アラビアン・スプリンター

週末、ほぼ床に臥していた状況にもかかわらず、日曜日の午後3時くらいになると何か無理やりスイッチが入ってラジオをオンにし、メインレースの発走時刻を見計らってテレビの画面に目を移す・・・。

「一生に一度」の触れ込みのW杯は見逃すのに、「毎年毎週」のGⅠレースは決して見逃さない・・・。

昨日今日罹患した感染症など到底及ぶはずもない、これをリアルな「病気」といわずに何というか・・・と自分で突っ込みを入れたくなるような病理現象なのだが、そんなわけで、今日から始まった秋のGⅠシリーズ。第一弾・スプリンターズSも見届けた。

これで、朝、意識朦朧とする中、ネット投票で軸馬指名買いした鞍上・武豊騎手のファンタジストが先頭でゴール板を駆け抜けてくれていたら、まさに「ケガの功名」*1になるはずだったのだが、2番手追走、直線さぁこれから、というところからズルズルと沈んでいく姿・・・(結果は最下位16着)。

「運は週明けにとっておけ」という神様のお告げなのだと信じたい。

*1:直前までいろんな情報を取り込みつつ迷って判断した時は大抵クリーンには当たらず、ある程度割り切って、前日か当日の朝くらいに、未発表の馬体重はもちろんオッズすらろくろく見ないで買った時の方が想定外に的中する、ということはままある。

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「奇跡感」のない快挙。

何事もなければ、土曜競馬のメインレースが終わった後に放送波を切り替えて、”ジャイアント・キリング”と呼ばれる瞬間を4年ぶりに再び見届けることができたはずだった。

それがまさか、高熱で床に伏している間に試合が終わり、直後のニュースまで見逃すことになってしまうとは・・・。

まぁ、これがサッカーのW杯本戦の日本代表の試合だったら、熱が40度超えてようが最後まで試合を見届けただろうし、相手が「いかにも強国!」と素人でも分かるニュージーランドとかオーストラリア、イングランドとかフランスだったら、後半の途中くらいまでは執念で這ってテレビを見ていたかもしれない。

4年に一度しか「海外」のナショナルチームを意識しない浅いラグビー観戦者にとっては、アイルランドという国は決して馴染み深い国ではなかったし*1、その「アイルランド」が同じPOOLの中で一番ランキングが上のチームだ、という知識が生半可あったからこそ、「ここは無理に勝ちに行く試合じゃないんじゃないの?」と思ってしまっていたところもある。

悲願の決勝トーナメント進出のためには、絶対倒さないといけないのがサモア。そして初戦でアイルランドに完膚なきまでに叩きのめされて”手負い”状態になっているものの、日本にとってW杯では何一つ良い思い出がないスコットランドもかなりの難敵。

となれば、ランキングトップのアイルランドには順当に勝たせてあげて、ボーナスポイント拾いに行くくらいの健闘で次につなげる、というのが、素直な戦略なのかなぁと思ったし(その割には派手な試合前記者会見もやっていたようだが・・・)、それと平仄を合わせるように、前日までは、リーチ・マイケル選手が控えに回り、復帰が噂されていた福岡堅樹選手はベンチにも入らない、ということになっていたではないか・・・。

それが、終わってみれば、リーチ選手は前半途中から出場して大奮闘、福岡選手も後半途中出場で逆転トライ&試合終盤のターンオーバー、という大活躍。

後半は敵チームを「完封」する形で「19-12」のスコアでの勝利。日本中のメディアが大騒ぎ、という事態になってしまった。

*1:W杯ではベスト8より上に行ったことはないし、「6か国対抗」のような大陸別大会の情報をEUROのように生々しく入手できるわけでもない。2017年の来日時の試合を見に行ってればまた印象は違ったのだろうけど・・・。

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850万ページビュー到達

2019年9月27日、ブログの開設から14年と約2か月くらいのタイミングで、ようやく850万ページビューに届いた。

そうでなくてもここ数年ペースが落ち気味の上に、カウント数が比較的高めに出る傾向があった「はてなカウンター」がなくなってしまったことで、ますます牛歩のごとくスローなペースになりつつあるPV数記録。それゆえ、以前は「100万刻み」だった区切りのエントリーもいまや「50万刻み」が所定となっている。

この調子だと、次の区切りの「900万」も、オリパラの期間中には到底間に合いそうもないし、もしかしたら福留孝介選手の国内2000本安打達成の瞬間にも後れを取ってしまうかもしれない。

ただ、それでもちょっとずつ日々を積み重ねて、このブログに自分の歩いている道を刻んでいく、という営みはこれからも大切にしていきたいと思っている。

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野中郁次郎先生の至言。

今月の日経新聞の「私の履歴書」を一橋大学野中郁次郎名誉教授が書かれているのだが、御年84歳、”Knowledge management”の理論で一時代を築かれた経営学の大家、しかも企業の現場を知り、そこからの米国留学で道を切り開いてこられた方、ということもあって、研究のプロセスの話から学内政治のあれこれまで、興味を惹かれる話が続いている。

そして、話も終盤に差し掛かった連載25回目、「社外取締役」というタイトルで書かれていた内容が、実にそうそう・・・という中身であった。

ずばり、「私がどう行動してきたかはさておき、一般論で言えば、社外取締役は必ずしもうまく機能していないのではないか。」というフレーズから始まるくだりである。

社外取締役がさ末な問題に口を出しすぎると、事務局が準備に追われ、場合によっては取締役会用の想定問答集まで用意するようになる。」(←あるある・・・)
社外取締役は社内の役員や監査役らが気づかないような、大きな視野にたった本質論を展開しなければならない。そして取締役会の議論が細部に入りそうになったら、『あとは任せたよ』と自制するバランス感覚が求められると思う。」
「実際には、企業経営に携わった経験がある社外取締役は細部に目を向け、有識者社外取締役は経営の実態を踏まえない空理空論を唱えがちだ。議論はまとまらず、混乱が起きてしまう。」(←すごくあるある2・・・)
「内容はどうであれ、取締役会で発言すれば議事録には記録が残り、社外取締役として仕事をしているエビデンス(証拠)にはなる。そんな考えで発言する人が多いと聞くが、時間の無駄ではないだろうか。」(←あるある3・・・)*1
(以上、日本経済新聞2019年9月26日付朝刊・第44面、強調筆者)

ここで描かれているような話は、「社外取締役実質義務付け」後の取締役会周りを見てきた人なら、大なり小なり思い当たる節がある話だと思う。
そして、その改善策として「取締役会に付議する内容を精査する」という方向に舵を切れば、十分に議論されないまま生煮えの案件が跋扈することになるし*2、逆に「社外取締役への事前説明を徹底する」という方向にもっていってしまうと、事務方の負担は増すし、議論も形骸化しがちになる。

社外取締役制度は、賢さとバランス感覚を兼ね備えた人間を選んでこそ、うまく機能するシステムなのだと考えている。」という最後の結論まで拝読してしまうと、そりゃあそうなんだろうけど、そんな人が世の中にどれだけいるのよ・・・というまた新たな突っ込みをしたくなってしまうところはあるが、現場感覚を重視する野中名誉教授のような方であればもちろんのこと、「実質はどうなのか?」ということを常に問い続けるヨーロッパ系の発想からしても、ただひたすら米国流に「形を整える」ことを重視しているかのように見える今の社外取締役制度、社外役員制度がこのままでいいのか*3、という疑問は常に出てくるわけで。

その意味で、こういった問いかけは常になされる必要があるし、当局関係者にも、そこに耳を傾ける姿勢は常に持っていてほしいな、と思わずにはいられないのである。

*1:厳しい表現だが、現に年度末に社外役員の発言機会を確保するために、事務方がメモを差し入れていたこともあったりしたので・・・。

*2:米国の実務はよく分からんが、英国などはかなり細かい案件まで大量にボードにかけて議論する、という傾向もあって、最近の日本の傾向にはちょっと首を傾げたくなるところはある。もちろん、事業会社か持株会社か等々、会社の機能や位置づけによっても大きく異なってくる話だとは思うけど。

*3:社内の生え抜き取締役の数が減ったことで、取締役会での牽制効果が薄れ、結果的には、これまで社内のバランスで「暴政」が防がれていた大企業の中で「権力者の暴走」を許すケースが増えつつあるのではないか、というのが自分の印象である(社外取締役がいくら議論の場で鋭い発言をしても、「その場」を乗り切ってしまえばあとには響かない、というのが現実なので)。

時代の流れとともに失われるものの寂しさと、未来への希望と。

○○エフェクト、って言葉が最初に囁きだされたのはいつ頃のことだっただろうか。

確かにCDショップの衰退に始まり、Amazonの脅威の下で消えていく書店、小売店、といった類の話が米国発で世界中に広まってきていて、最近ではフォーエバー21、お前もか!という感じでなかなか痺れる感じになってきていたのだが、まだ一つ、リアルビジネスの象徴が倒れた、というニュースに接して、何とも言えない気持ちになった。

英国の大手旅行会社トーマス・クック・グループは23日、ロンドンの裁判所に破産を申請した。英国の欧州連合EU)離脱を巡る不透明感などから業績が悪化、必要な資金を調達できなかった。」(日本経済新聞2019年9月24日付朝刊・第7面、強調筆者)

記事上ではBrexitが決定的な原因のように書かれているが、今はExpedia、Booking,com、その他諸々のOTAが世界中を席巻し、それと平仄を合わせるように航空会社も大手ホテルもWeb経由直販で顧客囲い込みに走っている時代に、未だに「実店舗」へのこだわりを見せていた老舗旅行代理店が生き残れるほど時の流れはゆっくりではなかった、ということなのだろう。

”Thomas Cook”といえば、かつては欧州旅行を夢見る者たちにとって必需品のブランドだったし*1、最近でも、英国本国をはじめ、英国連邦圏ではまだ時々看板を見かけた。

それが、こんな形で終幕を迎えることになってしまうとは・・・。

最後にスポンサーになっていたのが中国企業だった、ということも含め、今の世界産業地図を丸ごと反映したようなこのニュースと日本が無縁なはずもないわけで、リアル店舗時代から生き残っているAGTが比較的多い日本でも、旅行商品が街角で買える時代が終わる日は近い*2

どんな「進化」にもぶち当たる壁はあるし、そこでいろんな問題が湧きだしてきたところで生じる「反動」は必ず存在するので、このまま一筋縄で行くとは思っていないのだけど、それでも確実に時代は進む。

だから、消えていくものをただ惜しむよりは、消えた後に形を変えて出てくるものに希望を寄せよう、というのが、自分のポリシーではあるのだけど、全てが巨大なプラットフォームに飲み込まれていこうとする時代だからこそ、(競争当局の力を借りずに(笑))リアルビジネスで一矢を報いたい、という思いもあり、それがこれからのささやかな目標になるのかな、と思ったりもしているところである。

トーマスクック ヨーロッパ鉄道時刻表 2013夏・秋

トーマスクック ヨーロッパ鉄道時刻表 2013夏・秋

*1:Wikipediaによると出版業からはだいぶ前に撤退していたようで、リンクを張った年の時刻表が最後くらいなのかな、という感じではあるのだが、それでも欧州の鉄道時刻表といえば「トーマスクック」。自分は圧倒的エア派なので、結局、使うことはなかったのだけど。

*2:かくいう自分も、かれこれもう10年以上(「旅の窓口」に出会って以来・・・)、カウンターで旅行商品を買う、ということはなくなった。

恩讐を越えて

昔はそんなに好きではなかった、というか、むしろ嫌いだったのに、同じ時間の流れの中で同じように歳をとり、いつのまにか「まだ頑張ってるんだ~」みたいな感覚で、好感を持つようになることが時々ある。

サッカーで言えばカズは別格として、小野伸二選手とか稲本潤一選手あたり。

音楽で言えばELTが典型で、20世紀の終わりにバカ売れしていた時は、小生意気な女性ボーカルともども大嫌いなアーティストだったのだが、最近は時々メディアに出ているのを見かけても、有線で昔の曲がかかっているのを耳にしても、何となくいいなぁ・・・と思ってしまうのが不思議この上ない。

で、そのつながりで、思わず反応してしまったのがこのニュース。

プロ野球巨人の阿部慎之助捕手(40)が今季限りで引退することが24日、分かった。球団関係者が明らかにした。現役19年で通算2000安打、400本塁打を達成し、強打の捕手として活躍した。5年ぶりのセ・リーグ優勝を花道にする。」(日本経済新聞2019年9月24日付夕刊・第9面、強調筆者)

まだ贔屓チームの日々の勝ち負けに一喜一憂していた今世紀初頭。
敵方でマスクをかぶって、ラインナップの下の方に名を連ねながら、嫌なところで嫌な長打を放つこの選手が自分は大嫌いだった。

そもそも、彼のポジションは「キャッチャー」である。

キャッチャーといえば、嫌み混じりのクレバーさを備えた選手(当時縦縞のユニフォームを着ていた野村克也監督から、当時球界ナンバー1だった古田敦也選手につながる系譜・・・)か、地味に耐え忍ぶか(星野監督に捨てられて花開いた矢野輝弘現監督などはその典型・・・)、という時代に、あっけらかんとした雰囲気でホームランを打ちまくる。

地肩は強いが、リード面では酷評されることが度々。
それでも、当時のジャイアンツで数少ない「嫌いではなかった選手」の一人、村田真一捕手を完全に追いやって看板選手に。

いわば「ID」より才能とスター性が最優先される当時のかの球団の象徴のようなところもあって、どうにもこうにも好きにはなれなかった選手だった。

だが、そこから18年。

プロ野球を取り巻く環境が大きく変わる中で、主将になり、4番になり、故障だらけの体になっても巨人一筋でポジションを守り抜き・・・

今はネットメディアで結果を見て、時々気になるシーンがあれば動画で見て、というくらいのかかわりしかないプロ野球の世界だけど、今シーズン、代打でも活躍している姿を見ると、何となく頑張れ~と思ってしまっていた自分がいた。

自分の記憶が正しければ、一昨年、2000本安打を打った時には既に事実上捕手からは「引退」していて、”選手生活晩年”の雰囲気を醸し出していたはず。
だけど、それでもそこから100本以上のヒットを積み重ね、通算本塁打も400本の大台を超えた。

「捕手」という過酷なポジションを背負っていた選手としては、実に異色の、歴史に残る存在で、彼を超えるだけの実績を残せる選手がこの先出てくるのかどうかも分からない。

そういう背景ゆえに、一時代を築いた選手たちの引退の報が相次ぐこの時期のニュースの中でも、ひときわ印象に残ったのだろうな、と。

そして、報道が流れたその日に、甲子園で同世代の藤川球児投手とのガチンコストレート対決を演じる、というのも、また見事なシーンだった*1

まぁ、実のところ、今シーズンはもう一人の大物、阿部選手より2学年下のはずの縦縞の遊撃手の去就問題というのもあり、同じ年に「2000本安打達成」のニュースに接したときに、以下のようにコメントした者としては、「未だに阿部選手に50本近く安打数で差を付けられたまま追い抜けていない」という現実がなんとも寂しかったりもするのであるが・・・。

k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

千両役者の阿部選手がCS、日本シリーズで「ザ・ラストシーズン」というが如くの活躍を見せている影で、まだまだやれる(はずの)鳥谷敬選手が、次の行き先を見つけてくれていることを、今はただ願うのみである。

*1:「代打・阿部」を三振に切って取った余勢をかってそのまま1イニング3K で締められる藤川選手あっての名勝負だったというのは言うまでもないことだが・・・。

人生は紙ヒコーキ。

いろんな仕事を抱え込んでしまったおかげで、せっかくの二度の三連休もほとんど仕事で食い潰す状態に。

これがいわゆる「自営業の罠」か・・・と嘆きはすれど、やらされている感がない分、まぁ楽しいかな、と。

で、外にも出られずPCに向かいながらラジオを聴いていたら、たまたま久しぶりに流れてきたのが平成の名曲、365日の紙飛行機

365日の紙飛行機(「あさが来た」より)

365日の紙飛行機(「あさが来た」より)

この曲、朝ドラの主題歌だった時からずっと好きな曲ではあるし、もう何度も聞いてきたはずの曲ではあるんだけど、
やっぱりサビの、

「距離を競うより どう飛んだか どこを飛んだのか が一番大切~」

というところに差し掛かるといろんなことを考えるわけで。

かれこれもう人生ウン十年、紙飛行機だとしたら燃え尽きてるんじゃないか、と思うくらいとんでもないところまで急に上がったり、逆にここは海の底か地底か!ってところまで下がってみたり。

自分はまだ、「距離」を競うことをあきらめたつもりはないし、テッペンの景色を見るまではまだまだ、と思ってはいるのだけど、紙飛行機のコクピットには窓がないようで、飛び続けている間は、今どこに向かって飛んでいるのか、まっすぐどこかへ向かってるのか、それともダッチロールしているのか、ということも、自分ではよく分からない。

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