繰り返してしまう歴史。

我らが日本代表・オルフェーヴルが、“三冠馬”の肩書と、今年春の逸走→惨敗→復活V、という“神話”を背負ってフランスに乗り込んだ今年の凱旋門賞
前哨戦のフォア賞も快勝したし、相手関係も、昨年の覇者・デインドリームや最強牝馬スノーフェアリーといった有力どころが軒並み出走回避。
欧州各国のダービー馬が出走していたとはいえ、適性や臨戦過程等を考慮すれば、むしろオルフェーヴルのほうに有利な材料のほうが多かったから、目の肥えたファンにとっても、今度こそは・・・という雰囲気が強かった。

フジテレビが、情報番組の中でレースを地上波生中継する、という、グリーンチャンネル泣かせの異例の態勢を敷いたのも*1、改編期のコンテンツ不足を補う単なる煽り、というわけではなく*2、歴史的瞬間を皆で見届けよう・・・という関係者の思いゆえだったのだろう、と思う。

そして、ゲートを飛び出してから、道中ひっかかることもなく後方を追走し、最後の直線で、待ってましたとばかりに馬群の外側から一気に脚を伸ばしてきたときは、自分も間違いなく勝利を確信した。



だが・・・

一度差されたはずのソレミア&O・ペリエの脚色が鈍らず、逆に残り1ハロンくらいのところから、徐々に差を詰め、ゴールまであと30m、のラインを切ったくらいのところで、怒涛の逆転・・・。

これまでG2勝ちの実績しかなく、前哨戦のヴェルメイユ賞でも3着に敗れている低人気の4歳牝馬*3が、こんなところで大穴を開ける、という誰もが想像していなかった予測不可能な悲劇的決着となってしまった。

着差はわずかクビの差。3着以降は大きくぶっちぎる、と、オルフェ自体の強さは存分に見せつける格好にはなったものの、「今年勝たなくていつ勝つの?」という状況ではあっただけに、何とも悔しい。

「2着」は、エルコンドルパサーが10年以上も前に、既に辿り着いていた場所。
そして、あの時、「欧州連合」の前に、不本意なレース展開を余儀なくされたエルコン&蛯名の反省を踏まえたかのように、今回は手綱をスミヨンに委ね、アヴェンティーノという“当て馬”まで同走させて、万全の態勢で臨んだはずだったのに・・・。


13年の時を超え、半馬身差は、クビの差まで縮まった*4

しかも、これが、“内国産”のカラーが強い血統背景の馬が、普通に国内のレースをステップレースにして欧州に渡り、堂々一番人気の評価を受けながら残した結果だ、ということも、特筆すべきことだと思う*5

しかし、それでも、負けは負け。
あの僅かな差をひっくり返すまでに、あとどれだけ、関係者が心血を注ぎ続けなければならないのだろうか、と思うと、やっぱり切なさは残る。

クラブ馬主保有の馬、ということもあるし、個人的には、今年のノウハウを生かしつつ、もう一年現役を続行してオルフェーヴルに再チャレンジしてほしいなぁ、と思うのであるが、池江泰寿調教師のレース後のインタビューを聞く限りは、望み薄、というべきだろうか*6

秋以降、本格化の気配があるゴールドシップあたりに、来年、もう一度、内国産血統の意地を見せつけてもらえるなら、言うことはないのであるが・・・。

せめて、自分が生きている間に一度は・・・、と強く願う。

*1:グリーンチャンネルは、こともあろうに、スカパーの無料キャンペーン期間中であるにもかかわらず、凱旋門賞の実況だけは有料放送にしていた。何たる羊頭狗肉(苦笑)。

*2:大して前評判が高くないライバル馬を必要以上に“大きく”見せるあたりは、バラエティ色が濃かったけど。あと、コアなファンは皆注目していた僚馬アヴェンティーノへの言及が全くなかったのもいただけない。

*3:http://racedb.com/cgi-bin/p.cgi?id=035951参照。ちなみに前走の鞍上はスミヨン騎手。

*4:その前に、アタマ差まで縮めたナカヤマフェスタ、という凄い馬がいたのだが、あの馬の場合、低人気を生かしての騎乗、という一面もあったので、一応比較の対象からは外しておく。

*5:ディープインパクトの教訓を踏まえて、早めに現地入りしたとはいえ、エルコンドルパサーの時のように、丸々海の向こうで一シーズン費やして“欧州の馬”に戻さなくても堂々の主役を張れた、ということに、隔世の感はある。

*6:2年連続チャレンジして惨敗したナカヤマフェスタの例もあるし、さすがに来年、9歳になったアヴェンティーノを海の向こうに連れて行く、というわけにもいかないだろうから、このまま今季限りかな・・・という雰囲気はある。

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