今日のCOVID-19あれこれ~2020年3月18日版

とうとう世界中で感染者が20万人を超えてしまった新型コロナウイルス問題。

最近では、これをチェックしないと朝昼晩落ち着かない、というくらいに用いる情報ソースになってしまったJohns Hopkins Universityのサイト*1でも、日々世界のあちこちで「赤い丸」が生まれ、大きくなり、今となっては中国周辺だけが赤かった時代が懐かしくなるような”西高東低モード”になってしまった。

中国の次は当然・・・と思われていた韓国が感染者数のペースを抑え込む健闘を見せ、8000人台で足踏みしている間に、イタリア、イラン、スペインといった西の方の国々が「感染者数10000人」の大台を次々と飛び越えていく(そして今日は遂にドイツもこの一線を超えてしまった)。

自分の予想では、まだ6,000人台に留まっている米国が、いずれあっさり10000人の壁を超え、最終的には感染者数国別1位の座に就くだろうと思っているのだが、いずれにしても、人類史上稀に見る一大事が起きていることは間違いない。

また、皆が楽しみにしていたスポーツイベントも、テニス、ゴルフ、F1といった定番ツアーものや、NBLMBAといったリーグものだけでなく、「一回キリ」のボクシングの世界戦や、何年かに一度のフットボール欧州選手権南米選手権、といった大イベントまで軒並み中止の憂き目にあうことになった。

それなのに・・・である。

なぜか、わざわざ臨時の理事会まで開いたのに、「予定どおり開催する」と宣言してしまったのがIOC

さすがに、今日になって、一部の国のNOC関係者から「いい加減にしろ!」というトーンの怒りの発言が出てくるのも報じられるようになったが、一方でIOCの立場への支持を表明する国もあったりする*2

おそらくこの辺は、それぞれの国の現時点での「感染」状況によっても温度差はあるだろうし、もしかしたらこの種の団体にありがちな大陸ごと、あるいは国単位での政治的な色彩もあるのかもしれない。

ただ、これだけ様々な種目で予選開催のメドが立たなくなり、ホスト国の選手ですら出場予定大会のキャンセルや合宿の中断等、様々な苦難を強いられている中で、「本大会」だけ予定どおり開催するなんてことは、本来ならあり得ないことだし、心から「完全な形」での開催を望むのであれば、「予定どおり開催」などと言われて喜ぶ前に、今被害を受けている地域出身のIOC委員や、競技団体、さらにはビッグスポンサーに至るまで、あらゆる手を使って「延期」を勝ち取りにいかなければならないはずである。

また、日本国内に目を移しても、北海道が緊急事態宣言を解除する方針で動いていたり、首都圏ではあちこちで”人混み”が戻り始めていたり、と、これまた世界の流れに逆行するような空気が漂い始めている。

一昨日のエントリーでも書いたとおり*3、今、何でもかんでも「自粛」する必要は全くなく、リスクの大きいところに絞って潰してこそ真の対策だと思っているから、方向性としてはそんなに離れていないのかもしれないが、「判明しているクラスタ以外への広がり」の有無を長らく確認できない状態が続いている以上、追いかけている集団の中での感染ペースが鈍ったからと言って、そこで対応を全体的に”緩める”かのようなメッセージを出してしまうのは、決して好ましいこととはいえない。

先月後半以降、マーケットも、足元の経済活動の動きに関しても、芳しくないニュースが日々飛び込んでくる中で、ちょっとでも早く「日常」に戻して、新たなお金の流れを生み出したい、という発想はよくわかるのだが、こういう時に焦って中途半端な状態で世の中を元の方向に戻そうとしても、たいていそんなにうまくはいかず、むしろ、かえって状況を悪化させる場合も多い、ということは肝に銘じておく必要があると自分は思っている。

二極化する世界の中で

ということで、世界各地で、さらには日本の中、その小さな家庭の中ですら、現状の受け止め方が「二極化」する状況になりつつあるのだが、それは様々な会社から出されるリリースを見ていても感じることである。

ホテル業界や百貨店・飲食等の業界、はたまた中国に製造拠点を置いている製造業者*4などが、極めて景気の悪いリリースをする横で、「足元影響なし」と断言する会社もチラホラ。。。、

もちろん、「悪い方向に全てが統一される」といった悲惨なことになるよりはよほどマシな状況であることは間違いないのだが、それまでの営業努力とは全く無関係のところで、コントロールできない事態の発生によって大きく明暗が分かれてしまうのだとしたら、やはりどこか割り切れないところが残ってしまう。

いざスイッチが入ると、いい意味でも悪い意味でも極端な方向に振れる欧米や中国とは異なり、緩やかにスイングしながらなるべく穏やかな、変化の少ないところで事を収めようとする気質の人々が多いのがこの日本という国の社会だと自分は思っているので、「二極化」といってもそんなにパックリと世の中が裂けるようなことにはならないだろうけど、それでもこれから徐々に顕在化していく「格差」にこの国がどこまで耐えられるのか、そして、この国特有の”振れ幅の小ささ”が、今まさに直面している難局を乗り切る上で良い方に働くのか、それともその逆なのか、といったことは、これからじっくりと見定めていく必要があるのかもしれない。

最初の頃、”震源地”として全力で叩かれていた中国が、今や全世界的な「ウイルス対人類」の戦いの中では「勝者」とされてしまいそうな状況だったり、日本が「学校の自主休校」等、一見極端に見える施策を打ち始めた時、それを批判する人々が引き合いに出していた”リベラル”なはずの欧米諸国が、今やより極端な手を打っている、という状況もあったりすることを考えると、今の時点で何が良くて、何が良くないのか、結論を出すことは不可能だと思うので、今は自分の身を自分で守りつつ、この”戦い”の行く末を見届けるまでは元気でいなくては、と思うのである。

*1:gisanddata.maps.arcgis.com

*2:ジャマイカ五輪委会長、IOCを支持 「開催へ準備」 :日本経済新聞

*3:今日のCOVID-19あれこれ~2020年3月16日版 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

*4:今日はどちらかといえば「中国」の状況より「フィリピン」の状況について開示した会社が多かったのだが・・・。

google-site-verification: google1520a0cd8d7ac6e8.html