ブログ開設から14年を迎えて~「法務職域論」に関する若干の考察

8月4日は、自分の中では「当ブログ開設記念日」ということになっている。
始まったのは2005年だから、今年で丸14年。決してキリの良い区切りではない。

だが、それにかこつけて、今SNS界隈で、「法務職域論」(柔らかく言えば「法務の役割論」だろうか)なるものが局地的に盛り上がっているようなので、それに関して若干のコメントを残しておくことにしたい*1

まず、引用するのは以下の2件のブログ記事。
同時並行的に書かれたもののようだが、いずれも、「法務は積極的に仕事を引き受けるべき」というスタンスに対して、「職域」という観点からやや謙抑的なスタンスを取っているように見受けられる*2

ronnor.hatenablog.com

dtk1970.hatenablog.com

で、まず冒頭に断っておくと、少なくとも「一担当者」時代の自分は、「職域」といった類のものに縛られるのが全く好きではないタイプの人間だった。

事業部門から何か相談が持ちかけられれば、それが法解釈に関わる話かどうかにかかわらず、とにかく話は聞くし、交渉相手に出す文書なのか社内文書なのかにかかわらず、書面の添削なり起案なりを頼まれればとりあえずは引き受ける。
元々「法務」というカテゴリーで会社に入ったわけではなく、”隙あらばビジネスの現場に転じたい”というスタンスで仕事をしている時期もあった、ということもあるし、「法務の仕事をやっている」ことが認知されていない部署で仕事をする時間が長かった、というやむを得ない事情もあった*3

これは、それぞれの会社、それぞれの部門の方針(それぞれの担当者の「職域」というものにどこまで厳格に縛りをかけるか)にもよるのだが、自分が属している会社や部署から、自分の動きに強い縛りがかけられていないのであれば、本来やるべきとされている自部署の業務に支障を生じさせない限りは、自分の興味関心や、「信頼に応えたい」という思いのままに、カウンターパートの求めに応じて首を突っ込んだところで誰かに文句を言われる筋合いはないはずだし*4、筆者自身は「組織の前にまず『人』ありき」だと思っているので、「部門の職域がどこまでか?」という話と、「社員個人がどこまでの仕事に手を伸ばすか?」という話を無理にリンクさせる必要はないと考えている。

社内外問わず、自分が聞かされた一昔前の法務の先輩方の”武勇伝”の中にも、「領空侵犯して突っ込んでいった結果、手柄を立てた」という類のものは、実に多かった。

ただ、その「一昔前」と違って、今の世の中(特に大企業)では、(本人の「仕事観」如何にかかわらず)「頑張って長時間働くこと自体が悪」「仕事を効率化して労働時間を短縮することこそが善」という風潮が支配的になりつつある、というには注意する必要があって、今は、いかに若さに任せて「連日残業するので、どれだけ仕事を引き受けても大丈夫です!」と言い切ったところで、上司からは渋い顔をされるだけだと思われる。

そして、マネジメントがまともに機能している会社であれば、「管理する側」の上司としても、「部下のやりたいようにやらせる」というわけにはさすがにいかず、(1)「自分たちが絶対にやらないといけないこと」、(2)「少しでも余裕があれば手を出しておいた方が良いこと」、(3)「よほどのことがない限り、手を出すのは控えた方が良いこと」を区分けした上で、その時その時のチームのリソースに応じて、個々人に対する作業指示である程度縛りをかけることになるのではないかと思われるし、そこでは、当然のことながら(1)~(3)をどういう基準で切り分けるか、という頭の整理が不可欠となる*5

そこで、以下では、法務をメインで担当する部署の管理職の視点で、どういう観点で「仕事」を切り分けるか、ということを少し考えてみたい。

管理職視点からの「職域」論

「法務」の仕事というのは、あくまで会社の「事業/経営」の日常的な流れの中に存在するものだから、「法務担当者」は、サッカーに喩えるなら(ゴールキーパーではなく)「フィールドプレーヤー」のポジションに位置づけて考える必要がある

もちろん、事業部門との相対的な関係上、フィールド上での立ち位置は自ずから自陣寄り、ということにはなるが、現代の洗練されたサッカーにおいては、フォワードも最低限守備の意識がないとフィールドに立てないし、逆にディフェンダーには果敢な攻撃参加が求められるわけで、「自分のポジション」に固執してフィールドの一か所に立ち止まるような振る舞いをしていたら、「即交代」を命じられても文句は言えない

一昔前と比べて、処理しなければならない仕事の量・質や、求められる処理スピードが格段に上がっている今の会社の仕事に関しても、まさに同じことが言えるわけで、チームを預かる者としても、自分の率いるチームが仕事の流れからスポイルされることを避けようと思ったら、部下に対して、「これだけをやっておけばいい」という指示ではなく「状況に応じてフレキシブルに対応してください」という指示を出すのがまずスタートライン、ということになる。

その上で、いろいろと舞い込んできた事柄に対して、どう優先順位を付けて対応するか、最低限の”約束事”を決めるのが「次の話」ということになってくる。

まず「守備」をしろ!

当然、最初に考えないといけないのは、(1)「自分たちが絶対にやらないといけないこと」は何か、ということである。
そして、なぜ「法務」という機能なり部門が組織の中に設けられているか、そして、「法務」という職能を持つ者に周りが一般的に期待するのは何か、ということを考えるならば、以下の2つが「法務」の「コア」な役割だ、ということに異論を挟む余地は少ないはずだ*6

契約書の条文や強行法規等に関し、「法的見地からの解釈」が求められる場面で、事案に即して判断する。
(自力では判断できない場合でも)法的検討に値する論点を抽出し、背景事情等を整理した上で、社外の弁護士に照会する。

だから、仕事を取り仕切る管理職としては、部下の社員が、まずこういった「判断」をじっくりできるような環境を整える必要があるし、経験が浅い担当者に対しては、このプロセスを丁寧に踏むことでスキルを高めていけるように誘導する必要もある。
中には、自部署において、この2つがコアな仕事として確立されていない、という場合もあるかもしれない(特に社外の弁護士への相談に関しては、それなりの規模の会社でも、「事業部サイドが主導権を握っている」というケースは良く見聞きするところである)が、その場合は、他の仕事を捨ててでも、自分たちできっちりコントロールする体制を築くのが「法務」の役割だと自分は思っている*7

既に議論されているとおり、こういった仕事はどちらといえば「受け身」の仕事のように思われがちで、血気盛んな若者たちにとっては「つまらない」仕事なのかもしれないが、よく「果敢に前線に出て攻撃参加した結果、自軍の守備ゾーンをがら空きにして失点を食らうディフェンダー」が、評論家からもサポーターからもボコスコに叩かれるのと同じで、自分たちがコアな仕事をきっちりこなさないと会社全体が大きなリスクを負うことになってしまう*8ということに注意しないといけない。

そして、自分が見てきた限りでは、このコアな仕事の習熟度が高くない人ほど、「法務スキルが低くてもできる」他の仕事の方に興味を惹かれて手を出しやすい傾向もあるので、そこは多少嫌われ役を演じてでも、手綱をしっかり引き締めないといけないところではないかな、と思っている。

拾わない方が良いボール

さて、(1)をしっかりやった上で、そこからどこまで手を伸ばすか、ということになるのだが、(2)「少しでも余裕があれば手を出しておいた方が良いこと」は、各社、各部署の置かれている状況によってもだいぶ異なってくると思うので、先に(3)「よほどのことがない限り、手を出すのは控えた方が良いこと」は何か、というところから考えてみる。

自分が真っ先に思いつくのは、「英文契約書の翻訳」とかだろうか・・・(笑)。
今では賢い翻訳ソフトも出てきているので、うまく使えば、以前ほどの手間ヒマはかからないのだけど、契約書のコアな部分は、法務的なエッセンスが満載されたボイラープレート条項の部分ではなく、取引の内容そのものを規律した部分なので、そこの翻訳まで法務に丸投げしてどうする!と押し返すことが自分は多かったし、よほど仕事がなくて困っている、という場合でなければ、安易に引き受けず、事業部門側で自力で訳すなり外注するなりしてもらう、というのが適切な役割分担だと思う*9

あと、自分たちですべてをコントロールできないもの、責任を負えないものを「単独で」引き受ける、というのも極力しない方が良いと思っていて、典型的なのは、「契約協議が一向に進まないので、お互い『法務だけで』話を付けてきてもらえませんか?」とか、「法務同士でメールのやり取りしてもらえませんか?」という類の悪魔のささやき。

これ、一見、頼られているように見えて、「話が進まない責任」を他の部署に押し付けてしまおう、という魂胆がどうしても見え隠れするものだから、自分は基本的に引き受けないようにしていた。

もちろん、契約書の中の純粋な法解釈の部分でやり取りが膠着して、交渉戦術上、一度「話が分かる人」だけでディスカッションした方がスムーズに進む、と言えるような場合であれば、こちらから提案することもあったりはしたけど、大抵は相手の方が乗ってこないし*10、責任感の強い事業部の担当者であれば「そうはいっても同席します」と言ってくれるはず。

お盆明けにテーブルに回ってくる「帰省先のお土産」と同様に、好みだろうが好みでなかろうが、「持ち込まれた仕事」はありがたくいただいておくのが商売の基本、とはいえ、それが”毒饅頭”だと察しがついている時は、「自分、アンコが苦手なもので・・・」とお断りするくらいの度量も管理職にはあってよい、と思うのである。

一番悩ましいジャッジメント

ここまでくると、あとは、(2)「少しでも余裕があれば手を出しておいた方が良いこと」をどう捌くか、ということになってくる。

既に述べた通り、この部分は、まさに「自分たちが置かれている相対的な状況による」としか言いようがないところで、これも下手な喩えを使うなら、

フォワードが前線からきっちり守備をして、得点機を確実にものにしてくれるチームであれば、ディフェンスは後ろ寄りに構えて前線にボールを供給する仕事に専念することができるが、フォワードは守備をさぼりがちで、ディフェンス陣も自陣に張り付いて積極的に前に出ない、という弱小高校サッカー部みたいなチームになってくると、ボランチはグランドを縦横無尽に走り回らないといけなくなる」

というのと同じで、「法務」という部署名、職能名から、直ちに「どこまでやるべきか」という結論が導かれるわけではない、というのが大原則である。

とはいえ、ここで話をまとめてしまうと、冒頭のテーマに対しては何も答えていないに等しいので、強いて手がかりを探すとしたら、

「カウンターパート(事業部門等)の側に、契約書その他の論理的な文書の『読み書き』ができる人がどれだけいるか?」

というのが、自分たちの立ち位置を考える上で、一番のポイントになってくるのではないだろうか。

前線の営業担当者が、ある程度契約書のことを分かっていて、交渉でのやり取りを踏まえた修正案も作ろうと思えば作れる、という程度の技量を持っている事業部門に対して、屋上屋を架すようなサポートをする必要は本来ないし、「本来自分たちでできるはずなのに、わざわざ法務に持ち込んでくる」のだとしたら、そこに単なるサポートだけではない”裏の意図”があるんじゃないか、と疑うことも必要

逆に、ノリも勢いも人当りもいいけど、契約書どころかメールの文章も怪しい・・・という雰囲気のスタッフを揃えた事業部門に対しては、多少無理をしても突っ込んでいった方が良いのは間違いない。

特に後者の場合に怖いのは、”法務の出番”(上記(1)のスキルを発揮できる場面)になるまで待ちの姿勢で引っ張ってしまうと、ビジネススキームも交渉内容も契約書の中身もグチャグチャになって、「何が問題か」を整理するまでに相当な時間を要してしまう恐れもあること*11

したがって、この場合には、「これって本来の法務の仕事じゃないよな?」という疑念を持ちつつも、相手方とのメールやレターをこまめに確認したり*12、俗に「人生相談」と言われるような相談ともグチとも何ともつかないような話に付き合ったりすることも、ところどころでカウンターパートの「内部説明」用に事柄を整理したドキュメントや資料を作るようなことも、「将来ムダに働く時間を作らない」ためには不可欠だし、事業部門側から積極的に確認を求めてこないような場合は、「そこまで引き受けますよ」と、法務側から言ってもいいくらいだと自分は思っている。

また、ここまで密なやり取りが必要ないカウンターパートであっても、相手の懐に飛び込める機会、例えば「次の案件に向けたフリーディスカッションをやろうと思っているんですけど来ますか?」と誘われるようなことがあれば、(たとえそれがただの飲み会だったとしても)飛び込んでいかない手はない。

最初の方で書いた話とも重なるけど、結局、仕事っていうのは、人と人のつながりから生まれるものなのだし、管理職にしても担当者にしても、「所属する部門」とか「職能」以前に一人の人間として、カウンターパートとなる部門の人たちとどうかかわるか、ということが一番大事なわけだから、「軸足は(1)だよ」ということだけは忘れないようにしつつも、余裕がある限り飛び込んでいく意欲がある人には飛び込んでいかせる、というのが良いのではないかな、と思った次第で*13

おわりに

以上、いろいろ書いては見たが、結局のところは、

「サッカーの戦術が、世界中のクラブの数だけ存在する」と言われるのと同じで、法務のあり方、役割、守備範囲なんてものも、世の中の会社の数と同じだけのパターンがあるのだから、それぞれのスタンスに対する好き嫌いはあっても、「良い悪い」という評価を安易に下すことはできない。」

ということに尽きる。

また個人的には、最近いろんなところで、昨今の担当者を評して、「ただ仕事が来るのを「待つ」だけで、自分から飛び込んでいく意欲が乏しい」とか「持ち込まれた仕事にすらなかなか前向きに取り組んでくれない」という類の話を聞くことも多かっただけに、「『手を広げていいかどうか?』なんてことが話題になるようなポジティブな世界がまだあったのか!」と変な感心すらしてしまったところはあった。

担当者の世代に、「法務の役割を広げたい」という意欲を持った人たちが一定数いるのだとしたら、それは決して悪い傾向ではない。
ただ、それなりに長く組織の中で生きてきた者には、「『役割』と『責任』は表裏一体だよ」というシンプルな原則を伝える義務もあると思っている。

最終的に責任を負う部署ではなく、責任を負う立場でもない者が、手を広げて口を出したことが大きな失敗につながった時に責任を負うのは、自分を頼ってきてくれたカウンターパートの部門であり、その部門の管理職(場合によっては担当者)である。相手に良かれと思ってしたことがかえって相手を傷つけることもある、という怖さは、誰かが伝えないといけないし、それを知らずに踏み込むか、理解した上で踏み込むか、で、言葉の重みも変わってくるはずだから。

なお、「黒子」の件についてだが、あのやり取りを見て自分が思ったのは、

「普通の大企業だったら、社長(or 一部の上級役員)以外は、どれだけ活躍しても、傍から見たらみんな『黒子』だよね(笑)」

ということ。

それこそ法務の担当者なんて、「黒子」としてでも認めてもらえる(=個々の事業の成功に貢献していると評価される)のであれば、それはもう最高評価といっても過言ではないわけで。

社内で商品開発者とか、営業最前線の社員をとにかく讃えて持ち上げるような風潮がある会社だと、「自分たちもスポットを浴びたい」という思いにどうしても駆られてしまうのかもしれないけれど、大事なのは、「華々しく目立つ活躍をする」ことではなく、「大事なところで自分たちの仕事が利いている」ことを会社の上層部に認めてもらうこと、そして、何よりも一緒に仕事をしているカウンターパートの事業部門の人たちに認めてもらうことであって、それは、過度に仕事の範囲を広げなくても、(1)のコア業務を的確にこなすことで、達成できると思うのである。

もちろん、管理職レベルになってくると、「仕事の断る時でも細やかな気配りを欠かさない」とか、「シンプルな本来業務の対応をしただけでも、『お役に立てましたよね?』ということを効果的な相手にさりげなくアピールする」といったテクニックも必要になってくるのだけれど、それが生きるのも、本来の仕事を相手に期待されるスピード感できっちりこなしてこそ、なので・・・。


この14年の間に、「法務」の世界の担い手は当然変わってきているし*14、使うツールもちょっとずつ変わってきているけど、その中で議論されていることは、びっくりするくらい変わっていない、というのが自分の印象。

「新しい話」のように取り上げられていることが、実のところ10年以上前からみんな考えていたことだったりもするわけで*15、そこに自分は一番のもどかしさを感じていたりもするのだが、そんなループを繰り返す中で、どこかで壁を突き破ることができればな、というのが今の自分の思いである。

おまけ

しばらく非公開設定を続けていたが、節目の14周年、ということで、プロフィールも更新したので、ご笑覧いただければ幸いです。
一言で言えば「中途半端な節目にしては、まぁまぁドラスチックに変わったけど、中身も思いも変わってません」というところかな。

profile.hatena.ne.jp

*1:今日のエントリーのタイトル、よく古稀論集とかで見かける類の雰囲気だなぁ、と思ったのは自分だけか・・・。

*2:おそらくronnor氏が引用しているSNSのやり取り以前に、Twitter上でいろいろなやり取りが飛び交っていたのだろうと推察するが、自分はほとんどそれらに接していないので、以下では、引用されたやり取りを出発点として思ったことを書くことにする。

*3:自分から「営業」に行かないと実のある仕事はもらえない、という時期もあったから、「何か話が来たらとにかく受ける」というマインドが染みついていたのだった。

*4:逆に、そのような環境であれば、自分が「やるべき」と思っていることにだけ徹する対応をしたとしても、文句を言われる筋合いはない、ということになる。

*5:それを「職域論」と呼ぶかどうかは別として、その基準を明確にしておかないと複数の部下がいるチームで統一的な対応を取ることは難しくなる。もちろん、各人の業務習熟度に応じて「手を出してよいレベル」に差を付ける、というやり方もあるのだが、「業務習熟度」と「頼られ度合い」は必ずしも比例せず、本来は(1)のレベルの仕事の完成度を高めないといけない社員のところに、(2)~(3)の仕事の依頼が集中するということも現実にはあるので、やはりそこはチームとしての約束事を明確にしておく必要がある。

*6:これに加えて、「法的判断のプロセスを整理、記録化して共有する」等々、付随するコア業務を有している法務部門もあるだろうが、複雑になるのでここでは割愛。

*7:的確な回答を得るためには、的確な質問をしなければいけない、というのがまず第一だし、無駄な質問を減らしてコストを削減する、という効果も決してバカにはならないので。

*8:ここで言う「リスク」には「違法行為が発覚してダメージを受ける」といった多くの人が想像するようなパターンだけでなく、「本来もっと稼げるところがあったはずなのにその機会を逃す」というパターンも含まれる。「ボランチが前がかりで攻撃参加しすぎた結果、相手の苦し紛れのクリアボールを拾うのに手間取り、波状攻撃で得点できる絶好のチャンスを逃す」場面を想像してみるとよいと思う。

*9:これも言い方、やり方の問題はあって、いきなりピシャっと撥ねつけると相手の心情を害するから、「取引特有の専門用語が多いようで、ちょっと時間がかかってしまうかもしれないので、中心条項の部分だけでも先にそちらで翻訳作業を進めていただけませんか?」くらいの返し方でお茶を濁す、というパターンが多かったかな、と。

*10:それは純粋な法解釈だけで議論したら形勢不利というのが分かっているから、に他ならない・・・。

*11:更に最悪のパターンとして、そんな状況に事業部門の「偉い人」が耐えられなくなり、ロクロク話も整理しないまま「○○弁護士に相談して!」と、フィーがやたら高い外部弁護士への相談を事実上強要してくるような場合もある。

*12:この点に関し、ronnor氏は消極的に捉えておられるようだが、深い法的検討を要する場面ではないな、と判断できれば、無駄に時間を使うことなく「OK」で返せばよいだけの話だし、法務だけでなく事業そのものの経験も浅い担当者にとっては、自分の会社の事業部門の交渉プロセスを知る、という意味で貴重な機会ともいえるので、自分はむしろ積極的に受けてもらうようにしていた。

*13:dtk氏は、「危機管理系の仕事に巻き込まれた時に備えて可用性を確保しておく必要がある」という趣旨のことも述べられているが、自分はその時はその時、と割り切っていたところはあるし、「今、○○で大変だからいつもの仕事はそちらでお願いしていいですか?」と言えば、そんなに嫌な顔をされることもなかったので、あえて”手すき”の状況を作り出す必要まではないのでは?と思っている。

*14:とはいえ、トップで「顔」になっている人は実はこの10年くらいそんなに変わっていない、というオチもあったりして・・・(苦笑)。

*15:もっとも、それは「法務」に限らず、日本企業の組織論、職能論全般に共通する話でもある。