2021年が終盤に差し掛かった頃に突如現れた「オミクロン」を、「B級ホラー映画の最後の30分の展開」と評したのは11月も末の頃だったろうか*1。
瞬く間に感染者を増大させた欧州や米国を横目に、日本は良く踏みとどまっているなぁ・・・と感心していたのはつい数週間ほど前の話だったのだが、年を跨ぐ頃からじわじわと増えてきた感染者は、今日になって再び全国1000人を超え、一部の自治体では再び「まん延防止」という話も出てくるようになった。
そりゃあそうだ。
長く続いた自粛ムードが和らいだ先月は、宴席の声がかかる機会も2年ぶりくらいに多かった。
自分が出る会合は、立場上招かれて一人で行くことが多いから、人数は多くても3、4人がせいぜい。
だが店内を見回すと、しばらく目にすることのなかった大人数の「忘年会」が結構な頻度で繰り広げられていることもたびたび。
それが過ぎれば、今度は歳末セールでデパ地下が大混雑。
年末年始は駅も空港も商業施設も、とにかく人が多くて、閑散とした空気に慣れていた身には眩暈がするくらいクラクラさせられたものだった。
だから、感染者がこの先、倍々ゲームで拡大していったとしても、自分は全く不思議とは思わない。
今世の中を見回すと、「時代は変わった。もうコロナ前には戻れない」と叫び続ける人と、「これから本格的にコロナ前に戻る」と怪気炎を上げている人に二分されているように見えるし、SNS等でそういった”思想”に追随する人々の数だけ見れば、前者の方がやや優勢かな?と思えるような雰囲気もある。
だが、現実には、多くの会社でリモート勤務体制が解除され、再び街に繰り出す人々で溢れ返り始めている、というのがこの世の日常で、少なくとも「オミクロン」の一つや二つではその流れが揺らぐことはないだろう、というのが、つい昨日までの空気だった。
この先、再び跳ね上がるであろう感染者の数がそんな空気にどう影響するのか、今の時点では何とも言えないところはあるのだけど、唯一つ確実に言えるのは、COVID-19などものともせず人々がさらに町中に繰り出すようになっても、逆に再び人々が巣篭もりの世界に逆戻りしたとしても、そんなこととは関係なく世の中は回り、確実に前に進んでいく、ということ*2。
そして、それはこの約2年間の壮絶な社会実験で十分証明できたことだったはずだから、この先感染者数が5000人になろうが10000人になろうが、それによって世情の針がどちらに振れることになろうが、過度な悲観も楽観もする必要はないぞ・・・と今は思っているところだったりもするのだが、果たしてこれまでの教訓は生かされるのだろうか?
適度にリスクを取りつつ落とし穴を回避する器用さに、極端に流されず自分の価値観を貫く骨太さ、さらに異なる価値観を流しながら受け入れる寛容さ・・・。
長く続いた大作の最後に突入するこれからの”30分”で試されるのは、免疫力以上に大事な何か、のような気がしている。
*1:こちらのエントリーより。2021年11月のまとめ - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~
*2:もちろん、それによって浮くところ、沈むところはあるが、トータルで見れば世の中トントンで収まるようになっている。