立法がもたついている間に、非嫡出子の相続分をめぐる訴訟(正確には遺産分割審判の特別抗告審)が大法廷に回付され、平成7年判決変更の可能性も出てきたとのこと。
「婚姻届を出していない男女間の子(非嫡出子)の相続分を、法律上の夫婦の子(嫡出子)の2分の1とする民法の規定が、法の下の平等を定めた憲法に違反するかが争われた遺産分割審判の特別抗告審で、最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)は9日までに、審理を大法廷(裁判長・竹崎博允長官)に回付した。大法廷は1995年に合憲と判断しているが、判例変更に必要な大法廷での再度の審理で、これまでの合憲判断が見直される可能性が出てきた。」
(日本経済新聞2010年7月10日付朝刊・第1面)
つい先日最高裁で年金型保険二重課税問題の判決が出たのを聞いた時にも思ったことだが、いかに不当な定めだと思っていても、実務の場面で完全に定着している法令やその運用に正面から抗う、というのはかなり勇気のいることなわけで、本件も背景にどのような事情があるのかは気になるところである*1。
そして、本件に関し、最高裁でどういう判断が下されるか(及びその判断の当否)はともかく、ともすれば条文やその運用を調べて、淡々とそれを当てはめて一丁上がり・・・ということになりがちな“実務家”(というより実務屋)の弊に陥らないよう、実務に携わる者は強く肝に銘じなければいかんなぁ・・・ということを感じた次第。
もちろん、原則あっての例外だから、“チャレンジ”するにしても、本来の解釈運用を踏まえた上でそれを「叩く」*2ものでなければ、論旨に何ら説得力を持たないことになってしまうのは間違いないのだが、淡々と通説判例の知識を取り入れることで安心してしまわないように、最近のアグレッシブな最高裁の動き*3を自分への戒めとしておきたい。