そして、また、巡ってきたこの日。

あの大震災から、今日でとうとう4年、ということになってしまった。

自分にとっては、ついこの前のことのように思える記憶で、仕事の上でも未だに切っても切り離せないような出来事なのに、「大学に入って間もない1年生が、社会人になってしまう」くらいの歳月が流れてしまった、と聞くと、いろいろ考えさせられることが多い*1

とはいえ、4年前の「3・11」の直後に世の中を覆っていた絶望的な空気や、悲観的な見通しが、政権交代とともに始まった上げ潮ムードの影響もあってか、周囲からはすっかり姿を消してしまったのも事実なわけで、それが、「時の流れ」の効用でもあり、一方で、警戒しなければならないところでもあるのだろう、と思う。

ちなみに、自分にとって、3月は一年の中でも、五本の指に入るくらい余裕がない時期で、今年はそれに輪をかけてヒドイことになっているので、ここ数年、これだけは、ということで見てきたテレビ等での“振り返り”の企画も、ほとんど見ることができていないのだが*2、人々の声に耳を傾けると、今年も、「復興道半ば」というフレーズが、随所で多用されているようである。

表向きは、常磐自動車道の開通だとか、釜石へのW杯誘致決定だとかといった、“被災地”にまつわる華やかなニュースが取り上げられる機会が多いだけに、“安全圏”にいる者に対しての一種の戒め、として、唱えられているフレーズとも言えるのだろうが、この4年の間に、何度となく東北の太平洋沿岸エリアに足を運んで、当地の人々に接してきた者としては、全てが「道半ば」と一括りにされてしまうことには、やはり違和感がある。

確かに、被災した地域と、そこにいた人々の現況を、平均的にならせば、「道半ば」というのが、概ね収まりの良い表現、ということになるのだろう。

だが、どんな町も、村も、「平均的な人々」だけで構成されているわけではない。

ここ数年、このブログの「3・11」のエントリーで書いてきたように、そこにいる人、そこにいた人、一人ひとりに目を向ければ、あの時から現在に至るまでの生き様は、実に様々であり、それらを単純なフレーズで括ることなど、到底できないのである。


当時から覚悟され、予想されていたことだが、歳月が流れれば流れるほど、「震災前の時間を取り戻し、あるいは、それ以上に充実した日々を過ごしている人々」と、「震災前の時間を取り戻せずに日々もがいている人々」との間の“格差”は開いていく。

そして、国や自治体の「復興政策」ひとつとっても、どういう人々を念頭に置くかによって、やることは全く変わってくるのであり、そういった舵取りは、今後ますます困難の一途をたどることになる。

ディープにかかわっている人ほど、「いっそのこと、差異に目をつむって、ステレオタイプな割り切りで大震災の災禍に向き合ってしまえば、どれだけ楽か・・・」と思いたくなるのが本音だろう。

でも、現実に“差異”が存在している以上、それを捨象することはできないし、自分自身の目で見て、感じたことを、ありのまま受けとめて、何らかの形で還元できるように努めることこそが、この4年間、一貫して関わってきた者としての使命だと思っている。

どんなに画期的な復興政策が実施されたとしても、全ての人々が「3・11以前」の時間を取り戻せるわけではない。その意味では、「道半ば」というより、「決して終わることのない道のり」ということになるのかもしれないけれど、それが、ほんのわずかな部分で、今の自分のモチベーションを支えているのも事実だけに、“まだまだこれから”という気持ちを、まだしばらくは忘れずにいたい。


なお、復興支援情報サイトの「助けあいジャパン」のページ(http://tasukeaijapan.jp/tweets311/)で、「2011年3月11日(&それ以降の数日)のツイート」を読むことができる企画が行われている。

振り返ってみると、当日、冷静でいたつもりでも、冷静ではない部分はあった*3のかなぁ・・・などと、考えさせられることは多いのであるが、個人的には、それ以上に、震災が来る前の朝の呟きから、当時の切迫した心理状態が思い出され、「よくまぁ、あれから4年も同じ立場で仕事をしているなぁ・・・」と思わずにはいられなかった(苦笑)。

そして、これも、紛れもなく「大震災」のインパクトだったのだ、ということを、感じずにはいられないのである。

*1:特に、その前の大震災の時の「4年後」の感覚と比べると、東日本大震災が、いかに自分の体験と記憶の中に、根深く染みついているものなのか、ということを、改めて思わざるを得ない。そして、20年前に、この感覚に思いを馳せられるような洞察力があったら、西から上京してきて、人知れず重い何かを抱えていた友人たちに、もっと何かできることがあったのではないだろうか、と思わずにはいられない。

*2:この1、2週間、ニュースそのものをほとんど目にしておらず、世の中から隔絶された生活に落ち込みつつある・・・orz

*3:そもそも仕事時間中にTwitter投稿している時点で、今考えればどうかしている・・・。

google-site-verification: google1520a0cd8d7ac6e8.html