3月の憂鬱とそれでも・・・の希望の光。

先月から覚悟はしていたが、3月は怒涛だ。

平日だと朝から晩まで、ほとんど頭が休まる暇がないくらい捌かないといけないあれこれに追われることになるし、息抜きをしようにもこの緊急事態宣言下では、カフェですら20時になれば容赦なく追い出しがかかってしまうから、よく冷えたコーヒーを慌てて流し込んでから、まだ肌寒い空気の中、自分のオフィスに戻って延々と夜なべ仕事をする羽目になる。

せめて週末くらいは贅沢な時間を過ごしたい、というのは、年明け以降ずっと抱き続けている願望なのだが、この週末に関しては、古くからのお付き合いでちょっとしたプライベートな用事を半日入れてしまったこともあり、日曜日のギリギリまであえぐことになった*1

そんなこともあって、暦の上ではめでたく「新年」を迎えた中央競馬も、今週末は物理的に見られなかったり、ロクロク集中して聴けなかったり、という中途半端なかかわり方に。

もちろん、そうはいっても土曜日阪神1レース、メイショウホタルビでの小沢大仁騎手の初騎乗初勝利の瞬間は見届けたし、この騎手が同じ日の最終レース、武豊騎手でも扱い切れなかったドスハーツ(前走最速の上りを見せたものの届かず3着)でぶっちぎった映像を見た時は正直仰天させられた*2

話題になった2名の女性騎手を含め、多少実績のある馬に乗っても必要以上に外を回し過ぎて最後バテる、あるいは勝負所で追えない(結果、入着圏外に消える)というのがこの時期の新人騎手の常だったりもするので、人気をかぶっていたら例外なく外す、というのが今は定石ではあるのだけど、新卒採用が不安定な昨今の状況を踏まえると「一気に8人」という景気の良さだけでも明るいニュースのように思えるだけに、数か月後、”選択肢に入れたくなる”騎手が少しでも多く残ってくれることを願ってやまない*3

番組編成の方に目を移せば、土曜日にチューリップ賞、日曜日にディープインパクト記念弥生賞*4と、いよいよクラシックの足音が聞こえてくるステップに突入。

長年、実際のレースからダビスタまで、この「クラシックトライアル」を強く意識して生きてきたファンにとっては、チューリップ賞12頭立て、弥生賞に至っては10頭立て、というのはちょっと寂しすぎた印象もあって、加えて、頭数が揃わない理由が一昔前のように「絶対太刀打ちできないような強い馬が出てくるから」ということでもなさそうなことに余計に残念な気持ちを駆り立てられたところもあったのだが*5、蓋を開けてみれば、チューリップ賞は昨年の阪神JFの完敗で「距離の壁」も囁かれていたメイケイエールが堂々の優勝(エリザベスタワーの猛追を受けた末の同着優勝だから、依然として距離の不安は消えていないが・・・)を飾って、ソダシとの同母系対決が再び注目されることになりそうだし、弥生賞の方は、逃げて無敗のGⅠ馬・ダノンザキッドに影さえ踏ませなかったタイトルホルダーがドゥラメンテ産駒初の重賞を飾ったことで、皐月賞というよりダービーの方がむしろ楽しみになってきた。

首都圏の緊急事態宣言再延長で、うきうきした話は依然としてしづらい今のご時世と同様、JRAも、やれ補助金の不正受給だとか、やれ福島競馬場が先般の東北の地震で使えなくなった、だとか、いろいろと陰を感じさせる話題には事欠かない。

ただそれでも、1年前との一番の違いは、今年はクラシックシーズンのターフの華やかさを気軽に思い浮かべることができる、ということで、それこそが誰もが開催続行に半信半疑だった「2020年の春」を見事に乗り切った、かの団体の実績がもたらす信頼の証なのだろう、と思っている。

Go To はなくても競馬はある。花見の宴はできなくても、画面越しの仁川の美しい桜が心を癒してくれる。

こんな時だからこそ、いつもと変わらず回り続けている週末のエコシステムと、そこから生み出される筋書きのないドラマが、一人でも多くの人に勇気を与えてくれることを願うのみである。

*1:いただいている仕事を金曜日の夜(土曜日の未明?)に返すか、月曜日の朝一で返すかは、クライアントの視点で言えばそこまで大きな違いはないはずなのだが、捌く側にしてみると「週明けでいいや」と思った瞬間が命取りになったりもするので、忙しい時ほどより気を引き締めてかからねば、と思うところである。

*2:これで新人最多タイのデビュー日2勝を記録。日曜日こそ勝ち鞍に恵まれなかったが、この騎乗を続けていれば他の同期に先んじて様々な壁を超えていくことは間違いなさそうである。

*3:ついでに言うと、調教師デビュー戦でお約束のような「4着」でスタートした四位洋文・新調教師が、藤原英昭厩舎から転厩してきたサマービートで日曜日に早くも初勝利を飾った、というのも嬉しいニュースだった。

*4:1年前のエントリーでも突っ込んだのだが、自分はこのレースの名前にあの世紀の名馬の名を冠することには非常に懐疑的である(変わらないことに価値がある。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~)。それをいったら「シンザン記念だって全然シンザンらしくないじゃないか!」という超オールドファンの方々からのツッコミを受けることになるのかもしれないが、やっぱり、自分が「現役」時代を見ている馬と、そうでない馬とではその辺の感覚は全く異なるのである。

*5:2歳GⅠから直行、新春の重賞から直行、というパターンでこれだけ成功例が出てしまうと、直前期のクラシックトライアルが「敗者復活戦」になってしまうのも仕方ないかな、と思うところはあるのだが、別路線の馬たちが最初に激突するワクワク感が薄れたのはちょっと残念な気がする。

google-site-verification: google1520a0cd8d7ac6e8.html