百年の計はどこに・・・。

何となく嫌な予感はしていたのだが、今朝の朝刊を見てその思いを新たにする。

「政府・与党は9日、一定条件を満たす会社員を労働時間規制から外す「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入を当面見送る方針を固めた。野党が「残業代ゼロ制度」などと批判しており、4月の統一地方選、7月の参院選を控え、政策の是非を冷静に議論する環境にないと判断した。」(日経新聞2007年1月10日付け朝刊・第1面)

連立与党の代表が嫌だと言ったから?
選挙で負けるのが怖いから?


何、次元の低い話をしてるんだか。


今回の新制度が、ホワイトカラーのこれからの働き方を考える上での格好の材料になるのは確かで、投票行動を左右するだけの重みのある中身であるのは否定しないが、だとすればなおさら、政府・与党が明確な姿勢を打ち出すべきではないのだろうか?


もっとも、

自民党中川秀直幹事長は同日、党本部で導入を推進する柳沢伯夫厚生労働相と会い、「国民の理解を得るよう努力すべきだ」と伝えた。これを踏まえ、同党幹部は「通常国会への法案提出は見送る方向」と語った。」(同上)

という朝刊の記事から数時間後に、

柳沢伯夫厚生労働相は10日午前、国会内で公明党の斉藤鉄夫政調会長と会談し、一定の条件を満たす会社員を労働時間規制から外す「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」について、対象者を年収900万円以上とする方針を明らかにした。同制度を含む労働基準法改正案を次期通常国会に提出したい意向も示した。」(2006年1月10日付け夕刊・第2面)

という記事が掲載されているところを見ると、まだ完全に一連の改革の目が消えたわけではないらしい。


柳沢伯夫さんという方は、決して間違ったことは言っていないのに、なぜか時の政治情勢の逆風にさらされてしまう方のようで、金融担当相時代も竹中平蔵と派手に喧嘩して更迭された(あくまで端から見た印象に過ぎないが)、という前歴があるので、今回も大臣の思いに反して、ズルズルと政治の渦に巻き込まれてしまう危険性は否めないが、仮に、今国会に法案が提出されないとしても、何とか議論を前に繋げる努力だけはして欲しいものだと思う。


なお、新年早々、『若者はなぜ3年で辞めるのか』の著者、城繁幸氏のブログに記された「百年に一度レベルの社会の大転換期」に向けた大胆な労働政策提言を拝見して、大いに刺激を受けたところだけに*1、当の政策を実行すべき人々が上記のような近視眼的発想に終始していることに、(今更といった感もあるが)なおさら失望した次第である・・・。

*1:http://www.doblog.com/weblog/myblog/17090/2615509#2615509。なお、城氏ご自身は「ホワイトカラー・エグゼンプション制度」そのものに対しては積極的な評価をなさってはいない。

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