これは王者の余裕か?それとも敗退への第一歩か?

サッカー日本女子代表、予選グループの最終戦となった南アフリカ戦。

元々ユニフォームが「赤」っていう時点で違和感があったし(笑)、いくらローテーション、って言っても、このメンバーでは相手に気の毒だろう・・・と思うくらい大胆に入れ替えられた先発メンバーを見た時に、なんか嫌な予感がしたのだが、実際、試合が始まって見ると、膠着状態のまま、終盤は全く動きがないまま終了、と、応援に行った方々(&大勝を期待してテレビの前にかじりついていた人々)にとっては実に気の毒な結果になってしまった。

試合後、佐々木則夫監督が語った、

「次への準備を第一に考えた。ここのピッチでできる。グラスゴーだと移動で丸一日かかってしまう」(日本経済新聞2012年8月1日付け夕刊・第12面)

という開けっぴろげなまでの理由開示。
そして、あっけらかんと明かした、

「普通にやっていい。ただ、スウェーデン対カナダの状況次第ではドローで終わらせることを考える。」
「(川澄選手に対し)君には申し訳ないが、カットインの素晴らしいシュートはやめてくれ」

という選手への指示。

確かに決勝トーナメントの組み合わせのアヤゆえ、2位通過の方がいいんじゃないか、というのは、素人でも分かる話で、このブログでもそんなことを言った記憶はある*1

でも、お世辞にも強いとは言えない南アフリカ相手に、「0-0」で試合を終わらせよ、という大胆なオーダーを出すとまでは、自分も想像できなかった。

決勝トーナメントの組み合わせを意識して、予選リーグ最終戦で駆け引きをする、というのは、サッカーの世界では決して珍しいことではないし*2、試合を意識的にコントロールすることができる強いチームにこそ許される“特権”でもある。

選手の体調管理、そして(口にこそ出さないものの)対戦相手との力関係まで意識した佐々木監督の戦略は実に合理的だし、これが、“メダル”を半ば義務付けられたチームを預かる立場にある者がとれる最善の策だったのかもしれない。

ただ、初戦のカナダ戦以降、無得点が続いている“なでしこ“にとっては、試合で点を取るイメージを取り戻しておくことも重要だったはずで、いかに控えメンバー主体のチーム構成だったとはいえ、それができなかったことが、次の試合に響かないとは言い切れないような気がする*3

今回の五輪のアジア予選しかり、これまでの国際大会しかり、男子以上にハードな日程で戦いを繰り広げてきた女子代表であれば、移動の労苦もバネに変える力はあったのではなかろうか。
そして、力を出し惜しんだことが、次の試合で悪い影響を残すことにならないだろうか・・・。

決まった対戦相手が、相性が良いとはいえ、攻撃力もネームヴァリューもあるブラジル、ということも、自分にはどうも引っかかっていて・・・。

結果が全ての世界だけに、これで最終的に優勝でもしようものなら、「あそこがカギだった」と、名将・佐々木監督を称賛する声が随所にあふれることになるのだろうけど。

次の試合までは、自分の中の引っかかりは、多分消えないだろうと思っている。

*1:自分の場合、どちらかといえば会場移動の問題より、米国、フランスという対戦予想国が理由だったが。

*2:そこはバドミントンとは違う(?)ところ。ただし、やり方のうまい下手はあり、露骨にやれば当然批判を浴びることもあるし、空気を読まずに、引き分け狙いだった優勝候補を倒してしまった2002年W杯のお隣の国のようなケースもある。

*3:特に、前半の最初の頃は、それなりに攻めていたのに得点につながらない、というあまり芳しくない流れになっていたから、後半で主力を投入したタイミングで、一気に押し上げて修正を図った方が、いいイメージで次の試合に臨めたような気がする。

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