今年に入って、何度か”今年の中央競馬は異常事態”説を唱えているこのブログだが、今週末も、ドバイ帰りで戦線復帰するはずだったルメール騎手が開催日直前になって、突如の全騎乗キャンセル、という驚きの事態となった。
おそらく、また新型コロナ絡みだろうな、というのは薄々想像ができたのだが、土曜日が始まった時点では真相分からず、「PCR検査の報告懈怠で戒告」という処分がJRAから公表されたのは、土曜日の夜になってからのこと。
今年のルメール騎手のバイオリズムを考えると、仮に今週末予定していた全てのレースに騎乗したとしても、どれだけ勝利数を伸ばせたかは怪しいのだが、これで、川田、岩田望来の両騎手に続き、横山武史騎手にも5勝差を付けられ、騎手リーディングの座がますます遠のくことになった。
そして、今週のメイン、GⅠ・大阪杯。
昨年も雨の中、コントレイルが敗れて4番人気ー6番人気の決着となったように、シンプルなレース条件の割には決して堅いレースではない。
ただ、今年に関しては、ハナ差のダービー2着を除けば全て勝っているエフフォーリアが1番人気、さらにサイレンススズカの再来を思わせる爽快な逃げで1勝クラスから前走・金鯱賞まで5連勝を飾っていたジャックドールが2番人気、という状況で、この2頭を軸にしておけばまず間違いない、という雰囲気が漂っていた。
仮にレース展開の綾でジャックドールがハイペースに巻き込まれて失速してもそんな展開ならエフフォーリアが間違いなくきっちり差し切るだろうし、逆にエフフォーリアが脚を余すような展開はジャックドールにとってはお誂え向けの逃げ切り勝ちのパターン、ということで、この2頭を両方とも外す組み合わせなんて、全く想像もできない、というところだったのだが・・・。
スタートで外枠のレイパパレが思いのほか好位置につけ、やむなく気合を入れて先手を取りに行ったジャックドールが最初の1000㎡を58秒台で刻んだと知った時、最初の嫌な予感はした。
アフリカンゴールドも含めた競り合いの中でおそらく前は潰れる。そうなると、2頭軸の一角は崩れ、後はエフフォーリアのヒモに何が飛び込んでくるかだなぁ・・・と思いながら眺めた4コーナーから最後の直線。
だが、その「絵」を見た時に、2つ目の悪い予感に襲われ、そしてそれは数秒後、見事に現実のものとなってしまった。
コーナーを回る時点で位置取りが悪すぎる。そして、追っても追っても全く伸びる気配がない・・・。
終わってみれば、決して早すぎなかったペースの中、先団に取り付いた馬たちの中での上位争いとなり、その中で一歩先んじた前年覇者・レイパパレに、他の有力馬の脱落で相対的に浮上した感もあるポタジェが、見慣れた蜂色の勝負服でゆったりと襲い掛かって最後はクビ差逆転。
さらに、本来ならルメール騎手が乗るはずだったアリーヴォが、まさかの鬼脚で突っ込んで3着を確保。
その結果、3連複でも5万円超、3連単にいたっては50万円超、という高額配当がそこに刻まれることになり、「2頭軸」の安心感から珍しくバラエティの富んだ馬券ポートフォリオを組んで悦に入っていた筆者は見事に空振り、ということと相成った。
今回1年2か月ちょっとぶりの勝利を挙げたポタジェにとって、今回のGⅠ制覇が「初重賞制覇」、というのは先週のナランフレグと同じ。
そして鞍上がいぶし銀の吉田隼人騎手だった、ということも、先週のレースでの丸田恭介騎手の優勝シーンに重なる。
これが今年の芝GⅠのトレンドになるのか、それとも、有力馬が抜けた後の春のGⅠが一巡すれば、新たな”序列”の下で皆動くようになるのか、その辺はまだよく見えないところはあるのだが、とにかく漂っている”波乱”ムードが来週からのクラシック第1弾にどのようなインパクトをもたらすのか、ということにも注目しつつ、次週での捲土重来を誓ったところである。