試されているのは「被災地」だけではない。

ここ数年、全国各地で自然災害のニュースを目にしない年はないのだが、そんな中でもこの1週間はちょっと特別すぎた。

台風21号直撃で関西国際空港が“水没”、そして、その続報を追いかける間もなく、6日未明には北海道を震度7の強烈な地震が襲い全道大停電という想定を超えた事態に。

自分は、2011年以降、こういう時に「とりあえず書いとけ!」という香りを漂わせた「お見舞い申し上げます」的なフレーズが躍ることに強烈なアレルギーがある。
どんなに想像力を働かせたところで、まさに災害に直面した人々とそうでない者が、同じ感覚を共有できるはずもないのだから、形だけの“共感”や、上から目線の“同情”を示すより、まず自分のできることをやれ、というのがその背景にある思いで、実際に動ける力のある者なら、現地に飛んで手を貸すなり、必要な物資を送るなりの行動を示すのがまず第一だし、それができなければ何かしらの間接的な「支援」につながる行動をとるしかない。
そして、何よりも大事なのは、「非」被災地域にいる者が、普段と同じように、いやそれ以上のものを消費行動に費やして、この国の経済基盤を下支えすることだ、というのが、「3・11」が教えてくれたことの一つだと自分は思っている。

また、関西国際空港が「陸の孤島」になったことや、北海道内の電力供給が丸一日以上寸断されたことに対し、「なぜあらゆる事態を想定して対策を講じていなかったのか?」といったような“論評”も飛び交っているが、そんなことをいま議論できるはずもなく、まずは完全なる復旧を目指した上で、その過程での緻密な検証を経なければ実のある話にはなりえない。当事者ですら時間をかけて検証しないとわからないことが山ほどある、ということは7年前に東電が教えてくれているし、被災直後のイメージ先行の議論がその後の国民感情や、時には政策議論をミスリードすることだって山ほどあるのだから、今は、議論する前に淡々と事実を記録せよ、そして中途半端なバイアスをかけずにありのまま伝えよ、というのが、メディアをはじめとするすべての関係者にお願いしたいことである。

なお、こういう時に法務の視点から何ができるか、ということは、自分も7年前、連日の非常時対応で心身ともに疲労困憊の中、必死に考えていたことだが、もし、今回の災害のさなかにいる関係者がこのブログをご覧になっているのだとしたら、書庫の中から↓を引っ張り出して特集記事を一読することを強くお勧めしたい(2011年6月号は見てのとおり「震災法務」の特集。また2011年8月号には「被災企業法務担当者が語る 法務相談、取引先・東電対応の現状」という座談会が掲載されている)*1

BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2011年 06月号 [雑誌]

BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2011年 06月号 [雑誌]

BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2011年 08月号 [雑誌]

BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2011年 08月号 [雑誌]

もちろん、「3・11」と今回の大震災とでは生じている被害の中身が異なる面はあるだろうし、それゆえに今後企業活動において生じる課題も異なる*2

ただ、突如として広域にわたる災害に襲われた時に、「法務」という仕事に携わる者がどういう心構えをもって事に当たるべきか、ということに関しては、あらゆる場合に共通する普遍的なものもあるわけで、その意味で、今だからこそ読み返されるべきことも多々あると思うのである。


P.S. 最後に、自分が連日繰り返し見ている水曜日のカンパネラの名曲の動画へのリンクをささやかな気持ちを込めてここに。すぐに飛んでいくことができないからこそ・・・の思いもあるのです。

*1:残念ながらいずれも既に版元でも在庫切れになっているようで、新たに入手するのは困難かもしれないが、当時の本ブログの記事にも、2011年6月号の特集のエッセンスは微かに記している(http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20110501/1304613290)。今回の震災を機に、当時の記事を再アップしてくれたら、BLJの発行元も有斐閣に並ぶ(「3・11」の直後、有斐閣が古いジュリストの記事をWebサイトにアップする、という英断をやってのけたことは未だに自分の記憶に深く刻まれている)、のかもしれないが・・・。

*2:さらに言うと、記事で引用されている法律、ガイドライン等の中には、「3・11」を経て変わったものもあるので、その点も要注意である。