ようやくの脱・マイナンバーの兆し。

毎年、手を煩わされていた雑事からようやく解放される予感がする。

政府は個人事業主を登録・識別する番号制度をつくる。補助金の支給や社会保険、税務などの手続きを一元管理できる仕組みを検討する。日本は新型コロナウイルス禍で家計への給付金支給が混乱するなどアナログな行政の限界に直面した。公的支援から漏れがちなフリーランスのような多様な働き方にも対応した新たな番号制度で行政のデジタル化や効率化を急ぐ。」(日本経済新聞2021年4月6日付朝刊・第1面)

時世を反映して公的支援云々の話が前面に出ているが、ここで大事なのは、とにかく扱いが厄介な「マイナンバー」に代わって、個人事業主向けに堂々と公開できる識別番号が付与される、ということだろう。

自分の場合、仕事がほぼ100%”to B"なので、報酬をいただく場合も、ほぼ例外なく「源泉徴収あり」ということになる。

したがって、この1,2年は、年末に差し掛かる頃になると、新しくお取引をさせていただいたクライアントから、丁重に「マイナンバー提供のお願い」が送付されてきて、マイナカード両面コピーして、台紙に張って、合わせて本人確認書類を・・・みたいな手続に労力を割かざるをえなかった。

最初の1社や2社くらいまでは、まだ新鮮な気持ちで対応できていたからよかったのだが、数が増えるにつれ、その作業もだんだん負担感が重くなる。一度きりの手続き、されど、その「一度」も忙しい時期に重なってしまうとなかなか・・・。

そもそも、いくら「個人」事業主だとはいえ、こちらは逃げも隠れもせず、オフィシャルに仕事をしている立場なのだから、本来なら「法人番号」と同様に、公開されている番号を勝手に検索してもらって、転記していただければ十分なはず。

にもかかわらず、提供する方も、受け取る方も*1、必要以上の手間をかけないといけない今の仕組みを何とかできないものか・・・と思っていた矢先に出てきた話だけに、まぁ非常にありがたいな、というのが記事を見た時の印象だったし、よりオープンに使える仕組みにしてほしい、というのが、率直な思いである。

*1:この件に関しては、受け取る側の対応も間近に見ていたので、担当者のご苦労も非常によくわかる。

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そしてまた、潮目は変わっていた。

この週末、日曜日の嬉しかったニュースと言えば、近本選手がようやく本領を発揮しだしたタイガースが単独首位・・・*1などという些末な話題ではなく、なんといっても競泳日本選手権での池江璃花子選手の劇的な復活劇

昨年の夏に彼女を取り上げたNumberの特集記事を見て、この週末、日曜日の嬉しかったニュースと言えば、近本選手がようやく本領を発揮しだしてタイガースが単独首位・・・という些末な話題ではなく、なんといっても競泳日本選手権での池江璃花子選手の劇的な復活劇である。

彼女を取り上げたNumberの特集記事を見て、半信半疑なれど僅かな”可能性”を夢見たのは昨年の夏のこと。

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その後も、本人は極めて慎重なコメントを発し続けてはいたものの、大会に出るたびに「結果」は出ていたので、もしかしたら・・・という思いは微かにはあったのだが、一発勝負の大舞台、しかも練習再開が遅かったバタフライの方で「優勝」という結果を出し、代表切符まで手に入れる、という展開まではさすがに想像できなかった。

あいにく、本人の回復するスピードに新型コロナへの対応が追い付いていないのが今の状況だけに、「切符」を取っても本番がどうなるか・・・という不安はこれからも続くだろうが、残る種目の結果如何では、今は忌まわしさばかりが先行している五輪への人々の意識すら変えてしまう可能性があるわけで、これで潮目が変わるのか、じっくり見届けたいと思っている。

・・・で、「潮目」といえば、3週続けて「雨」の中の開催となった中央競馬で、自分が読み違えてしまったものでもある。

松山弘平騎手が2日間で11勝を挙げて、「今年の主役」に名乗りを上げかけたのは、たった2週間前のこと。

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その時は、この先のGⅠ戦線でも、この若きジョッキーが間違いなくカギを握るだろうと思っていた。

特に、昨年のマイルCSでの苦杯を受けて、名手・M・デムーロから手綱を引き継ぐ形になったサリオスへの大阪杯での騎乗は、「世代交代」を決定づけるようなレースになるはず・・・と勝手に思い込んでいたのであるが・・・。

その1週間後、クラシック初戦を棒に振る騎乗停止処分により松山騎手を取り巻く状況は暗転した。

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それでも頭を切り替えず、「騎乗停止前の大一番では必ず何かをやってくれる」という根拠なき願望をこの週末まで引きずってしまったのが運の尽きだったのかもしれない。

急激な天候の悪化で重くなった馬場の中でも、サリオスは先行して自分のリズムを掴んでいたかのように見えた。

1つ前のレースで好位追走から抜け出した同じ勝負服のビオグラフィーのレースも見ていたから、最後の直線で同じようにしぶとく脚を使ってくれれば、後方にいたコントレイルが差し切れない展開に持ち込むこともできるのでは・・・?という微かな期待も浮かび始めていたのだが、それは、第4コーナーを回って、松山騎手が「最内」のコース取りをした瞬間に吹き飛んだ。

もう何週も前から見てきた光景。

そうでなくても荒れている上に濡れてより状態が悪化した最内のコース、そこに入ってしまったら伸びない、絶対伸びない、ほら見ろ言わんこっちゃない・・・

馬体重が僅か422キロの小柄なレイパパレが、雨が降っても辛うじてきれいに見える馬場の真ん中あたりを通って軽快に伸びていくのを横目に、538キロの巨体を文字通り「沈」めてしまったのがサリオスだった。

本命視されたコントレイルも、2番人気で先行集団に付けていたグランアレグリアも、この馬場では自分たちの競馬をさせてもらえていなかったから、より重馬場適性に疑問が残るハーツクライ産駒のサリオスにそれ以上のものを求めるのは酷だったといえばそれまでだし、それ以前に距離適性の問題で、最後の直線の時点では馬に手ごたえがなく最短ルートを通すしかなかった可能性もあるから、今回の敗北の責を鞍上に負わせようなんて気持ちは全くない。

ただ、勝ったレイパパレの手綱を取っていたのが、先週の2日連続重賞勝利で勢いに乗り始めた川田将雅騎手だったことを考えると、これは明らかに潮目の読み違いだったなぁ・・・としみじみ。

来週からのクラシックの舞台でも遅れてきたトップジョッキーの勢いがこのまま続くのか、それともまた違う方向に潮が向き始めるのか、この1週間でどうなるかなんて、誰にも予測することはできないのだけれど、変わり目だけは見落としたくないものだ、と、つくづく感じた次第である。

*1:期待のルーキーが苦しんでいるところは、ホントに予想通りだが、ここを乗り越えれば、というところで頑張ってほしい・・・。

「地域団体商標」と「商標」の間にあるもの。

この1年ほどの間で、いわゆる”賑やかし”系の話題が表に出ることはすっかり少なくなってしまったが、「コロナは一瞬、でも商標(の存続期間)は永遠」ということで、このコロナ禍で裁判所まで持ち込まれた「地域ブランド」に関する審決取消訴訟の判決が出されている。

さほど大きな話題にはなっていないようだが、地域団体商標と、そうでない商標の違い、ということを改めて確認できるような説示もあるので、ここで取り上げておくことにしたい。

知財高判令和3年3月30日(令和2年(行ケ)10133号)*1

原告:京都府茶協同組合
被告:特許庁長官

原告は、「京都府内で製茶業(除・荒茶製造)茶卸売業及び茶小売業を営む事業者」によって構成される組合で*2、これまで既に「宇治茶」(商標第5050328号)の他、「宇治煎茶」「宇治玉露」「宇治抹茶」でも地域団体商標を取得している事業者協同組合である。

そんな原告が「団体商標」として出願したのが、「「Ujicha」の文字を標準文字で表して構成される商標」であった(商願2017‐118060号)。

地域団体商標ではなく、あくまで通常の商標として出願したのは、「地域の名称及び自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する文字のみからなる商標」(商標法第7条の2第1項第1号)という要件との兼ね合いもあったのだろうが、その代わりに指定商品は、以下のとおり極めて広範囲にわたっている。

第30類
京都府奈良県滋賀県三重県の4府県産茶を京都府内業者が京都府内において宇治地域に由来する製法により仕上加工した緑茶,京都府奈良県滋賀県三重県の4府県産茶を京都府内業者が京都府内において宇治地域に由来する製法により仕上加工した緑茶を使用した菓子,京都府奈良県滋賀県三重県の4府県産茶を京都府内業者が京都府内において宇治地域に由来する製法により仕上加工した緑茶を使用したパン,京都府奈良県滋賀県三重県の4府県産茶を京都府内業者が京都府内において宇治地域に由来する製法により仕上加工した緑茶を使用したサンドイッチ,京都府奈良県滋賀県三重県の4府県産茶を京都府内業者が京都府内において宇治地域に由来する製法により仕上加工した緑茶を使用した中華まんじゅう,京都府奈良県滋賀県三重県の4府県産茶を京都府内業者が京都府内において宇治地域に由来する製法により仕上加工した緑茶を使用したハンバーガー,京都府奈良県滋賀県三重県の4府県産茶を京都府内業者が京都府内において宇治地域に由来する製法により仕上加工した緑茶を使用したピザ,京都府奈良県滋賀県三重県の4府県産茶を京都府内業者が京都府内において宇治地域に由来する製法により仕上加工した緑茶を使用したホットドッグ,京都府奈良県滋賀県三重県の4府県産茶を京都府内業者が京都府内において宇治地域に由来する製法により仕上加工した緑茶を使用したミートパイ,京都府奈良県滋賀県三重県の4府県産茶を京都府内業者が京都府内において宇治地域に由来する製法により仕上加工した緑茶を使用した調味料,京都府奈良県滋賀県三重県の4府県産茶を京都府内業者が京都府内において宇治地域に由来する製法により仕上加工した緑茶を使用したアイスクリームのもと,京都府奈良県滋賀県三重県の4府県産茶を京都府内業者が京都府内において宇治地域に由来する製法により仕上加工した緑茶を使用したシャーベットのもと,京都府奈良県滋賀県三重県の4府県産茶を京都府内業者が京都府内において宇治地域に由来する製法により仕上加工した緑茶を使用した穀物の加工品,京都府奈良県滋賀県三重県の4府県産茶を京都府内業者が京都府内において宇治地域に由来する製法により仕上加工した緑茶を使用したチョコレートスプレッド,京都府奈良県滋賀県三重県の4府県産茶を京都府内業者が京都府内において宇治地域に由来する製法により仕上加工した緑茶を使用した即席菓子のもと」

既に漢字での地域団体商標は確保しているとはいえ、何と言っても日本一の観光名所・京都、さらに大阪万博も数年後に控える、という状況を考えると、より広範囲に自分たちのブランドの権利を確保しておきたい、と考えるのは自然なことだと思うし、だからこそ、地域団体商標が登録されてから10年以上経ったタイミング(2017年9月6日)での出願に踏み切ったのだと思われる。

だが、これに対してつれない姿勢を見せたのは特許庁で、審査では拒絶査定、審決に持ち込まれても、「本願商標は,その指定商品との関係において,単に商品の産地,販売地,品質又は原材料を普通に用いられる方法で表示するにすぎない」として商標法3条1項3号に該当するとし、さらに3条2項の要件具備も否定して原査定を維持した。

この出願商標が登録された場合の禁止権の広範さ(あくまで第30類の中の話、とはいえ・・・)に鑑みると、そうやすやすと登録を認めるわけにはいかないわけにはいかない、という特許庁側の思いも理解できるところだが、これに対して、

「仮に,本願商標が商標法3条1項3号に該当するとすれば,同法26条1項2号により,本件地域団体商標に係る商標権の効力(同法37条1号に規定する排他権)は,「Ujicha」の商標に及ばないこととなる。しかし,このように「Ujicha」が何人も自由に使用することができるとなると,地域団体商標制度を設けた趣旨が没却される。」(原告主張・5頁)

という主張で原告が反撃を試みたのが、本件のキモと言えばキモだったように思う。

しかし、地域団体商標として認められている商標をローマ字にしただけなのだから・・・、という原告の主張は、裁判所も受け入れるところとはならなかった。

「本願商標は,「Ujicha」の文字を標準文字で表して構成されるものであり,我が国におけるローマ字の普及状況に鑑みれば,需要者において,
宇治茶」の語の表音を欧文字で表記したものと容易に認識できると解される。」(9頁)
「そうすると,本願商標は,その指定商品との関係において,「京都府宇治地方で製造又は販売する茶」であることを認識,理解させるにすぎず,単に商品の産地,販売地,品質又は原材料を普通に用いられる方法で表示するものであって,商標法3条1項3号に該当するものというべきである。」(10頁、強調筆者、以下同じ)

と、3条1項3号該当性をあっさり肯定。

さらに原告の主張に対しては、以下のように応答した。

「原告は,漢字表記の「宇治茶」は,「京都府宇治地方から産出する茶」という意味を持つほか,本件地域団体商標の存在により,商品に付された場合,原告の業務に係る商品であることを示す出所識別機能を有すると主張する。しかし,商標法7条の2は,地域名と商品名からなる商標は自他識別力を有しないため,原則として同法3条1項3号又は6号に該当すると解されることから,一定の要件を備えた場合に,「第3条の規定(同条第1項1号又は第2号に係る場合を除く。)にかかわらず,」地域団体商標の商標登録を受けることができるとしているものであり,地域団体商標の登録を受けたからといって,当然に同法3条1項3号に該当しない(出所識別機能を有する)ことになるわけではないことは明らかである。」(10~11頁)

「原告は,本願商標が商標法3条1項3号に該当するとすれば,同法26条1項2号により,本件地域団体商標に係る商標権の効力(同法37条1号に規定する排他権)は,「Ujicha」の商標に及ばないこととなり,地域団体商標制度を設けた趣旨が没却されると主張する。しかし,地域団体商標の登録を受けたからといって,当然に当該商標が同法3条1項3号に該当しないことになるわけではないことは前記アのとおりであるし,本件地域団体商標に係る効力がそれとは異なる「Ujicha」の商標に及ばないからといって,地域団体商標制度を設けた趣旨が没却されるとは到底いえないから,原告の主張は採用することができない。」(11頁)

極めて明快な「それはそれ、これはこれ・・・」という説示。

そして、3条2項該当性についても、

「本願商標が,原告又はその構成員により使用をされた結果,需要者が原告又はその構成員の業務に係る商品であると全国的に認識されているとはいえず,本願商標は商標法3条2項の要件を具備しないというべきことは明らかである。」(14頁)

とした上で、「地域団体商標としての要件を充足する商標は、当然に3条2項の要件を充足する」という些か無理のあるように思える主張*3に対しては、

地域団体商標制度が,同法3条2項よりも緩和された要件で地域の名称及び商品・役務の名称からなる商標の登録を認めるもので,例えば,要求される周知性の程度が,同項に基づき登録を受ける場合に求められるより緩やかで足りる(全国的な周知性までは求められない。)と解されることに照らせば,原告の主張が採用できないことは明らかである。」(14頁)

と、ここでも「明らかである」でバッサリ。

かくして、原告の請求は棄却され、審決は維持されることになった。

地域団体商標制度の特殊な位置づけと、それを裏付ける法律上の各要件に忠実に解釈するなら、今回の知財高裁の判断に異論をはさむ余地はないし、実質的な判断としても、これで良いと個人的には思っている。

「Ujicha」の表記をどうしても押さえたいなら、この協同組合の組合員が、「自分たちの商品」と需要者に認識させる態様で地道にローマ字表記を使い続けるしかないし、それが難しいならそもそもこの協同組合に独占させるべきではない、というのが商標法の世界におけるバランス感覚だというべきだろう*4

ただ、今回ここまで原告を商標権の取得にこだわらせた背景にあるものが、「地域団体商標」という異形の制度に対して、法律や審査基準から読み取れる以上の過大な”期待”を抱かせ続けた行政や政治サイドのふるまいだったのだとしたら、何とも皮肉な話だな、とも思うわけで*5

当時に比べればだいぶ”熱”も落ち着いてきたとは思うのだが、今後も、商標制度に過度に負荷をかけない形で、「(産地)ブランド保護」が進められるように、と思わずにはいられない。

*1:第4部・菅野雅之裁判長、https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/206/090206_hanrei.pdf

*2:原告のウェブサイト、http://www.kyocha.or.jp/参照。

*3:あくまで裁判所の要約なので、実際にはもう少し緻密な主張をされていた可能性もあるのだが・・・。

*4:特定の事業者団体の「商標」として登録されなかったからといって、このタイプのお茶自体のブランド価値が直ちに損なわれるわけでもないのだから・・・。

*5:立法当時の解釈論と当局の説明のギャップについてはジュリスト・田村論文への雑感 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~のエントリーも参照のこと。気が付けばもう15年近く昔の話、ということに気付き、ちょっと唖然としたりもする。

思えばこれは何度目の一歩目、だろうか。

そういえば、4月1日はエイプリルフール、と言われる日だった、ということに日が変わってから気付くくらい、余裕のない日常を過ごしているわけだが、そうはいっても世の中的には「新年度」。新しい人が新しい門出を迎えるタイミングでもある。

古い話になるが、自分が社会人になって一番感じたのは、

「一緒に机を並べる人々の世代の幅の広さ」

だった。

それまでの環境では、一番離れている、といってもせいぜい「中1」と「高3」*1、あるいは大学の新入生と長期留年生*2くらいの差で、離れているといってもたかが知れていたのだが、その意味で会社の環境は全く違った。

いろんなところに挨拶に行くと、必ず歳を聞かれて、お約束のように「若いねぇ」と言われる。そして、おもむろに生まれた年を聞かれて、次に出てくるセリフがこれだ。

「ああ○○年か、その頃、俺もう会社で働いてたな。」

その後には大概「もうそんな奴らが入ってくる歳になっちまったか俺は」とか、「俺もそろそろ引退だな(笑・・・っていいのか?)」的な、反応していいのかどうかよくわからないボヤキが続いて、新入社員一同大いに困った記憶があるが、とにかくまぁそんな感じだったのだ。

さらに言えば、自分の場合、(両親がnealy学生結婚だったこともあって)自分の生まれ年くらいに入社した方々、というのは、ほとんど自分の親と同世代だったりもしたから、相手を見つつ、トドメにその話をするかどうか、等々、最初の頃のあいさつ回りの期間だけで、対応力は随分鍛えられた気がする。

・・・で、何でそんな昔話をしているかといえば、もし仮に、今年「新入社員」として一歩目を踏み出す人に遭遇したとしたら、自分も、あの頃にかけられたセリフと同じことを言わねばならない世代になってしまったことに気付いたからである*3

時の流れの残酷さ、ああなんてこったい、と言いたくもなるわけだが・・・。

*1:12歳かそこらの新入生にしてみれば、大人一歩手前の18歳なんて雲の上の存在のように見えたのは確かだが、それでも同じ「生徒」であることに変わりはなかった。

*2:自分が大学に入った時は入学年次が10年くらい上の人が、なぜかまだ学部に残っていて、身近にいた院生を含めても「最長老」だったような気がするが、なぜかそれほど世代差のようなものは感じなかった記憶がある。まぁ、大学というのはそういう空間なのだろう、と思っている。

*3:環境が変わったおかげで、かつては必ず担当していたはずの「新入社員の相手」をしなくてすんでいるのが不幸中の幸いだが、もし環境が変わっていなければ、もっとザワザワした気分になっていただろう、と正直思う。

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2021年3月のまとめ

世間的には「年度末」だが、確定申告も早々に終わらせたこちらにとっては何も関係なく、悠々と月末を迎える…なんてことが出来たら、どれほど幸せだったろうか。

結局、何だかんだと様々なことに巻き込まれるのがこの時期の常で、今年も決してそれは例外ではなかった。

先が見えない不安に日本中が包まれていた1年前に比べると、今年の春は気候どおり、随分暖かく、穏やかな気持ちで迎えることができているのだが、そういう時に限って何かが起きるのも一種の宿命。

せめて我が身にだけは波乱が起きないように・・・などと、小さなことを考えつつ、月末のエントリーを書いている。

今月のページビューは18,000超、セッションは12,000弱、ユーザーは7,000弱。

目が回りそうな慌ただしさの中で、様々なことが後手後手に回っていて、ブログも休み休みにするほかない。そんな日常を反省しつつ、区切りの日からはや2年、今年もまた新しい一歩を踏み出せればと思っている。

<ユーザー別市区町村(3月)>
1.→ 横浜市 899
2.→ 大阪市 688
3.→ 港区 401
4.↑ 千代田区 398
5.↓ 新宿区 395
6.↑ 名古屋市 273
7.↓ 世田谷区 248
8.↑ 中央区 141
9.→ 渋谷区 130
10.圏外さいたま市 118

気が付けば都市部からのアクセスが復活していて、いよいよ「平時」モードが戻ってきているのかな、という気がする。
おそらくは、4月に入ってからの動向がこの一年を占うことにもなるのではなかろうか。

続いて検索ランキング。

<検索アナリティクス(3月分) 合計クリック数 1,788回>
1.→ 企業法務戦士 181
2.↑ 匠大塚 業績不振 85
3.→ 企業法務戦士の雑感 57
4.圏外 匠大塚 不振 33
5.↑ 取扱説明書 著作権 21
6.↓ 試験直前 勉強しない 16
7.圏外 企業法務 戦士 15
8.圏外 匠大塚 業績 12
9.↓ 東京永和法律事務所 12
10.圏外 高野義雄 wiki 12

これだけ「匠大塚」が検索ランキングに入ってくると、一体何が起きたのか・・・と心配になってしまうが、それだけあのブランドが愛されていたことだろう、と勝手に想像している。

なお、Twitterのインプレッション数では、昨年の3月に続き、またしても音楽教室(インプレッション数14,946)。

k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

JASRACが上告した、というニュースも既に流れている中で、今回の知財高裁判決が最終の結論になるかどうかは何とも言えないところだが、あの緻密さは評価されるべきだろう、という感想自体には何ら揺らぎはないので、改めてここでも強調しておきたい。

書籍ランキングでも再び知財ネタが。

<書籍売上ランキング(3月分)>
1.図録 知的財産法

図録 知的財産法

図録 知的財産法

  • 発売日: 2021/02/22
  • メディア: 単行本

2.手にとるようにわかる会社法入門

手にとるようにわかる会社法入門

手にとるようにわかる会社法入門

  • 作者:川井 信之
  • 発売日: 2021/02/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

先月の『川井・会社法入門』ほどではないが、『図録』の方も実績としてはかなりの数で、それだけ多くの人々の心を捉えたのだろうと思っている。
そして、分かりやすいがクオリティも高い、という本たちが、これだけ毎月のように出されるなんて良い世の中になったものだな、と他人事のように眺めつつ、自分にもう一度気合を入れ直す、そんな感じでまた明日からもがいてみよう、と思うのである。

好事魔多し。

今年はいよいよ松山弘平騎手の時代が本格的に到来するだろう、と書いたのは、たった一週間前のことである。

先週2日で11勝、という荒稼ぎを見せたこの若きジョッキーは、クラシック戦線で騎乗する馬たちとのコンビも整い、まさに”収穫の春”に向けてこれから邁進するはずだった。

ところが・・・

土曜日の日経賞、昨年、牡馬混合のGⅠでも堂々の戦績を残し、今年も古馬主役陣の一角を担うであろうカレンブーケドールに騎乗した松山騎手は、「3コーナーで斜行」というまさかの事態で、あえなく騎乗停止処分発動へ・・・。

レース自体、先行するウインマリリンを捉えきれず、2着に敗れるという悔しい結果に終わっていた中で、さらに輪をかけての制裁だから、これを「好事魔多し」と言わずして何と言おうか。

世界に目を移せば、土曜夜のドバイゴールデンシャヒーンで、最低人気を覆すぶっちぎりの優勝を飾りながら、騎乗馬(ゼンデン)がゴール直後に故障を発生して安楽死、自らも歓喜の頂点から地面にたたきつけられる、という気の毒すぎる展開となってしまった騎手もいるわけで、馬にはアクシデントなし、本人もたかだか開催4日間の騎乗停止というレベルならまぁ良いではないか、という話ではあるのだが、それでも、このジェットコースターのような展開にはちょっとザワザワさせられる。

この週末に関して言えば、躍進する新鋭騎手の陰でここまで存在感が薄かった川田騎手が、土曜日にシャフリヤールの驚異的なコースレコード毎日杯を制し、日曜日は高松宮記念でダノンスマッシュを操って堂々のGⅠ勝利、という芸当を成し遂げ、久々に爽快な気分になった*1

デビューしたばかりの新人騎手たちも、角田ジュニアが初勝利、小沢騎手が特別戦を制し、古川奈穂騎手に至っては2日続けての勝利で早くも藤田騎手を追い越す4勝目、と景気の良い話が続く。

松山騎手に加え、負傷した武豊騎手、ドバイ帰りの戸崎騎手、北村友一騎手といった面々まで不在となる春のGⅠシリーズ序盤戦も、おそらく、お手馬に恵まれていなかったベテラン騎手や、抜擢された若手騎手たちの活躍で、「不在」を感じさせない展開になっても不思議ではない。

ただ、個人的には、今のようなモヤモヤした時こそ、頭一つ抜けた”新・千両役者”が出てきてほしいな、と思うわけで、次の週末、騎乗停止前の固め打ち再び、と、サリオスの大逆転劇に期待して、松山騎手に声援を送りたいと思っている。

*1:改めて眺めると、今週ドバイで好走したレッドルゼルもラヴズオンリーユーも日本で送り出したのは川田騎手である。新型コロナ禍がなければ、現地で騎乗していて日本を留守にしていたかもしれないタイミングで、2日連続重賞勝利、というのも何かのめぐり合わせなのだろう、と思う。

気が付けばこれが時代の変わり目、なのだろうか・・・。

感染者数の数字だけ見れば、世界中でまだまだ予断を許さない状況が続いているにもかかわらず、季節の風物詩だった様々なイベントが「中止」「延期」に追い込まれた昨年の今頃のあれこれが嘘だったかのように、今年は再びカレンダー上の出来事だけは、昔のように回っている*1

フィギュアスケートの世界選手権もその一つ。

モントリオールで予定されていた昨年の大会は、開催直前、約60年ぶりの中止に追い込まれた。

次の五輪を占うはずの2019-2020シーズンは突如として幕切れを迎え、2020-2021シーズンに突入してからも、グランプリシリーズが単発的に開催された程度でGPファイナルも非開催。四大陸選手権も中止となり、日本のトップ選手たちが国際舞台で真剣勝負に臨む姿をなかなか拝むことができないまま、開催されたのが今回のストックホルムでの世界フィギュア

だから・・・忘れてしまっていたのかもしれない。

*1:もちろん、その背景に「正常」に戻すための関係者の並々ならぬ努力があることは忘れてはならないと思う。

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