「談合」は悪か?(補足)

昨日のテーマと関連して、
今朝の朝刊に、神戸大の根岸教授の興味深いコメントがあったので、
載せておくことにする。


根岸教授は、わが国で一般競争入札が普及しない理由として、
「品質確保」と「入札コスト節約」というものが挙げられていることを
指摘した上で、以下のように述べる。

一般競争入札では低品質となり指名競争入札では品質確保ができるという相関関係が示されたことはない。一般競争入札においても、適切な入札参加資格要件の設定、発注者側の検査能力の向上、事後の厳格なペナルティー賦課などによって品質確保は可能である。一般競争入札に伴うコストも、指名競争入札に伴う談合のコストの大きさとは比較にならず、また、IT(情報技術)化による事務の効率化や案件に応じた手続の簡素化により引き下げることが可能である(8月17日付日本経済新聞「経済教室/談合対策・下」)。


これは経済法研究者、規制当局の意見を代弁したようなコメントであり、
確かに理屈としてはそのとおりといえるだろう。


だが、「談合のコスト」がなかなか形として見えにくいものであるのに比べ、
入札に伴うコストは、「作業が面倒」といったレベルのものから、
人件費、事務費の高騰といったレベルのものまで、
明確な形で現れてくる。
また、万が一安い価格で落札した事業者が、
価格に見合うだけの悪品質な作業をして、後々の事故につながった場合、
発注者が受けるダメージは計り知れないものがある。


そう考えていくと、根岸教授のコメントのような単純な理屈で、
発注者側が積極的な談合回避に動くとは考えにくいし、
談合を回避することが真に国民の利益になるのか、ということについても、
更なる検証が必要なのではあるまいか。

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