最高裁判所裁判官・国民審査対象各裁判官の個別意見について(2017年版)

2012年、2014年と、ここ2回ほど、総選挙のタイミングで行われる最高裁裁判官の国民審査の前に、対象となる各裁判官の個別意見をご紹介する、という企画をやってきた。

最近は、ブログで判例を取りあげる機会もほとんどないし、記事を書く以前にそもそも判決を読んでネタを仕込む、という作業も長らくサボってしまっているのだが、そうはいっても子の機会くらいは、ということで今回も。

前回の総選挙時に比べると、選挙の間隔が空いたこともあって、対象者7名と若干増えてはいるのだが、うち3名は今年に入ってから就任した裁判官だし、個別意見を書く裁判官が就任後一定期間経った裁判官に集中している、という傾向も変わらないから、判断材料となる意見の数は必ずしも多くない*1

とはいえ、某会議のように、昨年の参院選一票の格差違憲訴訟の立場だけで「×」を付けるのも短絡的というほかないので*2、数少ない意見サンプルから、読者の皆様なりのご判断をしていただければ幸いである。

なお、時間の制約上、各意見の踏みこんだ分析・解説にまでは至らず、生の各意見のハイライト程度にとどまっていることについては、何卒ご容赦いただきたい。

第一小法廷

今回の対象者7名中4名が所属する小法廷で、在任期間が長い裁判官も多いのだが、果敢な少数意見を書くことも多かった山浦善樹裁判官(弁護士出身)や、櫻井龍子裁判官(行政官出身)が退官し、代わりに就任した木澤裁判官、山口厚裁判官が、まだまだ本領を発揮されていない(?)ということもあって、最近は、裁判官出身の大谷裁判官、小池裁判官が、スタンダードな補足意見でリードして穏当な判断で収まる、というケースも増えてきているように思う。

特に小池裁判官の補足意見には、民事訴訟法を学ぶ上では参考になるエッセンスが詰まっているし、抗告手数料不納付問題に関する決定の補足意見などを読むと、裁判所の中で長く生きて来た方としての思いがこめられているなぁ、と感じるわけで、結論の是非はともかく、意見の質は高い、と個人的には思っているところである。

大谷直人(裁判官出身)

平成27年2月就任、平成34年退官予定

補足意見
最大判平成27年12月16日(平成25(オ)1079)民法の再婚禁止期間規定
「本件規定の立法目的との関連において考えれば,100日以内部分の適用除外の事由に当たると解される場合は,民法733条2項に直接規定されている場合や従来の戸籍実務において認められてきた場合に限られるものではないということができるのである。もとより,婚姻届の提出の場面においては,戸籍事務管掌者が行う形式的審査の限界から,その届出の時点で民法733条1項の規定の適用除外とされる事由の範囲に影響があること自体はやむを得ず,上記のように前婚の解消等の時点で懐胎していないという事由は,医師の作成した証明書など明確性・客観性の上で確実な証明手段による認定を要するという制約は受け入れなければならないであろう。」

■最一小判平成28年5月25日(平成26(あ)1105)温泉施設設計者業務上過失致死傷事件
「法廷意見は,本件の事実関係を前提にするとき,被告人はその業務上の注意義務を怠ったといえる旨を述べた上で,本件がいわゆる信頼の原則を適用すべき事案に当たるとする弁護人の所論を排斥しているが,上告趣意中では,予見可能性がないという観点からの主張もされているので,この点についての私の意見を補足する。」
「本件は,業務運営上メタンガスの発生が不可避となる温泉施設において,ガスの引火・爆発を防止するための安全対策に関して,設計面における担当者がその任務を果たしたかが問題とされている事案である。そして,設計に当たっては,ガス抜き配管設備が本来的なメタンガス排出装置として想定され,その安全を更に担保するものとして,B棟排気ファン等の装置が組み込まれたことは明らかである。したがって,水抜きバルブを閉め続けることにより,ガス抜き配管について当初の設計上予定されていたメタンガス排出の機能に重大な問題が生じるおそれがあったということは,この設計の全体像に関わる問題ということができる。第一義的な安全装置として設計されたシステムの機能についてその後問題点を生じ得る事情が判明した場合に,設計担当者としては,その点の改善の必要性を伝達するか,仮にそれを放置するのであれば,当然に,二次的,三次的に設けられた予防装置が当初の設計のままでよいのかについての見直し作業を行うことが求められるはずである。そうした行動をとることを怠った被告人について,排気ファン等の存在をもってその過失責任を否定することはできない。第1審,原審も,このような枠組みを前提に,被告人の過失を肯定したものと解される。」
「結果発生に至る因果のプロセスにおいて,複数の事態の発生が連鎖的に積み重なっているケースでは,過失行為と結果発生だけを捉えると,その因果の流れが希有な事例のように見え具体的な予見が可能であったかどうかが疑問視される場合でも,中間で発生した事態をある程度抽象的に捉えたときにそれぞれの連鎖が予見し得るものであれば,全体として予見可能性があるといえる場合がある。これまでの裁判実務においては,このような考え方に立って過失の有無が論じられてきた事例が存在する。しかし,上記3のとおり本件の注意義務を理解するとき,本件は,上記のような予見可能性の判断手法,すなわち,連鎖的な事態が発生していることを捉えて「因果関係の基本的部分」は何かを検討する手法によるのがふさわしい類型とはいえないと思われる。「基本的部分の予見可能性」というポイントは,メタンガス処理の安全対策としての本件設計の意義をどのようなものと認識するかという検討に解消されているということもできよう。」
「過失犯については,結果の予見可能性,回避可能性という大枠によって成否を判断するのがこれまでの確立した考え方であり,もとより本件もその枠組みの中で検討されることになるが,その争点化に当たっては,具体的にどのような基準等が有用な判断要素になるかにつき,この種事案特有の多様な事件類型に応じて,適切な抽出が求められるところであろう。」

小池裕(裁判官出身)

平成27年4月就任、平成33年退官予定 

補足意見
最大判平成28年12月19日(平成27(許)11)預貯金債権の遺産分割
「多数意見によって遺産分割の対象となるものとされた預貯金債権は,遺産分割までの間,共同相続人全員が共同して行使しなければならないこととなる。そうすると,例えば,共同相続人において被相続人が負っていた債務の弁済をする必要がある,あるいは,被相続人から扶養を受けていた共同相続人の当面の生活費を支出する必要があるなどの事情により被相続人が有していた預貯金を遺産分割前に払い戻す必要があるにもかかわらず,共同相続人全員の同意を得ることができない場合に不都合が生ずるのではないかが問題となり得る。このような場合,現行法の下では,遺産の分割の審判事件を本案とする保全処分として,例えば,特定の共同相続人の急迫の危険を防止するために,相続財産中の特定の預貯金債権を当該共同相続人に仮に取得させる仮処分(仮分割の仮処分。家事事件手続法200条2項)等を活用することが考えられ,これにより,共同相続人間の実質的公平を確保しつつ,個別的な権利行使の必要性に対応することができるであろう。もとより,預貯金を払い戻す必要がある場合としてはいくつかの類型があり得るから,それぞれの類型に応じて保全の必要性等保全処分が認められるための要件やその疎明の在り方を検討する必要があり,今後,家庭裁判所の実務において,その適切な運用に向けた検討が行われることが望まれる。」

■最一小判平成28年12月8日(平成27(行ヒ)512)厚木基地航空機差止請求事件
「私は,法廷意見に賛同するものであるが,第1審原告らの自衛隊機に関する主位的請求(運航差止請求)に係る訴えの訴訟要件及び本案要件に関する考え方について,若干の意見の補足をしたい。」
「法廷意見が述べるとおり,防衛大臣及び第1審被告は,本件飛行場の周辺地域における上記騒音による被害の防止及び軽減のために相応の措置を講じてきたものといえる。しかしながら,自衛隊機の運航にはその性質上必然的に騒音の発生を伴うことから,本件飛行場の周辺地域の住民は自衛隊機の運航に伴う騒音により軽視し難い被害を受け,そのような被害に対して損害賠償が認められてきた経緯がある。このように,自衛隊の任務を遂行する中で,自衛隊機の運航に係る防衛大臣の権限行使によって国民全体に関わる利益を守ることと,本件飛行場の周辺地域における自衛隊機の運航に伴う騒音による被害の発生という不利益を回避することは,その対応と調整に困難を伴う事柄であって,具体的な対応については,関連する状況の内容,程度等に応じて様々な態様をとるべきものと考えられる。前述した事情等に照らすと,上記の二つの要請が作用する中で,本件飛行場において上記騒音による被害の防止又は軽減のための相応の措置を講じつつ自衛隊機を運航する行為が,社会通念に照らして著しく妥当性を欠くものと認めることは困難であり,防衛大臣の上記権限行使に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるものと認めることはできないというべきである。」

■最一小判平成28年12月8日(平成27(受)2309)厚木基地航空機騒音損害賠償請求事件
継続的不法行為に基づき将来発生すべき損害賠償請求権に関する将来の給付の訴えを提起することのできる請求権としての適格について,若干の意見の補足をしたい。」
「原判決は,上記の点に関する当裁判所の判例を前提としつつ,上記請求権としての適格について,(1)当該請求権の基礎となるべき事実関係及び法律関係が既に存在し,その継続が予測されること,(2)当該請求権の成否及びその内容につき債務者に有利な影響を生ずるような将来における事情の変動があらかじめ明確に予測し得る事由に限られること,(3)この事情の変動については請求異議の訴えによりその発生を証明してのみ執行を阻止し得るという負担を債務者に課しても格別不当とはいえないことの3要件が満たされるときに肯定されるところ,被上告人らの本件損害賠償請求のうち原審の口頭弁論終結の日の翌日から平成28年12月31日までに生ずべき損害について,本件で認定された事実関係に照らすと,上記約1年8箇月に限った将来請求において考慮すべき事情変動は,想定される事後的な事情変動の内容や範囲の点から,将来請求が当然に認められると解される不動産の不法占有者に対し明渡義務の履行完了までの賃料相当額の損害金の支払を求める場合と比較してみれば,両者を区別する実質的な相違はないといえるなどとして,その損害賠償金の支払請求を認容した。」
「しかし,上記の点に関する当裁判所の判例は,原判決が掲げる3つの要因を考慮すべきものとした上で,飛行場等において離着陸する航空機の発する騒音等により周辺住民が精神的又は身体的被害等を被っていることを理由とする損害賠償請求権のうち事実審の口頭弁論終結の日の翌日以降の分については,将来それが具体的に成立したとされる時点の事実関係に基づきその成立の有無及び内容を判断すべきであり,かつ,その成立要件の具備については請求者においてその立証の責任を負うべき性質のものであって,このような請求権が将来の給付の訴えを提起することができる請求権としての適格を有しないものであるとしているものである。すなわち,上記航空機の騒音等に係る損害賠償請求権は,その性質上,上記請求権としての適格を有しないとされるものであるから,前記1の原判決の判断は,当裁判所の判例に抵触するものといわざるを得ない。」
「また,防衛施設である厚木海軍飛行場の騒音の状況はその時々の予測し難い内外の情勢あるいは航空機の配備態勢等に応じて常に変動する可能性を有するものであり,過去の事情によって,将来にわたって一定の航空交通量があることを確定できるものではないことを否定できず,施設使用の目的や態様が公共的な要請に対応して変化する可能性を内包するものというべきである。そのため,たとえ一定の期間を区切ったとしても過去の事情に基づき上記航空機の騒音等に係る損害賠償請求権の将来分の成否及びその額をあらかじめ一義的に明確に認定することは困難であるといわざるを得ず,不動産の不法占有者に対する明渡完了までの賃料相当額の損害金の支払請求と事情を同じくすると考えることはできない。そうすると,過去の事情に基づき原審の口頭弁論終結時点における厚木海軍飛行場の周辺地域の航空機騒音の発生等が継続することが相当程度の蓋然性をもって認められるとしても,前記2の判断を左右するに足りるものではないというべきである。」

■最一小判平成28年7月1日(平成28(許)4)全部取得条項付種類株式の取得価格の決定 
「私は,法廷意見に賛同するものであるが,会社法172条1項に基づく全部取得条項付種類株式の取得価格の決定に関する裁判所の合理的な裁量の在り方という点について,補足して意見を述べることとしたい。」
「本件は,多数株主による完全子会社化に向けた公開買付けと全部取得条項付種類株式の全部取得という二段階取引が行われた事案であり,多数株主等と少数株主との間に利益相反関係が存し,会社から退出を余儀なくされる少数株主の保護が要請される取引が対象となっている。しかし,このように構造的な利益相反関係が存する場合についても,取引に関する意思決定過程が恣意的になることを排除するための措置が講じられ,一般に公正と認められる手続が実質的に行われ,多数株主等と少数株主との利害が適切に調整され,株式の買付価格が公正に定められたものと認められる場合には,裁判所は,独立当事者間の取引の場合と同様に,原則としてこのような手続を通じて定められた価格(取引条件)を尊重すべきものであると考えられる。すなわち,裁判所は合理的な裁量に基づいて株式の取得価格の決定をするが,その判断においては,まず,関係当事者間の取引において一般に公正と認められる手続が実質的に行われたか否か,買付価格がそのような手続を通じて形成された公正な価格といえるか否かを認定することを要し,それが認定される場合には,原則として,公正な手続を通じて形成された取引条件である買付け等の価格を尊重し,取引の基礎とした事情に予期しない変動が生じたと認めるに足りる特段の事情のない限り,当該買付け等の価格をもって取得価格とすべきものであると解するのが相当である。株式価格の形成には多元的な要因が関わることから,種々の価格算定方式が存する。そのため,株式価格の算定の公正さを確保するための手続等が講じられた場合にも,将来的な価格変動の見通し,組織再編等に伴う増加価値等の評価を考慮した株式価格について一義的な結論を得ることは困難であり,一定の選択の幅の中で関係当事者,株主の経済取引的な判断に委ねられる面が存するといわざるを得ない。このような株式価格の算定の性質からすると,本件のような事案において,裁判所は,買付け等の価格という取引条件の形成に関わる手続の公正について的確に認定するという点で特に重要な機能を果たすものといえる。そして,公正な手続等を通じて買付け等の価格が定められたとは認められない場合には,裁判所が取得価格を決定することになるが,その算定方法は市場株価分析によらざるを得ないこともあろう。ただし,裁判所が裁量権の行使に当たり,関係当事者等の経済取引的な判断を尊重してこれに委ねるべきか否かを判断するに当たっては,この方法が株式価格に関する多元的な要因を広く捉えるものとはいい難いという点も考慮する必要があろう。」
一般に公正と認められる手続を通じて本件買付価格が定められた場合には,取引の基礎とした事情に予期しない変動が生じたと認めるに足りる特段の事情のない限り,その価格を尊重しこれを取得価格とすべきものであるところ,原審は,特段の事情が認められないにもかかわらず本件買付価格を採用しなかった上,本件買付価格には取得日までに生ずべき市場の一般的な価格変動が織り込まれているといえるにもかかわらず改めて事後の事情を考慮した補正をする算定をしており,本件取得価格の算定に関する原審の判断は,裁判所の合理的な裁量を超えたものといわざるを得ないと考える。なお付言すると,本件において上記の特段の事情が認められないことは,少数株主の多数や株式市場によって本件買付価格が受け入れられたとみられることなどからも裏付けられるといえるであろう。」

■最一小判平成27年12月17日(平成27(行フ)1)抗告提起手数料の納付時期
「私は,本件においては,上記補正命令に係る手数料不納付の瑕疵は補正され,上記抗告状は当初に遡って有効となったものとする法廷意見に賛同するものであるが,事案に鑑み,以下の点について付言しておきたい。」
「国民は裁判を受ける権利を保障されており,その権利は尊重されるべきものであるが,裁判手続においては,裁判の相手方の利益,手続の適正な進行等をも考慮し,手続の趣旨に沿った権利行使をすることが求められるといえる。訴訟救助の制度は裁判を受ける権利を実質的に保障するため一定の要件の下に手数料等の支払を猶予する制度であるが,訴訟救助の判断を受けるために申立人がすべき行為をすることなく,殊更に派生的な申立て等を繰り返すなどして手続の適正な進行を著しく妨げる場合には,制度や手続の趣旨に反する濫用行為に当たるものとして,申立て等の効力を否定すべき場合もあるものというべきである。」

木澤克之(弁護士出身)

平成28年7月就任、平成33年退官予定

補足意見
最大判平成28年12月19日(平成27(許)11)預貯金債権の遺産分割
「多数意見によって遺産分割の対象となるものとされた預貯金債権は,遺産分割までの間,共同相続人全員が共同して行使しなければならないこととなる。そうすると,例えば,共同相続人において被相続人が負っていた債務の弁済をする必要がある,あるいは,被相続人から扶養を受けていた共同相続人の当面の生活費を支出する必要があるなどの事情により被相続人が有していた預貯金を遺産分割前に払い戻す必要があるにもかかわらず,共同相続人全員の同意を得ることができない場合に不都合が生ずるのではないかが問題となり得る。このような場合,現行法の下では,遺産の分割の審判事件を本案とする保全処分として,例えば,特定の共同相続人の急迫の危険を防止するために,相続財産中の特定の預貯金債権を当該共同相続人に仮に取得させる仮処分(仮分割の仮処分。家事事件手続法200条2項)等を活用することが考えられ,これにより,共同相続人間の実質的公平を確保しつつ,個別的な権利行使の必要性に対応することができるであろう。もとより,預貯金を払い戻す必要がある場合としてはいくつかの類型があり得るから,それぞれの類型に応じて保全の必要性等保全処分が認められるための要件やその疎明の在り方を検討する必要があり,今後,家庭裁判所の実務において,その適切な運用に向けた検討が行われることが望まれる。」

山口厚(研究者出身)

平成29年2月就任、平成35年退官予定

(対象期間中の個別意見が見当たらず)

第二小法廷

裁判官出身、かつ着任から日が浅いこともあって、対象となる裁判官に関する個別意見は見当たらなかった。
刑事訴訟に関する小貫芳信裁判官(検察官出身)の補足意見や、鬼丸かおる裁判官(弁護士出身)、山本庸幸裁判官(行政官出身)の切れ味鋭い意見は飛び交っていて、現在では、もっとも華やかな小法廷でもあっただけに、ちょっと残念である。

菅野博之(裁判官出身)

平成28年9月就任、平成34年退官予定

(対象期間中の個別意見が見当たらず)

第三小法廷

第三小法廷も、比較的意見が良く出るメンバー構成なのだが、今回対象となる2名は、いずれも今年就任したばかり、ということもあり、判断材料となるネタは限られていた。
個人的には、就任からわずか半年、というタイミングで、一票の格差訴訟に関して、異なる判断アプローチを示した林裁判官に期待したいところはあったりする。

戸倉三郎(裁判官出身)

平成29年3月就任、平成36年退官予定

(対象期間中の個別意見が見当たらず)

林景一(行政官出身)

平成29年4月就任、平成33年退官予定

意見
最大判平成29年9月27日(H29(行ツ)4、47)平成28年参議院選一票の格差訴訟
結論として,本件選挙当時,本件定数配分規定は合憲であったとする点で多数意見に同調するものであるが,幾つかの基本的な論点において趣を異にするところがある」
「私は,昭和58年大法廷判決が示した定数配分規定の憲法適合性判断に係る基本枠組みの下,上記のような国会の努力や較差の大幅縮小に向けた意見集約等の困難性等に鑑み,国会において,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態が生じていることを認識し得た平成24年大法廷判決の言渡し時から本件選挙までの間にその解消がなされなかったことが国会の裁量権の限界を超えるとまではいえないと考え,結論として,「本件選挙の当時,本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできない」とする多数意見に同調するものである。」

以上、「台風接近の真っ最中に投票所に行くからには、昔試験で「×」付けられた某東大名誉教授に・・・」とか何とか、様々な思いを抱えた一票を投じるために、ご参照いただければ幸いである。

*1:この3年の間は、大法廷も結構開かれていて、今回対象になっていない裁判官たちの意見はかなり活発に飛び交っていた印象はあるのだが・・・。

*2:しかも、「合区」にまで踏み切った参院選に対する判決で、必然的に多数意見が多くなった中での評価なので、今回は全ての裁判官が「×」になってしまっている・・・。

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