素敵なクリスマスプレゼント

今年はクリスマスのカレンダーと開催日程がぴったり重なった中央競馬

そして、年末のビッグイベント・有馬記念は、クリスマス当日に開催という実に粋なレースとなった。

伝統的な傾向からし菊花賞勝馬が強く、ジャパンカップ組は苦戦するレースだ、ということは多くのファンが認識していたことだし、ここ数年の実績から、天皇賞からの直行組がとにかく強い、ということも明白だから、馬券的にはそこまで難しくないレースだったはずなのだが、それでも迷いが生じたのは、今年に関しては菊花賞馬(アスクビクターモア)が出走していなかったからで、タイトルホルダー、ディープボンド、といった凱旋門賞組の存在も、馬券の取捨選択を難しくした。

結果的に、昨年からの流れでこれは絶対に来る、と迷いなく指名できたのはイクイノックスくらいで、それ以外は凱旋門賞帰りのタイトルホルダーか、それとも菊花賞2,3着組か、はたまた今年は鳴りを潜めていた昨年の覇者・エフフォーリアか・・・と迷いに迷った末に開かれたゲート。

そして、そこから始まったレースは、「クリスマス」にふさわしい実にドラマティックなものとなった。


ルメール騎手が操って直線で難なく抜け出し、世代を超えた力の差を見せつけて優勝したのはイクイノックスで、これについては予想通り。

ただ、先頭の馬がゴールするまでの数秒間、自分の目を惹きつけたのは、6番人気に甘んじながらも最速の上がりタイムで激しく追い上げてきた「菊花賞2着」馬、ボルドグフーシュだった。

レース前は、「鞍上に福永祐一騎手」というトピック以外にはさほど注目を浴びていなかった地味なスクリーンヒーロ―産駒。自分も同じ菊花賞組ならジャスティンパレス(菊花賞3着)の方がまだ脈はあるかな、と思ったくらいだった。

ゲートを出てからも、スローな流れの中最後方に近い位置取りで、とてもではないが勝ち負けに加われるような状況だとは思えなかった。

それが最後のコーナーを回って、気が付けば馬群を抜け出し、猛追を見せていることに気づいたときの驚きと言ったら・・・

絶好の手ごたえで抜け出したイクイノックスの脚色が鈍るとは思えなかったし、実際彼はそのままゴールを切ったのだが、決着がつくまでの数秒間、必死の追い上げを見せる菊花賞2着の伏兵が、名門社台の勝負服に身を包んだ鞍上に最後の最後で「旧八大競走完全制覇」という偉業をプレゼントするのではないか・・・という妄想に駆られたことは言うまでもあるまい。

終わってみれば、決して縮まらない差がそこにはあり、「惜しいけど2着」という一昔前の福永祐一騎手の大レースでの騎乗ぶりをなぞるような結果で落ち着くことになったのだが、それでも一瞬だけ、多くのファンが夢を見た。そんな幸福なクリスマスに感謝せずして何をか、である。

そして、この日の「主役」になっても不思議ではなかった凱旋門賞組をさしおいて、今年走れども走れども昨年のパフォーマンスを取り戻すことができなかったエフフォーリアがようやく掲示板を取り戻した、というのもこの日の立派なトピックの一つだった、ということは合わせて書き添えておきたいと思っている。

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