トラウマを抜け出した先に光は見えるか

例年なら元旦の日付のエントリーで「・・・占う」をネタにいろいろと書いていたのだが、今年に関して言えば、自然災害に事故、と立て続けに危機イベントが続いていたこともあって*1、何となく躊躇していた。

とはいえ、「テレビを付ければ箱根駅伝」な正月に変わりはないし、当事者でもない人間が勝手に気に病んでも仕方ない、ということで、今年もつらつらと書きき残しておくことにする。

まずは昨年の反省の弁から・・・。

k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

例年、年初の予想を外すことが多い、というのは自覚しているのだが、昨年に関しては、かなりの自信を持って書いたつもりだった。

当時、新型コロナ禍下での過熱感を示す不吉な指標が次々と出てきていたし、世界の情勢を考慮しても強気になれる状況では全くなかった。

それが、まさか(おそらくは願望込みで書かれた)経営者たちのアンケート予測すら大幅に上回る結果になろうとは・・・*2

完全にピークアウトして下り坂に差し掛かりつつある隣国との対比で相対的な投資先としての魅力が復活した上に、新総裁下での日銀の巧みな市場対話がうまく噛み合った結果、ということなのだろうが、結果的には自分自身も恩恵を受けつつも、腑に落ちない感覚はずっと残り続けていた1年だったような気がする。

で、翻ってこの2024年。

いつもなら、恒例の「経営者が占う2024年」の企画を眺め、遂に「日経平均高値40,000円」の予想まで飛び出している有り様*3を見て、「なんと愚かな・・・」と悪態をつきたいところではあるのだが、今年に関して言えば、自分もそんなに弱気ではない。

コロナ禍明けの波を捉えた各企業の堅調な業績に、物価上昇率を大幅に上回る賃上げの兆し、加えて日銀の慎重な低金利政策の継続、と当面”好景気”が持続しそうな条件はそろっているし、加えて最初の数か月は「新NISA」で蓄積された個人の資金が株式市場に続々と流入してくることも想定される。

年の後半になれば、米国の大統領選でまた不穏な動きが出てきた、とか、中国発不況の影響がいよいよこの国にも・・・といった話が出てきても不思議ではないが、少なくとも前半に限って言えば、弱気になるような材料はそんなに見当たらないのである。

そうなると・・・


諸々の願望込みで言えば、今年の早いうちに、日経平均史上最高値、「3万8,915円87銭」という数字をさっさと超えてほしい、と自分は思っている。

平成最初の年、1989年、大納会で記録されたこの数字と比較してしまうがゆえに、この国では「失われた20年、30年、35年・・・」という言説が未だにまかり通ってしまうのであるが、その時代をずっと生きてきた者の目で見れば、あの頃の日本がそんなに素晴らしい時代だったとは全く思わない*4わけで、そこからの35年の間の、技術の進歩やそれがもたらした生活の利便性の向上、社会の多様性の深化・・・といったことを考えると、間違いなくこの国は住みやすい、生きやすい場所になっている。

もちろん、隣の大国を筆頭に、日本以上に大きな発展を遂げた国が多くある中で、世界の中での日本の地位が相対的に低下したのは事実。

ただ、全てがマイナスに傾いているわけではない以上、「失われた」という修飾語を使い続けるのは、バブル前世代のただのトラウマでしかない、と思うわけで、時代も既に令和。日経平均史上最高値更新」というニュースとともに、今年がトラウマからの脱却を果たす年になることを願わずにはいられない。

抜け出した先に待っているのが更なる上昇なのか、それとも再びの「低迷」なのかは分からないけれど、増えすぎた人口がもたらす社会課題への対処に四苦八苦していた昭和末期に比べれば、成熟した今の方が遥かに社会の効率化も図りやすい、ということも改めて強調して、今だけはほんの少し明るい夢を見ていたい(新年ですから・・・)。

*1:しかもそれをリアルタイムで体感していない、という後ろめたさもあり・・・

*2:日経平均の最高値は7月の33,753.33円で、秋口には30,000円台まで腰折れしたものの、年末にかけて巻き返し33,000円台で終了。年初1月の最安値25,716.86円からの上げ幅は記録に残る水準となった。

*3:近藤雄一郎・SMBC日興証券社長、高原豪久・ユニ・チャーム社長、中島篤・三菱地所社長、中田誠司・大和証券グループ本社社長の4氏が予測。もっとも”弱気”な予測でも34,000円(小部博志・ニデック社長)というバブル状態である。

*4:政治はぐちゃぐちゃだったし、本当の意味での貧困や取り残された地域が都会にもたくさん残っていた。

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