これはまさに時代を映す鏡。

ここ数年、CDはもちろんDVDすらほとんど手にすることはない生活を過ごしていたのだが、「昭和生まれホイホイ」みたいな告知につられて思わず予約購入してしまったCD&DVDがこちら。

商品の特性上、CMの放映エリアが全国規模ではなかったこともあって、本ブログの同世代の読者の皆様全てと記憶を共有できるわけではないことは承知の上だが、真っ先に飛びついたDVDの中の映像、それも、90年代前半から吉川ひなの出演の98-99シーズン版まで眺めた時に蘇ったほろ苦さを何と形容すればよいのだろうか・・・。

初期のCMではまだ残っている「とにかく大勢で遊びに行こうぜ」的なバブリーな雰囲気。それが浜田雅功の牧歌的なCMに変わり、さらに若い女性にスポットを当てる、という現在にまでつながるパターンに変わっていく*1

学生の頃の自分は、日々の生活費を捻出するだけで四苦八苦だったから、「スキー」なんて娯楽は高嶺の花以外の何物でもなく、見栄張って連れ立って出かける、なんてことができる余地も全くなかったのだが、CMだけは一人でも二人でも見ていたわけで、(これに限った話ではないが)本当は行きたかったのにこちらの懐具合を察してそんなことは一言も言わなかった誰かの優しさを後になって聞かされた身としては、まぁ何ともトラウマ・・・。

その後、キャンペーン自体が消えていた時代もあったし、自分自身も、土地柄多少仕事で関わったことはあったものの、プライベートでスキー場に足を運ぶことは今に至るまでなく、さらに慌ただしさの中でCMすら見ることなく気づけばシーズン終わっている、ということの繰り返しだったような気がするから、2010年代以降の映像に関しては、はっと思い出すのも本田翼のシリーズくらい。

ただ、ここで改めて眺めてみると、似たようなストーリ―で構成しながらも、場面設定の微妙な違い*2や携帯からスマホへの変化、さらにはアクセントで登場してくる駅だの新幹線の車両だのの変化に至るまで、時代が着実に動いていることを痛切に感じる。

マーケティング的に言えば、スキー人口が明らかに減り続けている状況*3で、いつまでも若者ターゲットのCMを打ち続けることの意味は何か?ということを考える契機にもなる作品集だし、知財的な観点でみれば、このDVDに一部のシーズンのCM映像が収められていない*4のは何でだろう?という想像もいろいろと湧いてくる*5

このDVDを見たからと言って、決してスキー場に行きたくなるわけではないし、この先行くこともたぶんないと思うけど、世紀を跨いできた者が、自分の生きてきた時間の長さを感じる、という意味では、一度見てみる価値がある・・・。そんな作品なのかもしれないな、と思った次第である。

*1:本当はこの間にglobeの大ヒット曲が流れる「カップル編」(多少バブル風味)が入るのだが、出演者の承諾が下りなかったのか、このDVDには収められていない(もちろんYou Tubeで探せば見られる)。

*2:特に後半になればなるほどキャンパスのシーンが増えるのは、最近の学生が大学拠点に活動するようになったことの裏返しだろうか、と思ったり・・・。

*3:「客数は7割減も、8割は営業中」いつもガラガラなスキー場はなぜ潰れないのか これから始まる「大淘汰」の中身 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)の記事など参照。

*4:最近では広瀬すず川口春奈がメインだったシーズンの分が見当たらないし、先ほども触れた初期の江角マキコ竹野内豊バージョンなども残念ながら映像としては入っていない。

*5:ちなみに、映像がないシーズンでもCMに使われた楽曲はちゃんと入っていて、現状、この種の素材の権利処理は音楽が一番フレキシブルに対応できる、ということは、このCD&DVDひとつとっても分かるのではないかと思う。

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