問われ続ける盾の価値。

長年の伝統には皆一目置きつつも、「3200m」という現代競馬に馴染まない距離の長さゆえ、「古馬最強馬決定戦」という看板がくすんで久しい春の天皇賞

それでも、ここ数年は、オルフェーブル、キズナといった凱旋門賞組やいろんな意味で観衆を沸かせてくれたゴールドシップなど、実績のある馬が参戦していたこともあり、「人気馬が勝てるか?」という一点において、レースへの興味自体は持続できていたのだが、今年は、昨年有馬記念を勝つまでお世辞にもメジャーな存在とは言えなかったゴールドアクターが1番人気。

それ以外のG1タイトルホルダーもトーホウジャッカルキタサンブラックくらいしか見当たらず、前者は2年前の菊花賞以降勝ち星なし、後者も菊花賞を取るまでは専らドゥラメンテの引き立て役で、いずれも“主役”を張らせるにはちょっとなぁ・・・という馬たちだったことから、どうしても興味は薄れてしまっていた。

結果的には、昨秋以降、菊花賞優勝、有馬記念3着、と長距離路線で世代を代表する活躍を見せているキタサンブラックと、既に8歳ながら前年の春の天皇賞で3着、宝塚記念でも2着に入った実績のあるカレンミロティックが叩き合いの末に1,2着・・・と、客観的に見れば一応理解できる決着となったが、2番人気と13番人気の組み合わせで馬連配当が20000円超、と、主役不在の中、何となく納まりの悪い結果になってしまったことは否めない。

もちろん、競馬には、「馬がレースを作る」と同時に、「レースが馬を作る」という要素もある。

これまで、“馬”自身以外の要素で話題になることが多く、いくら実績を積み重ねても、色物扱いされて未だに1番人気になれないキタサンブラック*1が、今回の勝利を機に、宝塚記念以降、中長距離路線の主役を堂々と張れるようになれば、今年の天皇賞も、後々、一つのターニングポイントとして語り継がれることになるのかもしれない。

ただ、同世代にドゥラメンテ、という一番星が君臨し、秋になれば粒揃いと言われている下の世代からの突き上げも予想される中、“キタサンブラックが主役の競馬界”という絵もなかなか描きにくいわけで、この日の勝利の価値が、レースの価値ともども、しばらく問われ続けることになるのではないかな・・・というのが、自分の率直な感想である。

今年の終わり頃に、全く想像と異なる勢力図が出来上がっていたら、それはそれで、競馬はやっぱり面白い、ということになるのだけれど。

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