写真の無断使用(?)問題

ありがちな話とは言え、新聞記事になってしまうとちょっと恥ずかしい事例のご紹介。

「郵便局会社近畿支社(大阪市)は21日、京都市内の郵便局で販売していたオリジナルフレーム切手「龍馬が駆け抜けた町 京都・伏見」の写真が所有者の使用許可を得ていないとの指摘を受け、販売を中止した。」
「写真は東京都の古写真研究家の井桜直美さん(45)が所有しているものとそっくりで、井桜さんは「切手を見る限り、わたしが持っている写真だと思う。印刷会社からは何の連絡もなかった」と話している。」
「一方、近畿支社は「版権は印刷会社にあると考えている」としながらも「指摘があったため販売をいったん見合わせ、権利関係を調べた上で、販売を再開するかどうか検討する」としている。」
日本経済新聞2010年7月22日付朝刊・第34面、強調筆者)

「出所がいまいち良くわからない古い写真」を使っていいかどうか、という判断は、著作物をめぐる判断の中でもかなり難しい部類に入るもので*1、ましてや本件のように写真そのものを商品にしてしまうような場合は、なおさら悩ましい話になる。


ゆえに、郵便局会社の方も、「権利関係を調べた上で」といった、今さら感のあるコメントを出しつつも、本当の意味での「権利関係」(いわゆる「版権」=「著作権」)については、当然早い段階で確認していたはずだ。


というか、「おりょう」さんの若いころの写真、ということになると、撮影時期は明治初期の1870年代くらいで、その時代の写真の著作権なんて製作ないし発行後10年くらいで消滅してしまう代物だったから*2著作権的にはおそらく何ら問題はないのだろうと思われる*3


ただ、厳密な意味での「権利者」だけではなく、“今まさにそれを保有している”人に対しても気を遣わないといけないのが、写真や絵画といった類のコンテンツの難しいところ。


本件では、そもそも井桜氏が保有管理している写真と、郵便局会社が使っている写真が同じものかどうか、というところも確定しているわけではないようだが*4、仮に同じ写真を使ってしまっていたことが分かったとして、郵便局会社がどのような対応をするのか、というのは気になるところで、今後の展開が注目されるところである*5

*1:懐かしのhttp://gihyo.jp/design/serial/01/copyright/0007?page=2の記事なんぞも参考までに。

*2:正確にいえば、撮影された時点では旧著作権法はまだ制定すらされていない。

*3:郵便局会社がこの企画にGoサインを出したのも、そういった観点から問題がないと判断したがゆえだろう。

*4:とはいえ、こんな古い時期の写真を複数の人間が保有しているとはちょっと考えにくいし、写真収集を専門とする人が自分の写真と他の写真を見間違えてクレームするようなことも考えにくいから、写真の同一性を争うのは難しいような気がする。

*5:関連して調べていたら、約5年前にhttp://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20051108/1131465851のようなエントリーを載せていたことを思い出した。本件でも、お金を払うかどうか(払う場合の名目如何)といった問題はともかく、営利目的でコンテンツを使用する以上は、何らかの仁義は切らないといけないだろう、というのが、記事から受けた自分の率直な印象である。