青と赤の気まぐれSWING。

大勢が決着したらエントリーを上げようと昨日から待ち構えていたのだが、結局日本時間で2日目の夜に突入しても、残された5州の青と赤は膠着状態が続く。

そう、言うまでもなく米国大統領選2020の話。

選挙戦が終盤に差し掛かった時期になって、嘘か真か、現職の大統領が新型コロナ感染という話になり驚愕したのは10月初めのことだった。

k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

一報を聞いた時に抱いた嫌な予感も何のその、この一件の直後にバイデン候補が支持率で大きくリードしたというニュースを聞き、さすがに米国民もそこまでアホではないか、と思ったのもつかの間、投票日が近付くにつれてトランプ大統領側が一気に追い上げ、蓋を開けてみたら全くの拮抗状態。

いや、開票が始まってからしばらくは、元々事前報道が眉唾だったテキサス、フロリダはもちろん、オハイオまで早々に陥落し、他の「激戦州」とされていた州でも見た目は明らかに「赤」が優勢、ということで、「バイデン絶体絶命か・・・!!」と嘆く時間帯の方が遥かに長かったような気がする。

幸い、ここに来て郵便投票の威力が発揮されたのか、前回鬼門となったミシガン州をバイデンが奪回、ウィスコンシン州も形勢が逆転して、当初から「青」が優勢だったアリゾナ州ネバダ*1を抑えればバイデンの逆転勝利確定、という展開に。

さらに「赤」優勢だったジョージアノースカロライナペンシルベニア各州の開票がじわじわと進み、しかもこれらの州は依然として現在の数字ではトランプ候補優勢ながらじわじわと「青」が勢いを増してきているものだから、余計にざわつきは増す。

既に郵便投票の取扱いをめぐって民主党系の州知事がトランプ陣営と激しい舌戦を繰り広げているペンシルベニアのような州で決着が付くようなことになってしまうと、「法廷で徹底抗戦」を掲げるトランプ陣営の思うつぼだから、できれば先行していたアリゾナネバダで決着してほしい、と思いながら眺めているのだが、この両州の開票状況の数字はある時からぴたりと動かなくなっているようで、極東の島国の人間にはもう一体何が起きているんだかよく分からない・・・という状況になっている。

こうなると思い出すのは、ちょうど20年前、アル・ゴア副大統領がブッシュ息子と争った選挙戦で、あの時は月が変わってもまだすっきりと当選者が決まらずにゴタゴタしていた。

忘れもしない12月上旬、職場旅行で行った季節外れのハワイが自分の初めての海外渡航だったわけだが*2、街中にはまだ大統領選のキャンペーンポスターが残っていたし、確かちょうど滞在中にゴア陣営がタオルを投げることになって、現地のテレビ局が流すニュースも軒並みその話題だった、ということが思い出される。

あの時も争点になったのは投票方式。それも「投票カードのパンチ穴が機械で読み取れない」という、当時世界で断トツ先頭を走っていた国とは思えないような何とも情けない話で両陣営が司法機関をフル活用し、結局連邦最高裁が再集計を認めずに決着、となったわけだが、今回もまた同じようなことが繰り返されるのだとしたら、ため息しか出てこない。

もちろん、こういうドロドロした話が出てくるのは、「ガチの選挙で勝者を決める」という民主主義のルールが徹底されていて、かつ、さらにそのプロセスを審査するための、政治からは一歩、二歩距離を置いた司法機関が存在する、という近代国家の形があるがゆえで、「こんな時にいつまでも次のリーダーを決められないのは見苦しい」などという批判をしてしまうと、今の中国やロシアの有様を正当化することにもなりかねないから、かの国と同じ陣営に属している(と信じている)異国の人間としては、温かく見守るほかないのは確か*3

ただ、この20年で世界の重心が大きく動いてしまっている今、「いつまでも決められない」状況が続くことでまだ微かに残されている”超大国”の権威が失われることはあっても、それを取り戻せることは決してないのだから、目下敗色濃厚と言われている現職大統領には、

This is America and we put country before party.

の精神をさっさと発揮してほしい、となどと言ってしまうと、ロバさん贔屓が過ぎるだろうか。

まぁトランプが勝とうがバイデンが勝とうが、早々に決着が付こうがこの先1~2カ月長引こうが、この先の4年間で世界の重心はさらに米国から遠ざかっていくことに変わりはないし、いずれ、あの太平洋の逆端の大きな島国の選挙が、今ほどの注目を集めなくなる時も遅かれ早かれ来ると自分は確信しているので、「今だからこそ楽しめるショーを楽しむ」という発想でも良いのかもしれないけど、目先の相場のことなども考えると、やっぱりさっさと終わって落ち着いてくれ、というところが先に来るかな・・・ということで*4


なお、本日のエントリーのタイトルの元ネタはこちら。

気まぐれSWING

気まぐれSWING

  • 発売日: 2019/06/14
  • メディア: MP3 ダウンロード

ビル・クリントン大統領の就任演説*5と同じくらいの時期によく聞いていた曲。

これもまた懐かしい青春の一ページ、である。

*1:元々は決して民主党が強いエリアではなかったはずだが、カリフォルニア州から流れ込んできた住民の影響で情勢が変わってきている、ということは以前から伝えられていたエリアでもある。

*2:こう書くと随分とブルジョワな職場のように見えてしまうだろうが、なんてことはない、売上の伸び悩みに苦しんでいた支店が「職場旅行」の名目で社員に高額の旅行商品(当時の月給手取り分は優に超えていた・・・)を買わせる、というタコ足食い施策に泣く泣く付き合わされただけの話である。

*3:日本でも最近、賛成/反対が真っ二つに割れるような住民投票があって、それに対して「住民に悩ましい選択を迫るような住民投票を行うこと自体失当」というような批判も散見するところだが、(安易に「住民投票」という直接民主主義的手法を取ったことの是非はともかくとして)「難しい選択を強いることになるから民意を問うべきではない」という発想は一歩間違えると非常に危険な方向に行きかねないことにも留意する必要はあるように思う。

*4:この3、4日間のNY市場の上げっぷりが半端ないがゆえに、この先に待ち構えている谷に戦々恐々としているのは自分だけではないはずだ。

*5:あのスピーチは、それまで3~4年くらい毛嫌いしてほとんど触っていなかった「英語」への興味を取り戻すきっかけになった、という点で自分にとっては凄く大きな意味を持っているもので、聞き込んだカセットテープは今でも実家のどこかに転がっているはず。

google-site-verification: google1520a0cd8d7ac6e8.html