとしても、
貴重な人的資源の活かし方としては間違っていない、ということはできるはずだ。


「景表法」上のすべての規制を“消費者目線”で考えることが妥当かどうか、という点については、異論もあるところだと思うのだが*1、急激な組織拡大に走った前の所管官庁が、「数」をアピールしていた時代に比べると、現状の方がまだ健全だと言えるのではないかなぁ・・・と思う次第。


いずれ、消費者庁自体が“組織拡大戦略”を取るようになってくると、結局は同じところに行きつくのかもしれないけれど。

*1:特に、元々摘発事例が少なかった不当景品事例については、さらに当局が消極的な姿勢になってしまうことが懸念されるところだが(元々少額の出費で多額の景品をゲットして文句を言う消費者などそうそういないのであって、この種の規定はあくまで事業者間の公正競争阻害行為を防止する、という観点から運用していかねばならないものであろう)。

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