これは他山の石か・・・?

28日の朝刊に「改革骨子」が報道されてから、そんなに日も経っていなかったのに、あっという間に正式発表となった公認会計士制度改革。

金融庁は30日、公認会計士制度改革に関する中間報告書の中で、公認会計士の前段階に企業財務の専門家と位置付ける新資格を設けることを正式発表した。就職後も資格の勉強を続けやすくするため、いったん合格した試験科目の次年度以降の免除期間を現行の2年から10年程度に延ばすことも決めた。新資格の名称は「財務会計士」とする案が有力。筆記試験に合格し、監査法人や企業の財務部門などに勤務して3年程度の実務経験を積んだ人に与える。財務会計士となった後、追加の実務経験と、監査技能を身につける実務補習を終えれば公認会計士として登録できる。」
日本経済新聞2010年7月31日付朝刊・第7面)

それに先立つ、28日付朝刊の記事と合わせて読んでみると、要は、今回の改革の趣旨は、

(1)制度改革により、一気に公認会計士試験の合格者数が増えた。
(2)だが、景気悪化により監査法人の採用が伸び悩み、合格しても就職できない人が急増した。
(3)合格者数増加の背景には企業内での需要もあてこまれていたのだが、一般企業への入社を望む試験合格者は少ない。
(4)しかも、人数が増えたと言っても受かりにくい試験ではあることに変わりはないらしく、受験者も就職せずに試験勉強を続けるので、ますます一般企業への就職の機会がなくなっていく。

という“悪循環”を解消するためのもののようで、まぁ、どっかで聞いた別の資格の話とも似ているなぁ、と。


正直、法務に比べるとはるかに長い企業内での育成・組織化の歴史があって、有資格者に準じた社員の層も厚い(ゆえに、専門家に近いポジションの人間を違和感なく受け入れられやすく、実務経験も積みやすい環境にある*1財務会計の世界と、言わずもがな、な純粋法務の世界をパラレルに比べるのはちょっと無理があると思う*2


ただ、“士業”なんていうのは、実務こなせてナンボなのであって、紙の上の知識なんて過剰に蓄積しても大した意味はないのだから、「何が何でも難しい試験を受からないと資格を与えない」という発想を捨てて、「実務経験の蓄積」で資格を付与する、という発想に切り替える、というところは見習ってもいいんじゃないかな、と個人的には思うところ。


会計業界の新制度が機能するかどうか、という点だけでなく*3、この改革が他の業界にどういう影響を与えるか、というところも合わせて、今後の行方に注目していきたい。

*1:この辺はあくまで自分の主観だが。

*2:法務の場合、そもそも入植者を受け入れられるだけの“領土”を持っている会社の方が少なかったりするから・・・。

*3:余談だが、新しい資格が受け入れられるかどうかは、それが、今、企業内の経理会計の現場で仕事をしている人々にとって、自らの能力を示すための魅力的なものに映るかどうか、という点にかかっていると思う。

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