元検事総長の看板

ヤメ検”を冠する弁護士は世の中にそれなりの数いるが、「総長」の肩書が付く人となるとそうそういるものではない。


それゆえ、大手の事務所が「看板」として重宝しようとするのは当然といえば当然なのだが・・・

検事総長を二年間務め、6月に退任した但木敬一弁護士が10月1日付で、企業法務を中心とする大手法律事務所、森・浜田松本法律事務所の客員弁護士になることが分かった。」
検事総長経験者が500社を超える企業を顧問先とする大手法律事務所に所属するのは初めて」(日本経済新聞2008年9月5日付朝刊・第13面)

正直、“現役”時代の肩書がなんとか長だったり、なんとか長官だったりする先生方*1のコストパフォーマンスの悪さは業界内では周知の事実になっていたりするわけで、個人的には、

「あ、そう。」

といった程度の感想しかない。


前線で戦っている企業の実務担当者が求めているのは、一緒になって戦ってくれる“強力なプレイヤー”なのであって、立派な肩書をもった有名な認証官、政府高官、大学教授を何人抱えていようと、それで事務所の評価が変わるわけではないし、事務所に持ち込む仕事の数が増えるわけじゃない。


芸能事務所じゃないんだから、“有名人”を雇う余裕があるなら、その分有能なアソシエイトやパラリーガルに報いる方に割いてあげてほしい、というのが実務屋の本音だ*2


もっとも、こういった先生方が、時には、社内のお偉方を黙らせるアイテムとして有効活用できる場合もある。


「○○先生がこう行ってました」といった瞬間、それまで自分の手がけたプロジェクトに未練たらしくしがみついていた役員がしゅんとなって白旗あげたり、(元々勝ち目のない)訴訟で一審に負けてボロクソに言ってた部長が、控訴審で同じように負けても、「○○先生で負けたんならしょうがないな」と、ヘタレ笑顔を浮かべていたりするのを見ると、“ブランド効果”というのはつくづく大きいものだなぁ・・・と、思わず感心してしまうわけで。


まぁ、筆者のようにひねくれていない善良な人々には、高級な職にありし人たちの“オーラ”が見えるのだろう。きっと。


・・・と自分を納得させている今日この頃である。

*1:なお予め断っておくと、これから述べる内容は、あくまで過去の経験則から導かれるものに過ぎず、これから新たな一歩を踏み出されようとしている前・検事総長氏がそうだ、と言っているわけではない。あしからず。

*2:ついでにクライアントへのサービスを目に見える形で(=コスト引き下げで(笑))引き上げてくれるともっと嬉しい。期待はしてないけど。

google-site-verification: google1520a0cd8d7ac6e8.html