ここのところ一気にトーンダウンしている感のある「日本版フェアユース」。
20日には、文化審議会著作権分科会・法制問題小委員会に設置されたワーキングチーム(土肥一史・一橋大大学院教授)の報告書が提出された(http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/h21_shiho_07/pdf/shiryo_3_2.pdf)のであるが、報道によれば、その内容も、
「フェアユースの適用範囲を限定的とすることを盛り込んだ」
ものだと伝えられている*1。
残念ながら、まだ、アップされた報告書(全123頁。もっともその4分の3くらいは「資料編」である)をゆっくりと精査する暇はなく、上記のような報道が適切な評価かどうかについてのコメントは留保せざるを得ないのだが、今の流れからするとドラスチックな“革命”を期待するのは時期尚早かな、と思う*2。
個人的に面白いと思ったのは、同日の小委員会の「参考資料」として、日本新聞協会などの6団体による、「「権利制限の一般規定」導入に関する意見書」なるものが提出されていることだ。
(http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/h21_shiho_07/pdf/sanko_4.pdf)
今の流れの中で、「形式的権利侵害」への対応(特にウェブページの印刷)にすら目くじらを立てる前記意見書を見ると、この業界で何かを動かすことの難しさを実感せざるを得ない。
もっとも、必死に抵抗するあまり、
「新聞社サイトで配信された新聞記事の見出し部分の無断利用を違法とした知的財産高裁の判決」
まで「ウェブページの記事などを無断では使えないという司法判断」の一例として持ち出しているあたりは、ちょっとお茶目だなぁ、と思ったりもするのだけれど(笑)*3。