移籍金。

ペレス会長が復帰したレアル・マドリッドが、「銀河系軍団」の再構築を目指して、華々しく欧州サッカー界のストーブリーグを演出しているようだ。


約92億円の移籍金を支払ってカカを獲得した、というニュースの余韻も冷めないうちに、今度はクリスティアーノ・ロナウドを約129億円支払って獲得。


一度失敗したはずの戦略を性懲りもなく繰り返すあたりは、つい最近まで我が国のプロ野球界を牛耳っていた某オーナーの思考と共通するようにも思えてしまうのだが、スペインで今のバルセロナに対抗するためには、それくらいのことはしないとサポーターが許してくれないのかもしれない。


それにしても、「129億円」というと、Jリーグのクラブでいえば*1、金回りが一番良い浦和レッズ(80億円弱、2007年度の数字)でも、1年半分の収入を丸々充てないともたない金額。


それ以外の多くのクラブから見たら、“天文学的”という表現をはるかに超えるような数字なわけで、これと選手本人に支払う年俸も合わせて考えると、

「仮に、C・ロナウドが溝畑社長のポリシーに共鳴して大分トリニータ入りを熱望したとしても、移籍することは不可能」

という結論になってしまうだろう。



そう考えると、採りたい側と、行きたい側の意思さえ合致すれば簡単に転職できるサラリーマンって、なんて恵まれた身分なんだろう・・・と思ってしまう。退職する会社が再就職先に巨額の移籍金を請求する、なんて慣習はどこにもないわけだから・・・。


もちろん、それはプロサッカー選手ほどの“商品価値”を、普通の労働者が認められていない、ということの裏返しに過ぎないわけなのだが、「スターでないがゆえの自由」というのも我々は持っているわけで、その「自由」の有難味はいつも忘れずにいたい、と自分は思う。

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