混乱の最中にひっそりと可決された一法案

最近、深夜のニュース番組さえロクロク見ることができない生活を送っていたせいで、新聞とネットニュース以外のメディア報道の感覚がほとんど分からない状況だった*1のだが、結局、6日の深夜に、与野党がバトルを展開したまま、特定秘密保護法参院本会議で可決されたようで、7日の朝刊紙面は、“国会の混乱”と“知る権利が侵される懸念”を憂うトーンで満ちている。

・・・で、そんな中、ひっそりと報じられているのが、次のニュース。

「改正独占禁止法が7日未明の参院本会議で可決、成立した。談合など不正を行った企業に公正取引委員会が下した処分を審判する機関が、公取委から東京地裁にかわるのが柱。2010年3月に同じ内容の改正案が提出されて以来、3年9カ月かかって成立した。」(日本経済新聞2013年12月7日付け朝刊・第4面)

「ようやく改正するのか」という感想よりも、今や「まだ改正されていなかったのか!?」という感想の方が、圧倒的多数を占めるのではないか・・・というくらい長かった。

元々、閣法として平成22年の通常国会に提出されたのが始まりで、その時点では、

「審判手続に係る規定について、全面にわたって見直すものとし、平成二十一年度中に検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」

という平成21年改正法の附則の趣旨にも沿った順当な改正、というべきものだったのに、利害関係者の様々な思惑もあってか、長らくたな晒しにされたまま、気が付けば2年以上経過し、平成24年10月に召集された第181回国会(臨時国会)では、内閣提出法案の中でも異例のポジションとなっていた(http://www.clb.go.jp/contents/diet_181/law_181.html参照)。

そして、ご承知のとおり、同国会が解散されたことにより、無念の廃案となり、政権が変わった今年の5月になって、ようやく再提出・・・。

そもそも、公取委の審判制度に対する問題提起がなされてから、改正法案が国会に提出されるまでの間にも、相当の期間があったことを考えると、それこそ“10年がかり”の改正といった感がある。

個人的には、民主党政権になってから急に進展した話、という印象もあっただけに*2自民党政権になって大丈夫かなぁ・・・(経団連もイマイチ関係がしっくりいっていないようだし)という懸念も微かに残っていたのであるが、公表されている内容(https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h25/may/130524.html)を見る限りは大丈夫そうではある。

あとは、実務サイドとしては、難産の末に生まれた新制度がしっかり育ってくれることを願うのみなのであるが・・・。
まずは、不服審査の役割を全面的に担うことになる裁判所側が、どういう形で制度を整えてくるのか、ということに注目しながら、施行後の第1号案件が出るのを気長に待つことにしたい。

*1:法務担当者としては、実はこの状況は極めてリスキーなのだが、それはまた稿を改めて・・・。

*2:過去のエントリー(http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20100312/1268542830)も参照。

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