嵐の前の熱狂。

ここのところ、どうにもこうにも落ち着かない。

理由はいろいろあるが、その一つは間違いなく、日本の株式市場の「根拠なき上げ」だ。

そもそも、五輪前後のゴタゴタに新型コロナの感染急拡大も相まって、日経平均が年初来安値*1を付けてからまだ1か月も経っていないというのに、現首相の辞任報道をきっかけに、世界でも他に例を見ないくらいの急上昇を遂げ続けて今に至る。

「何なの、今前向きな材料なんて全くないじゃん」と呟いたのは一週間前のことだったが、停滞するNY市場など気にも留めず、その後もほぼ右肩上がりで株価が急伸していく不思議・・・。

k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

それまで活況を呈する海外市場を指をくわえて見ていた国内の多くの個人投資家にしてみれば、今がこれまでの憂さを晴らす絶好の機会、ということなのかもしれない。

だが、根拠なき熱狂の後に訪れるのは悲劇でしかない。

そうでなくても、”現物派”にとっては、3月期決算会社の半期配当の権利取りを待つか、それとも配当が落ちた後のダメージを回避するために先取りして売り抜けるか、という取捨選択に迷うこの時期、人間の心理として、含み益が膨らめば膨らむほど判断の時期は遅くなるが、引きずった先に待っているのは奈落の底・・・。

悪いことに、今月は、来年4月の東証の新市場移行に向けた取締役会決議→方針公表と歩みを進める会社が続々と出てきはじめたタイミングでもある。

ああだこうだ理想論を言われたところで、ほとんどの経営者にとって、自分の会社を最上位市場に置くこと以上のステータスはないし、東証一部にいた会社なら「経過措置」で何とかなるだろう、というムードが蔓延している今の状況では、東証1部→プライム以外の選択肢を決断する動機自体が事実上存在しないのだが、それに輪をかけてこの降って湧いたような株高。

本来であれば、プライム”残留”のカギとなるはずの「上場維持基準の適合に向けた計画書」も、この”ミニバブル”の中では作る側にあまり力が入らないようで、

「一次判定の時とはもう状況変わってるんで、特にやることはないです」

といった趣旨の大胆なものさえ出てくるようになったのだが、バブルもあれば当然その逆もある。

”最大風速”に胡坐をかいて、ロクロク対策を講じないまま「プライム行き」の申請を出したは良いが、新市場移行後の市場環境がまたがらりと変わって、結果的に上場維持基準を割り込むことになる、というリスクを、今この時点でどれだけの会社が果たして目の前の危機として認識しているのか・・・。

できることなら、ここから年末にかけて緩やかにソフトランディングするような展開になってほしい、と願いつつも、たぶんそんな幸運なことは起きないだろうから、今は息をひそめながら、静かに次のタイミングに備えたいと思っているところである。

*1:終値ベースでは8月20日の26,954.81円が今のところの最低値である。

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