忘れた頃にやってくる・・・

何年かに一度、忘れた頃にやってくる大相撲の「八百長」騒動。

今回は、野球賭博の捜査資料の中から「物証」が出てきた、というsengoku38氏もびっくりな捜査情報の“漏洩”で判明した*1、というところから胡散臭い話なので、自分はここ数日の大騒ぎを冷ややかな目で見ているのだが・・・。


そもそも、「八百長」の定義って何なの?*2、一体どこに問題があるの?*3、というところさえ考え方は人それぞれで一致を見ていないように思われるのに、番付が低迷している下位力士たちの“馴れ合い”的なメールのやり取りを暴いて、“相撲界は汚染されている”的に、あたかも鬼の首を取ったかのように騒ぐのはいかがなものか。

大相撲は、アマチュアのトーナメントのように「一期一会の参加者たちが、人生に何度とない真剣勝負を挑む」ような世界ではそもそもない。

一つひとつの勝ち負けに生活の糧がかかっている(しかもそのコミュニティを離れて生きていくのは簡単なことではない)「職業人」の集まりである以上、年に6場所も同じようなメンバーで顔を突き合わせていれば、優勝争いとか昇進争いの絡まないところでは、勝ち負けに手心を加えたって何ら不思議ではないだろう*4

「序の口から横綱まで、新人からベテランまで、皆ガチンコな真剣勝負の世界」と、土俵の上の世界を神聖化するのはメディアの自由だが、それにちょっとでも外れた者が出てくると徹底的に叩く、というのは全くいただけない話なわけで・・・。


相撲協会・放駒理事長の「過去には一切なかった」というファーストレスポンスについては、正直、首を傾げざるを得ないところもあり、果たしてそれが広報対応のあるべき姿なのかどうか(まだ詳細な事実を確認すらしていないのに、そんなことを言いきってしまって良いのか・・・)、という指摘は出てきても不思議ではない。

だが、そういった対応を考慮してもなお、今回の件については相撲協会に気の毒なところが多々あるように思えてならない。

今後、どのような形でこの騒動の幕引きが図られるのかは定かではないが、くれぐれも“正義の味方“ぶるメディアとそれを後押しする謎の“世論”等に押し流されたような処分がなされないよう、機会があれば見守っていくことにしたいと思っているところである。

*1:警察関係者の口の軽さは今に始まったことではないが、「何ら犯罪は構成しないが風評的ダメージは大きい」情報を、こうもいとも簡単にメディアに流すようなことをやってしまうと、どこかでしっぺ返しを食らわせてやりたくなる。

*2:プロレスのように主催者が「興行」そのもののシナリオを決めているようなものを指すのか、それとも、個々の参加者が独自に示し合わせて勝ち負けを決めているような場合も含むのか。

*3:勝敗を操る結果、裏で賭博等につながりやすいことが問題なのか、それとも、勝ち負けそのものに手心を加えること自体が問題なのか。

*4:社内でいつも角突き合わせている営業部門と管理部門の担当者同士であっても、譲れるところでは、時々仕事での“貸し借り”をする、というのと同じ話だ。

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