馬が主役になりきれなかった菊の大舞台。

東京では木枯らしが吹く中、競馬のカレンダーも、いつの間にか秋のG1シーズンに突入し、迎えた牡馬クラシック最後の一冠、菊花賞

ドゥラメンテが無事夏を乗り切っていれば、間違いなく三冠馬誕生の瞬間を目撃できるレースになったはずなのだが残念ながら出走は叶わず、「無冠馬」同士で最後の一冠を賭けて争う本命不在のレースとなった。

個人的には、今回の18頭が、巷でいろいろと言われていたほど“小粒”なメンバーだとは思っていなくて、上り馬リアファルにしても、ダービー2着馬・サトノラーゼン*1にしても、後から振り返れば、「豪華メンバーだった」と言われるような出世を今後遂げてくれると信じているのだが、こと今日のレースに限っては、今の日本競馬の血統トレンドに今一つ合致しない「京都3000m」という舞台設定が、各馬の実力以上に、予想を難解なものにしてしまったように思えてならない*2

で、結果は、先行したリアファルが、予想通り、他の逃げ馬に絡まれてこれまでの勢いを発揮しきれず*3サトノラーゼンもダービーまでの切れ味は蘇らず。予想以上に堅実なレースを見せたリアルスティールも、最後はいつものジリっぽさで皐月賞に続いて2着止まり・・・*4

と、人気馬があと一歩届かない中、先頭で駆け抜けたのは、北村宏司騎手が操るキタサンブラックだった。

皐月賞に臨んだ時は3戦3勝で、今回のトライアルのセントライト記念も勝っていたくらいの馬だから、終わってから考えれば全く“不思議の勝ち”ではない。

だが、無敗で臨んだ皐月賞でさえ4番人気、皐月賞3着後のダービーは6番人気で惨敗(14着)、そして、6番人気で臨んだトライアルを快勝しても本番で「5番人気」という微妙な評価しか得られず、もっぱら馬主が大野商事北島三郎氏、という話題の方が先行してしまっていたような地味な馬だっただけに、ゴール後も何となくすっきりしない雰囲気が漂っていたように思う*5

これで重賞3勝目、通算でも7戦5勝、と、タイトルホルダーにふさわしい戦歴を備えた馬だけに、できることなら「表彰式でサブちゃんが熱唱した」というエピソードだけで終わってしまうようなことにはなってほしくないのだが、次に向かうべきレースはどこなのか。

いつもは“切れない”馬なのに、今日の長丁場の消耗戦では「上がり最速」*6を記録した、というあたりに、今後の活躍のヒントがおそらく潜んでいるはずで、できれば、ジャパンCには見向きもせず、有馬記念一本で調整してほしいなぁ・・・と思った次第である。

*1:ダービーまでの戦績を考えても本来なら大本命になっておかしくない立場だったのだが、トライアルで大敗したことで味噌をつけてしまったのが残念だった。

*2:本命サイドのリアルスティールリアファルサトノラーゼンにしても、伏兵と目されたスティーグリッツやベルーフにしても、距離適性としては2000〜2200mくらいがベストで、2400mがギリギリ限界、という感が強かっただけに、どの馬でも勝負を賭けにくかった、というのが、多くのファンの思いだったのではなかろうか。

*3:それでも3着に食い込んだのだから、やっぱりこの馬は本物だと思う。

*4:有力馬を擁しながら、ディープインパクト産駒はやはり今年も勝てなかった。個人的には、伏兵アルバートドッグが一発かまして、松田博資調教師のラストイヤーを飾ってくれることも期待していたのだが、なかなかうまくいかないものである。ブラックタイド産駒が勝てるのだから、ディープインパクト産駒に馬場、距離適性がないとは到底思えないのだが、これもめぐり合わせ、ということなのだろう。

*5:父がディープインパクトの代用品のブラックタイドで、さらに母父が短距離系の象徴のようなサクラバクシンオーとくれば、血統好きなファンの食指も当然伸びない・・・。

*6:といっても35秒0、というびっくりするようなタイムだし、ゴール前の印象はリアルスティールの追い込みを何とかしのいだ、という印象の方が強かったのだが・・・。

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