今日のCOVID-19あれこれ~2020年3月13日版

13日の金曜日だから、ということではないのだけど、前夜の「パンデミック宣言」を皮切りに、とうとう新しいフェーズに突入してしまったな・・・という印象すら受けた一日だった。

今まさに”震源地”になってしまったイタリアだけでなく、フランスで、イギリスで、国のトップがかなり踏み込んだコメント&対策を打ち出し、夜(日本時間では14日未明)になって米国も遂にトランプ大統領「非常事態宣言」

株価の上下動や為替の変動はまだ想定できる出来事ではあったのだが*1プロスポーツから、今がまさに佳境だった各五輪競技の大会中止に至るまで、全世界的なイベント中止の動きの早さは想像をはるかに超えていた。

不謹慎ながら、先週くらいから、話題の「伝染病ゲーム」に自分もすっかりはまってしまっているのだが、次々と感染拡大、発症者続出、自国防衛のために人の行き来を止め、その裏で急ピッチの治療薬開発を進める、という展開は、まさにこのゲームの中で表現されている世界そのものである。

Plague Inc. -伝染病株式会社-

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  • 発売日: 2018/10/14
  • メディア: アプリ

そして、かなり早い時期からCOVID-19に対応し続けているはずのこの日本の煮え切らない状況と比べてしまうと、国のトップ自らが、

Some people compare it to seasonal flu, alas that is not right. Owing to the lack of immunity, this disease is more dangerous.
It is going to spread further and I must level with you, I must level with the British public, many more families are going to lose loved ones before their time.
Coronavirus: People with fever or 'continuous' cough told to self-isolate - BBC Newsより (強調筆者)

と、的確ながらインパクトのあるメッセージを発して緊急時モードに一気に切り替えていく様に接して、残念なギャップを感じざるを得ないのも事実だったりする。

もちろん、他の国と比べて日本が全くダメ、などというつもりはない。

特に、これだけ早い時期からウイルスの脅威に晒されていながら、犠牲者をこれだけ少ない人数に抑えているというのは、今のところ日本の現場の医療の水準、環境の高さを証明しているといって良いのだろうし、既にあちこちの国で指摘されている”医療崩壊”のような現象が顕在化していない、ということもポジティブに評価しなければ、二次感染防止のために日々神経を張り詰めている現場の関係者に申し訳がたたない。

ただ、(毎日定点観測しているわけではないので、たまたまだったのかもしれないが)先月末の「対策」公表から始まった”非常時対応”がちょうど終わる予定だった日、だからか、今日の電車の中の人の数は、数日前と比べても多かったような気がしたし、マスクを付けている人の数も思った以上に少なかった*2

時々カフェ等で耳に飛び込んでくる一般人の会話に接しても、これだけ問題が大きくなり、世界中で危機感が再共有されている状況になっているにもかかわらず、いち早く対策が打たれているはずの日本国内で、危機感が今一つ浸透していないように思えてしまう状況はあるわけで…。

*1:振れ幅の大きさは想像をはるかに超えたが・・・。

*2:今や「感染しないため」ではなく「(まだかかっていない人に)感染させないため」にマスク着用が必要になってきている状況だというのに。

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今日のCOVID-19あれこれ~2020年3月12日版

連日、COVID-19の関係では様々な話題が出てくるのだけど、やはりパンデミックという言葉以上に強烈なものはなかった*1

素直な市場は即座に反応したし、さらに海の向こうの大統領がとんでもない会見をしたこともあって、日本で下げ、アジアで下げ、欧州で下げ、さらにNY市場も2000ドルを超えて下げる、という完全なる負のループに入り込んでしまったのであるが。。。、

*1:映画やアニメの世界では良く耳にしたこのフレーズが、自分の生きている間に現実の出来事になるなんて、正直思ってもみなかったところはある。

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こんな時でも、決して忘れることはできない日。

あの日から9年、再びめぐってきた「3・11」。
今の世の中は”コロナ一色”だけど、それでもあの悲壮な時間と空間を共有したものとして、決して忘れることのできない日である。

昨年までは、決まった時間になると一斉に黙祷を始める、そんな環境にいた。

今は案内放送が流れることもなければ、周りに手を合わせる者もいない。
だけどその方が、「最初の一撃」が来た14時46分から、悲劇の幕開けとなった15時24分頃までの間、あの時、何もできなかった自分を振り返って思いに耽るにはちょうど都合が良かったな、という気がする。

”被災地”とラベリングされた地に最初に足を踏み入れたのは、あの日から1か月も経たない頃。それから何度となく仕事でもプライベートでも足を運んだ。

あるところでは、あったはずのものが全て消え去り、あるところでは景色は変わらなくても人影が消えた。そんな絶望的な光景の前では、誰かを「助ける」ことができるなんて気持ちには到底なれなかったし、「寄り添う」ことができる自信も全くなかった。

そして、様々な場面で接するたびに、切迫した”被災者”の叫びに気押され、ただただ無力感を抱く結果になることも多かった。

でも、その一方で、数か月経ち、半年経ち、1年、2年と歳月を重ねるたびに戻っていくものもあったし、新たに生まれた賑わいもあった。
びっくりするくらい豪華な海鮮丼に舌鼓を打ったこともあれば、街の片隅にある古いカフェで心を落ち着かせたり、あるいは、振る舞っていただいた銘酒を堪能したり・・・。

あの一日で変わってしまった景色が動き出すまでには、それなりに長い時間がかかったけど、そこにいる人々は、いつまでも”被災地”という感覚で目を向けるよそ者の想像を超えるところで、日常の中の賑わいを取り戻し、あるいは新しいポジティブな何かを生み出しているようにすら思えたから、自分自身の仕事の中身がローカルからグローバルに移っていった後も、必ず年に数回はどこかに足を運んで動いていく姿を見届ける、というルーティンは守り続けていたし、それが自分を突き動かす原動力の一つになっていたのも間違いない。

残念ながら、「ポスト3・11」で自分に課した様々なミッションを最後に片づけてから3年も経たないうちに、様々なものが大きく変わってしまった。

今では遠い昔のことのように思える一年前のエントリーは、今読めば、「最後」の瞬間の一歩手前の心境を見事なまでに象徴している。

k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

ただ、それでも、もうほとんどの場所では、どこに足を運んでも”当時の面影”を探す方が難しいような状況になっている今になっても、あの頃、自分の足で駆けずり回って、何ができるかを必死で考えた経験が、今の自分の一つの幹になっていると思っているし、復興の過程でいろいろと考えさせられたテーマの一つに、ちょっとお高いところから(場違いなれど)かかわれている、というのも、まさに「縁」。

9年という歳月、当時の中学生が大学を出て立派に社会人として働いている、そんな時の流れを噛みしめつつも、自分を駆り立てた「原点」は忘れずにいたいと思っている。

そして、”現場法務”の大切さを教えてくれたかの地の方々への感謝の念と、そこに眠る方々への慰霊の思いだけは、いつまでも持ち続けていなければと思うのである。

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今日のCOVID-19あれこれ~2020年3月11日版

憧れの舞台に立つことを夢見て練習に励んできた球児たちやその関係者にとっては、”もう一つの3・11”になってしまった感もある、第92回選抜高等学校野球大会中止の報。

ちょっと前のエントリーでも書いた通り、生徒たちのスポーツの本質は「見せる」ことではなく、「競い合う」ことにあるのだから、無観客でも開催すべきではなかったか*1、というのが自分の意見。

ただ、一方で、野球のような団体スポーツともなれば、一度に両軍のベンチに入る選手の数だけでも30人超。監督・コーチや審判員、記録員、さらに取材記者等まで入れれば、かなりの「大クラスタ」になってしまうわけで、選手たちが競技者であると同時に、教育を受ける者として守られるべき存在でもある、ということを考えると、苦渋の選択も理解できなくはない。

そして、これから、例年なら当たり前のように行われていた様々なイベントが近付くたびに、こういった切ない話がいくつも出てくるのだろうな、と思うと、自分自身、これまで以上に腹を据えてかからねば、と思うのである。

今必要なのは、「逆境」をチャンスに変えるしたたかさ。

とはいえ、後ろ向きな話題だけでは、どんどんドツボにはまるだけだ、ということで、個人的には、こんな時こそ明るい路線で行きたいと思っている。

まず、今日の大ヒットは、最近すっかり定番になった「株主の皆さまへ」シリーズより。

昨日もちょっと話題にした「マスク界の雄」興研㈱だが、今日、定時株主総会招集通知と一緒に適時開示に出されていた「 当社第 57 期定時株主総会ご来場にあたって~新型コロナウイルス感染防止の対応について~ 」という書面*2も実に粋だった。

1.当社の対応について
株主総会の運営に当たる事務局スタッフは、検温を含め、体調を確認したうえで参加いたします。
・当社役員、事務局スタッフは当社製品のマスク『ハイラック』を着用して対応させていただきます
・受付付近での混雑緩和のため、例年受付で手渡ししている各種書類は会場内に準備いたします。
・株主席へのご案内の際には、詰めて座っていただくことを要請いたしません。
(以上、強調筆者)

緊張感のある非常時オペレーションの告知の中でも、自社製品はしっかりアピールする、それでこそ企業だ、という見本のような事例といえるだろう。

そしてこれに続くのが「業績予想の修正に関するお知らせ」をリリースした㈱ブイキューブ。

この会社も、今や説明は不要だろう。

「人が集まる」ことがとにかく敬遠される今の状況の下、主力商材の「テレビ会議・Web会議システム」を前面に出したPRを展開し続けている会社であり、2月中旬の時点で、既に総会担当者に救いの手を差し伸べるようなリリースまで出していた*3

jp.vcube.com

おそらく、5月、6月総会では、多くの会社がなりふり構わずこのシステムを導入することになるのだろうが、今日、この会社が出した「業績予想の修正」は、意外にも公表済みの投資有価証券売却益の計上による当期純利益の上方修正だけ*4

ただ、リリースの中には、当然以下のような記載も出てくる。

「なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、その対応策の一つとして多くの企業で「テレワーク」や「オンラインイベント・セミナー」の採用・検討が行われている状況であり、当社の展開するサービスについても数多くのお問い合わせを頂いております。しかしながら沈静時期や各国政府の動向等、現時点では業績に影響を与える未確定要素が多いことから、状況の進展及び事業の進捗を踏まえ、適正かつ合理的な算出が可能になり次第、速やかに開示いたします。」(強調筆者)

大企業ほど、新しいことを始めるには時間がかかる、という日本社会の構造的問題と、今の状況下での各社の動きの鈍さを考慮すれば、引き合いはあっても商談成立には至らない、なので、売上高の上方修正を打つには時期尚早、ということなのだろうけど、なけなしの浄財を振り向ける個人投資家にとっては、そこが一番気になるところ。

大企業から中小企業、フリーランスに至るまで、昨今の状況の中で苦境に立たされている会社は多く*5、そんな時に”おかげさまで・・・”的なリリースをすることへの躊躇は、日本企業の中の人間であれば誰もが抱くことだと思うのだけれど、こんな時だからこそ、ちょっとでも前向きなニュースに接したいという潜在的欲求も、多くの人々の心に潜んでいたりするわけで、この先一つでも二つでも、そういったニュースを取り上げていければな、と思うところである。

*1:これは野球に限らず全ての種目に共通する話。それゆえ、一斉に大会を中止してしまった高体連の判断にも当然疑問はある。

*2:https://www.koken-ltd.co.jp/ir/stock/pdf/annai/20200305.pdf

*3:ちなみにこの会社自身は12月期決算なので、まもなく総会を迎える。そして、当然ながら「V-CUBE」による中継も予定されている。https://contents.xj-storage.jp/xcontents/05997/70d074a0/bdbd/41b1/ba76/d5caa4244250/20200310132058331s.pdf3頁参照。

*4:https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200311477646.pdf

*5:「上期の売上高としては創業以来の過去最高となりました。」とアピールするクルーズ旅行専門の会社の決算説明資料(https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200311477750.pdf)なども、涙なしにはとても読めない。

今日のCOVID-19あれこれ~2020年3月10日版

今日は予定されていた日本政府の対策第2弾公表の日。

既に、想像どおり、イベント”自粛”要請が1週間延びることは事実上発表されていたし、今日公表された新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策 ―第2弾-」*1を見ても、どのあたりで一連の対策の幕引きができるのか、ということは全くうかがえない。

とはいえ、今の苦しい国家財政下で4,300億円超の財政措置を講じたことは率直に評価しないと汗を流している方々に申し訳ないし、マスク確保対策にしても、PCR検査体制の強化にしても、何とかしよう、という姿勢だけはうかがえるから、それを最後のセーフティネットにして、後は一人ひとりの知恵で乗り切っていくしかないな、と思っている*2

幸いなことに、今日の午前中の早い時間帯までは、絶望的な空気に支配されていた市場も、何とか息を吹き返してプラスに転じ、それを受けた欧州市場、米国市場も何とか反転攻勢に転じている。


「ウイルス性肺炎といっても大したことはないだろう」「中国(極東)では大変なことになっているようだけど自分の国は大丈夫だろう」「自分の国で流行り始めたけど、周辺の人間にまで影響が及ぶことはないだろう」等々、人間の素朴な正常性バイアスを見事なまでに逆手にとり、世界で11万6,000人くらいにまで感染者を広げてしまったのが「COVID-19」という厄介な代物*3

市場をめぐるあれこれも、まさにその延長線上にある話で、「株価が変な動きをしているけど、ちょっと利下げ(or資金供給)すれば持ち直すだろう」「バイデンが予備選で勝ちそうだからこれでもう大丈夫だろう」等々、楽観論が出ては消え、出ては消え、というのを繰り返している間に、最近では凄く極端な悲観論まで出てきていたりする。

だが、いくら正常性バイアスはいかん、といっても、そこまでくるとさすがに、ちゃんと一次資料見てる? 今の世の中の状況見てる? と首を傾げたくところもあり。

ということで、今日はその辺の話をちょっとしてみたい。

そろそろ買い戻そう、ニッポンを。

3月も3分の1が過ぎた、ということで、ちょうど2月の月次の公表も今がピーク。さらに1月末でクオーターが変わる会社の決算発表、業績予想もボチボチ出てきている。

この点に関しては、先週のエントリー*4でも触れた通り、メディアで報じられるのはどうしても「悪い結果」の方ばかりだし、実際、悪い結果になってしまっている会社があるのも確かだ*5

また、月次でも、既存店の100%割れが目立ったコンビニ大手3社(特にオフィス街に進出しているローソンとファミリーマートは厳しい結果になっていた)や、2月の月次こそ好調(対前年112.8%)ながら、「3月に入り、新型コロナウイルス感染症に伴う全国各地での様々な自粛の影響に伴い、3月9日時点で既存店売上高は前期比で 90%台半ばでの推移となっております」という一言を添えた ㈱丸千代山岡家https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200310477046.pdf)など*6、芳しくないところがあるのは確かだ。

だが、逆に、この一連の”コロナショック”が明らかにプラスに作用しているのが、ドラッグストア、ホームセンター等の小売事業者である。

既に全国区の会社の中でも、ツルハHDとかDCMHDといったところが、いい数字を出しているのだが、今日はスギホールディングス㈱が全店128.6%、既存店だけ見ても120.9%という躍進ぶり*7。㈱バローホールディングスもドラッグストア、ホームセンター部門は跳ねている*8

長野の名門、綿半ホールディングス㈱は数字こそ控えめなものの「月の終盤にかけては、新型肺炎の影響で、衛生用品、食料品や日用品の買い溜め特需があり、売上・客数・客単価ともに前年を上回りました。」という解説を加えているし*9ドン・キホーテを抱える㈱パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスに至っては新型コロナウイルスの影響で保存性⾷品や衛⽣⽤品が⼤きく伸⻑し、免税売上⾼の落ち込みをカバー!」とインバウンド需要減少を懸念する投資家の不安を先回りして吹き飛ばすような見出しを付け、「国内消費は、新型コロナウイルスに係る状況変化に伴って、週を追うごとに「巣ごもり消費」が顕著となり、保存性⾷品や衛⽣⽤品、紙製品などの⽇⽤雑貨品が牽引しました。なかでもマスクや除菌シート及びトイレットペーパーなどのニーズが急速に⾼まりました。」と、語っている*10

もちろん、ご承知のとおり、既に最大の商材である「マスク」は3月に入ってから長らく店頭にない状況が続いているし、パートタイマーの人手不足などもささやかれているところではあるのだが、こと住宅街に根を張っているお店は、こういう状況でも(むしろ昼間人口が増えた状況だからこそ)思いのほか賑わっていたりするわけで、そこに飛びつかない手はないだろうと思うところ。

そして、”巣ごもり”の関係では、インターネット通販系、宅配系のサービス事業者への注文も軒並み伸びていて、そうなれば配送事業者にもお金は落ちる。

日本の場合、未だに「製造業中心」で経済なり産業なりが捉えられることが多いから、今回のように中国が打撃を受けたり、全世界に影響が波及するような出来事が起きると、「グローバルサプライチェーンがぁ・・・」と、悲観的になる傾向も強いのだが、サービス事業者の場合、BtoB、BtoC問わず、商流自体は国内で完結している会社が大半を占めるのが実情だったりするわけだから*11、自分たちのビジネスの仕組みが回り続ける限り、今回の件が多少長期化しても、顕著な影響なく乗り切れる会社はそれなりにあると思っている*12

なので、悪しき悲観論に惑わされることなく、淡々と投資を積み重ねていけば、いずれそれで一財産築ける。今はそんな状況だと思っているところである。

それでも起きてしまう悲劇

以上、本日もひたすらポジティブ思考で綴ってきたのであるが、こういう状況だと、やはりどこかで悲劇は生まれてしまう。

その一つが、㈱FHTホールディングスという会社から本日開示された「第 26 期定時株主総会及び継続会の開催に関するお知らせ 」というリリース*13

「継続会」というキーワードを見ただけで背筋が凍り付いた総会担当者の方もいらっしゃるだろうが、この会社の場合、

新型コロナウイルス感染症による肺炎の予防及び抑制を目的とした中国の省政府や市政府の通達に従うことによる影響により、当社の連結会計処理に係る作業の遅延が継続しており、改善の目途が立っておりません。新型コロナウイルス感染者が発生した居住区では、その居住区が封鎖される措置により、当社中国子会社の従業員等も当該措置により在宅勤務を余儀なくしておる者が多く、中国における当社の子会社及び決算関連手続に係る関係者につきまして、実質稼働することが困難な状況が続いており、現時点において、決算関連手続が完了しておりません。 」(強調筆者)

と、12月期の決算短信すら未だに出せていない状態・・・。

結果として、

「当社は本総会において、第 26 期報告事項をご報告することを断念せざるを得ないものと判断いたしました。」

という苦渋の選択を強いられることとなり、定時株主総会本番を前にして、日程こそ決まっていないものの「継続会」の開催を予告。

「これに伴い、当社は会計監査人の監査報告の受領など所要の手続を完了次第、速やかに本総会の継続会(以下、「本継続会」といいます。)を開催し、本継続会で第 26 期報告事項をご報告するとともに、本継続会の日時及び場所の決定を取締役会にご一任願うこと(以下、「本提案」といいます。)に関しまして、本総会において株主の皆様にお諮りする予定でございます。本総会において、本提案をご承認いただきましたら、当社は本継続会の開催ご通知を株主の皆様に別途ご送付し、本継続会を開催させていただく所存でございます。」

さらに、

本継続会は本総会の一部となりますので、本継続会にご出席いただける株主様は、本総会において議決権を行使できる株主様と同一となります。」

という、非常時オペレーションの解説の中でよく取り上げられる話で、最後はまとめられている。

最近は、監査法人が厳しくなっていることもあり、不正な会計処理が発覚して第三者委員会の調査に時間がかかる、といった理由で、継続会前提の総会開催を余儀なくされる会社は毎年数件出てきているし、それゆえに本件もやっていること自体はそこまで極端にレア、ということではないのだが、如何せん、そういった対応を取らねばならない理由が理由だけに、何とも気の毒だな、ということで取り上げさせていただいた次第である。

そして、こういう事例に接すると、ビジネスを遂行させ続けることだけがBCPの目的ではない、ということも、改めて感じさせられるわけで、もって他山の石とせよ、だな、と思えてならない。

*1:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/kinkyutaiou2_corona.pdf

*2:前にも書いたかもしれないが、こういう状況で「誰かにリーダーシップを発揮してもらいたい!」といって騒いでも、物事が良い方向に向かうはずはないし、「お上が基準を決めてくれ!」などと言っていると、それこそ世の中の破滅を招くことにもなりかねないので、まずは各人がそれぞれ自分の頭で考えて、動き方を決めて、できることからやりましょう、自分+一人でも多くの人にとってプラスになることをやりましょう、というのが、こういう時の行動の鉄則だと思っている。

*3:日本では公表されている感染者数こそまだ500人台に留まっているが、自分が抱えている様々なコミュニティの中で1つ、2つはあわや濃厚接触でひやりとする人が出てくるくらいの状況になってきているわけで、「実はあなた、もう陽性です!」と言われても全く意外感はないくらいの状態にはなっしまっている。もちろん、症状が出なければよい、重篤化して死に至らなければよい、という割り切りも一つの考え方(極めて日本的な発想だし、その背景にあるのが「顕在化しないリスクには目を瞑りがちだけど、ひとたび顕在化すると、過剰なまでに反応する」というコンプライアンスの世界にも共通する話であることを考えると、決して良い傾向とは言えないと思うところではあるが)だから、日本がその路線で行くのであれば、それはそれで一つの選択肢だとは思うのだけど、結果的に特効薬が世に出るまでは「おそるおそる新型コロナウイルスと共存する社会」のままになりそうな気もする。

*4:今日のCOVID-19あれこれ~2020年3月6日版 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~

*5:今日、業績下方修正が出た会社としてはマクセルホールディングス㈱(営業赤字、無配転落)(https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200310476836.pdf)、㈱京都ホテル(経常赤字転落)(https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200310476950.pdf)、㈱MORESCO(売上高14億円下方修正、中計予想も下方修正)(https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200309476561.pdf)など。

*6:ここに限らず、飲食事業の会社はさすがにどこも厳しいだろうと思う。唯一、カフェ系がリモートワーク特需で巻き返してくれるようだと、希望が持てるところだが・・・。

*7:https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200309476465.pdf

*8:https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200310476790.pdf

*9:https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200310476760.pdf

*10:https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200310476803.pdf。なお「マスク」に関しては、興研㈱からも「影響」開示があり、1-3月期で20%の増収、という明るい見通しが示されている(https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200310477018.pdf)。

*11:もちろん、ファイナンス面ではグローバル市場の影響を受けないわけにはいかない、というのがあるし、有力な取引相手が製造業だったりすると間接的な影響は当然出てくるわけだが・・・。

*12:もちろん、インバウンド頼みだった高額消費財の小売事業者がキツイのは間違いないし、旅客輸送事業者とかトラベル・観光系の事業者は、リカバリーするのに年内いっぱい、あるいはそれ以上の歳月を要する可能性は高いのだけれど、そういったところを除いていけば、それなりに投資妙味のある事業者は多々存在する。

*13:https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200310476955.pdf

今日のCOVID-19あれこれ~2020年3月9日版

再び新しい週が始まる月曜日。

本来であれば、プロ野球の開幕延期、とか、Jリーグの再開延期、とか、とても残念ではあるのだけど自分の生活には直結しない話題でつなぎたい日だったのだが・・・。

やはり、今日は「相場が荒れ狂った日」ということで、記録を残しておかないわけにはいかないだろう。

前週末、NY市場でも大きく下げていた上に、週末の間に全世界で感染者数は拡大し、状況は悪くなる一方。
しかも、それに追い打ちをかけて、北の国が飛翔体を飛ばすわ、サウジアラビアの皇太子が逆張り原油増産などとのたまうわ、という流れの中で市場が開いてしまったものだから、当然のごとく浴びせ売り。

足元の業績は悪くなく、金曜日の時間外に決算上方修正だの増配を発表して、ひそかに値上がりを期待していた銘柄もいくつかあったのだけど、大きな流れの前では、そんなささやかな期待など一瞬で吹き飛ばされてしまう。

終わってみれば、ほぼ下値に張り付いたまま、1,050円99銭安の19,698円76銭で引け、攻防ラインと思われていた20,000円をあっという間に飛び越えて”底なし”の様相を見せるに至ってしまった。

もちろん、自分の場合、昨日今日投資を始めたわけではないし、それこそリーマンショックに始まり、東日本大震災を挟んで、どの会社も今よりはるかに低い株価にあえいでいた2010年代前半を乗り切って資産を増やしてきた人間だから、「この程度で挫けてなるものか!」という思いは当然ある。

ただ、ちょっと反転の気配を見せたと思ったら、また二の波、三の波でつぎ込んだ資金が次々と溶けていく、という今の状況は、相当タフでないとやっぱりきついな、と。

まぁ、9年前、まさにあの「3・11」の翌週から始まった大暴落相場の中、蟷螂の斧ながら、”ニッポンを買い戻す!”と果敢に立ち向かったことが、その後の資産形成につながったことを考えると*1、今もまたチャンス、と言いたいところだが、今回は、日本だけの話ではないし*2、そもそも過去の成功体験の繰り返しに期待すること自体がリスクだったりもするわけで・・・。

深夜に2000ドル近く暴落し、サーキットブレーカーを飛ばした海の向こうの惨状を眺めつつ、ちょっと途方に暮れている週の始まりである。

どんな異常時でも容赦なく法改正は迫る・・・が。

ということで、今日はち密にネタを拾う気力もないのだが、自分が唯一いいなと思ったのは、4月1日に迫っている民法改正に向けて、改正民法の立法経緯を知り尽くした某大手法律事務所の某先生が、改正民法の「経過措置の概要と実務上の論点」をテーマとしたセミナーをWeb上で無料公開するという話に接したこと。

今、この状況で、4月1日に向けて各社の法務サイドで何か大がかりなことを仕掛けようとするのはさすがにやめた方が良いと思うのだが、とはいえ、法改正の施行日はおそらく変わらないし、いずれ日常が戻ってくればそこは否応なく「改正民法が適用される世界」になっているわけで、そうであれば、いろんなものが停滞している今のうちに改めて知識を整理しておきたいというニーズは当然あるはずだし、そのニーズに応えてWeb配信する、という着想は素晴らしいな、と思うので、”ちょっといい話”として、取り上げておくことにしたい。

*1:しかも、総力を挙げての復旧支援と余震警戒でイレギュラーな24時間交代勤務体制に突っ込まれていたさなか、”明け番”で意識朦朧とした中で無謀にも買いまくったのだった・・・。

*2:むしろ先週からの動きを見ていると、欧米の方がより深刻な事態に陥っているように見えて、最終的には「中国一人勝ち」の世界ができるような気がしてならない。

変わらないことに価値がある。

3月、この時期の週末は、百貨店の地下がホワイトデーに向けた催事で盛り上がるのだが、今年足を運んでみたら案の定、いつも長蛇の列ができているような売り場も、まぁそんなに待たずに買えるな、という感じの雰囲気になっていた*1

日経の朝刊にも、日中の勤務者人口が2割減、夜の銀座で5割減、というデータが出ていたりして、いい意味でも悪い意味でも日本が変わっていく渦中にあるのだろうな、と思う。

ただ、この週末もこれだけは変わらなかった・・・というものがある。

それは言うまでもなく「馬」だ。

もちろん、先週のエントリーでも書いた通り、「無観客競馬」というのは中央競馬の歴史の中でもかなり大きな事態ではあるのだが、この世界の凄いところは、

「競馬場に行けなくても、そこにいるかのような臨場感の下で馬券を買い、レースを楽しむことができる」

ということを長年追求し続けてきた歴史がある、ということにある*2

物理的に設置できる競馬場の数、レースを開催できる場は限られており、場外馬券売り場も「迷惑施設」として敬遠される状況の中、ラジオで、テレビで、そしてネット投票で・・・。

自宅の環境さえきちんと整えれば、少なくとも馬券を買う、ということに関しては、競馬場やWINSに足を運ぶよりよほど充実した環境で楽しめるわけで、他の週末の「現場観戦型」スポーツが軒並み休止に追い込まれている分、なおさら、淡々とレースが行われていることの価値は高まっているような気がする*3

ちなみに、今週の2日間で変わったことと言えば、短期免許でヒューイットソン、という長い名前のジョッキーが南アフリカから来日したこと*4、そして、あの伝統の弥生賞もまた「報知杯弥生賞ディープインパクト記念」という長ったらしいレース名になった、ということである*5

後者に関しては、昨年亡くなった歴史的名馬の名前をどこかのレース名に冠したかった、という主催者の思いは分からないではないのだが、往年のあの馬のスケールを知るファンとしては、「それが弥生賞か?」と問われれば絶対違う、と断言する*6、どうせ名を冠するのであれば、G1級のレースを新設して名馬に報いるべきだったのでは?と思わずにはいられない。

ただ、そんな名称変更を経た最初のレースで、今年重賞未勝利だった武豊騎手が、ディープインパクト産駒できっちり勝った、ということについては、さすがだなぁ。。。と嘆息するほかなかった、ということは申し添えておきたい*7

土曜日には、チューリップ賞阪神JFの上位組が激しく火花を散らしていたし*8、トライアルレースが続く来週、再来週を乗り切ればあっという間に春のGⅠシーズンに突入していく。

このままズルズルと「無観客」が今年の定番になってしまうのか、それとも、クラシック本番に突入する頃には、中山で、府中でいつもの賑わいが戻るのか、神のみぞ知る世界ではあるのだけれど、変わらないことのありがたさをかみしめながら、次の週末をまた待つことにしたい。

*1:それでも「閑散」というには、それなりの人出はあったので、せいぜい平年の3~4割減くらいで済んでいるとは思うのだが。

*2:この点は、今日から「無観客」での催行が決まった大相撲にも共通するところはある。こっちは”賭け”は禁物だが。

*3:もっとも、「競馬場に行こう!」系のキャンペーンCMは、ラジオを聞いていても残念ながらここ2週間ほどは、耳にすることがなくなった。現地観戦には現地観戦の良さがもちろんあるだけに、一日も早い”正常化”を望んでいることは言うまでもない。

*4:ラジオの解説では「まだまだコース取りが・・・」みたいな突っ込みも受けていたが、ノーザン王国の強力なバックアップの下、帰国したマーフィー騎手からの乗り替わりで素質馬に騎乗する等の幸運に恵まれることもあって、3勝、とまずまずの好スタートを切っている。

*5:これ、JRA-VAN等での表記だと、「報知弥生ディープ記念」になっていて、全部中途半端だから何とかしてほしい、と思ったのは自分だけだろうか・・・。

*6:だからといって、神戸新聞杯とか阪神大賞典のレース名を変えれば良い、というものでもない。

*7:今年は朝日杯FS組の出走がなく、ホープフルS組も3着のワーケアが最高位。あとは新馬、未勝利、条件戦からの参戦、ということで、買いどころは非常に悩ましいメンバー構成だったのだが、終わってみれば「唯一の」ディープインパクト産駒が勝つ、というできすぎた結末となった。

*8:キズナ産駒のマルターズディオサの力強い勝ち方は、クラシックでの快進撃を予感させたがさてどうなるか・・・。

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