いつのまにか七夕、でも株主総会2020はまだまだ続く。

都知事選で現職知事が圧勝したのもつかの間、週が明けても東京都下の感染者数は100人の大台を超えたところで横ばいが続き、まだ終わっていなかった「第1波」がじわじわと盛り返してきている。

小池知事が連呼した「夜の街」のインパクトが強すぎて、”自分には関係ない”と思っている人が多すぎるからなのか*1、それでも日に日に外に出てくる人々が増えてきていることに自分は驚きを隠せずにいるのだが、これもまた壮大な社会実験ということで、まだ日本では一定の信頼を置ける「生のデータ」と、意識の高い会社だけが断片的に公表している感染判明者の情報、そして最後は自分自身の直感を信じて行動するしかないな、と思うところである。

まぁ、このブログでもたびたび書いてきたように、自分は元々、上から「一律の外出制限」とか「営業禁止(含む強い自粛要請)」といった類の政策を押し付けることには否定的で、特に今のように”気候も味方してくれている”季節であれば、ウイルスの飛び散り方も、どこかに付着した後に生き残るためのしぶとさも、当然第一次流行期とは変わってくるはずだから、節目節目で大きなリスクファクターが存在する場面を回避していけば、普通に日常を過ごしながらやり過ごすことも十分可能だと思っている。

だから今の政府、自治体のスタンスに文句を言うつもりはないのだが、虎の子の「人財」を抱えているはずの各企業が、(一部の先進的な会社を除き)何となく国や自治体の方針に追従しているだけのように見えてしまうのは、本当に残念なところ。

「若者は重症化しない」というけど、実際に春先に罹患した人*2の話を聞けば「インフルの数倍はきつかった」という証言も飛び出すのが今回のウイルスなので、何があっても罹らない、罹らせない、を徹底するほかないと自分は思っていて、それなのに、やれもう7月だから満員列車に乗って会社に出てこい、だとか、「飲み会解禁だ、経済を回すぞ」とかなんとか言っている輩がいるような会社なり組織もまだそれなりの数ある、ということを本当に信じられない気分でいる。

この先どうなるか分からないけれど、きちんと対策して社員を守った会社が生き残り、そうでなかった会社や事務所がいずれ廃れ、消えていく流れになっていくなら、一種の「フィルター」として今回の騒動が機能してくれたのだな、と、ほんの少しだけ救われる気分にもなるので、この先も、悪戯好きの神様のやることをしっかり注目してみておきたいと思うところである。

2020株主総会夏の陣

さて、6月の終盤に、すっかり「終わった」気分のエントリーを上げてしまっていた今年の株主総会関係情報だが、ご承知のとおり、今年は「延期」組や、「継続会」組が多いこともあって、3月期決算会社の中にもまだまだこれから、という会社は残っているし、そこに元々この時期に総会をやる予定だった4月決算会社等も加わって、これからもまぁまぁあるな、という状況になっている。

先週くらいからは、定時総会や継続会の「招集通知」もかなりアップされていて、その中で興味深く自分が眺めたのは、

・2月期決算会社ながらいち早く「開催延期」を発表し、満を持して7月末に総会を持ってきた会社が、この時期になってもなお、「当社役員のみで開催」という、いわゆる伊藤忠方式を採用して実施しようとしている事例。
https://pdf.irpocket.com/C2379/Aklh/SVAa/R4C4.pdf

と、

・3月期決算会社で、「開催延期」により7月末の総会開催を予定している会社が、招集通知の中に、新型コロナ感染防止のみならず熱中症予防の観点」という、まさかの内容の参加差控えお願い文言を入れている事例。
https://www.iwatsu.co.jp/ir/pdf/2020/111soukai.pdf

あたりだろうか。

また、以下、各社の状況について*3、改めて挙げると以下のようになる。

■延期(議決権行使基準日変更)での対応(56社)
・㈱東芝 7月以降 基準日5月15日(配当基準日変更なし)
・㈱スカパーJSATHD 7月30日 基準日5月31日(配当基準日変更なし)
・㈱ナンシン 7月以降 基準日5月31日(配当基準日も変更)
サンデンHD㈱ 7月29日 基準日6月12日
・㈱ジャパンディスプレイ 8月26日 基準日6月30日 
・㈱サンリツ 8月27日 基準日5月31日(配当基準日も変更)
ブロードメディア㈱ 7月下旬 基準日5月31日(株主優待制度は基準日変更なし)
オリンパス㈱ 7月下旬 基準日5月31日(配当基準日も変更)
日本板硝子㈱ 7月以降 基準日6月4日 (配当基準日は変更なし)
・㈱音通 7月下旬 基準日5月25日(配当基準日変更なし)
・㈱レオパレス21 7月22日 基準日5月28日(無配)
・㈱三城HD 7月28日 基準日5月31日(配当基準日変更なし)
・㈱昭和HD 7月 基準日5月31日 (配当基準日への言及はなし)
・㈱リプロセル 7月以降 基準日6月30日(無配)
・㈱プレステージ・インターナショナル 7月30日 基準日6月10日(配当基準日変更なし)
・㈱フォーバルテレコム 8月3日 基準日5月31日 (配当基準日変更なし)*4
・㈱フォーバル 8月12日 基準日5月31日 (配当基準日変更なし)*5
凸版印刷㈱ 7月21日 基準日5月31日 (配当基準日変更なし) 
日本電波工業㈱ 7月31日 基準日5月31日 本社事務所会議室で開催(配当基準日変更なし)
・㈱日立製作所 7月下旬以降 基準日5月28日(配当基準日変更なし)
日立建機㈱ 7月以降 基準日5月31日(配当基準日変更なし)
東洋エンジニアリング㈱ 8月1日 基準日5月31日(無配)
・㈱アールスティ 7月以降 基準日5月31日(無配)
・相模ゴム工業㈱ 7月16日 基準日5月31日(配当基準日変更なし)
玉井商船㈱ 7月29日 基準日5月31日(無配)
クオールHD㈱ 7月21日 基準日5月31日(配当基準日変更なし)
・㈱ケーヒン 7月以降 基準日6月12日(無配)
岩崎通信機㈱ 7月29日 基準日5月31日(無配)
・チムニー㈱ 7月28日 基準日6月8日(無配)*6
北日本紡績㈱ 7月30日 基準日6月5日
・Fringe81㈱ 7月22日 基準日6月10日
・ユニプレス㈱ 7月下旬 基準日6月11日
鴻池運輸㈱ 7月31日 基準日6月18日(配当基準日変更なし)
・燦キャピタルマーケット㈱ 7月下旬→8月7日 基準日6月5日(無配予定)*7
・㈱やまや 7月下旬 基準日6月15日(配当基準日変更なし)
・㈱ショーワ 7月以降 基準日6月8日(配当基準日変更なし)
・㈱電業社機械製作所 7月31日 基準日6月15日(配当基準日変更なし)*8
ワイエスフード㈱ 6月→8月中旬→9月7日(再延期) 基準日6月30日→7月20日(再設定)(無配)
・㈱フレンドリー 7月31日 基準日6月19日(配当基準日への言及はなし)
・㈱フジクラ 9月16日 基準日6月30日(無配)
アジア開発キャピタル㈱ 9月 基準日7月10日(無配)
住友精密工業㈱ 未定 基準日6月30日(無配)
理研ビタミン㈱ 8月下旬 基準日6月30日(配当基準日変更なし)
・㈱ヴィア・ホールディングス 7月下旬 基準日6月13日(無配)
富士電機株 6月下旬→8月6日 基準日6月15日(配当基準日変更なし)
曙ブレーキ工業㈱ 6月→7月30日 基準日6月19日(無配/A種種類株式の配当基準日は6月19日に変更)
・東京ボード工業㈱ 6月下旬→8月7日→8月20日 基準日6月16日(無配)*9
・㈱サンリオ 6月下旬→8月26日 基準日6月30日(配当基準日変更なし)
桂川電機㈱ 7月下旬 基準日6月15日(配当基準日変更なし)
NTN㈱ 7月以降 基準日6月15日(無配)
・ユー・エム・シー・エレクトロニクス㈱ 6月→8月7日 基準日6月16日(無配)
・㈱コンヴァノ 6月下旬→7月29日 基準日6月18日(配当基準日への言及なし)
・㈱アドバネクス 6月25日→未定 基準日6月30日(配当基準日も変更)
ユニデンHD㈱ 6月→8月28日→9月25日までに*10基準日6月26日(無配)
・㈱ミマキエンジニアリング 6月30日→8月5日 基準日6月30日(無配)
・㈱NUTS 6月末→8月以降
・㈱旅工房 6月下旬→未定 基準日7月13日

■継続会での対応(31社)
・NKKスイッチズ㈱ 6月26日→継続会予定(7月17日) ※6月総会初の継続会リリース
・アネスト岩田㈱ 6月25日→継続会予定→継続会開催とりやめ
・㈱パイオラックス 6月24日→継続会予定(8月5日)
日本農薬㈱ 6月26日→継続会予定(8月5日)*11
芦森工業㈱ 6月19日→継続会予定(7月30日)
・㈱ADEKA 6月29日→継続会予定(8月6日)
・㈱ナカノフドー建設 6月26日→継続会予定(8月26日)*12
・国際計測器㈱ 6月29日→継続会予定(7月30日)
・㈱三栄コーポレーション 6月26日→継続会予定(7月31日)*13
・中央ビルト工業㈱ 6月19日→7月6日
・㈱フェローテックHD 6月26日→継続会予定(7月31日)
・㈱リケン 6月26日→継続会予定(7月31日)*14
・㈱アイフリークモバイル 6月25日→継続会予定(無配の方針に言及)(7月28日)*15
大和自動車交通㈱ 6月26日→継続会予定(7月17日)
・㈱ミクニ 6月26日→継続会予定(7月20日
大同工業㈱ 6月26日→継続会予定(7月31日)*16
・新田ゼラチン㈱ 6月25日→継続会予定(7月24日)
リズム時計工業㈱ 6月19日→継続会予定(7月29日)
リーダー電子㈱ 6月26日→継続会予定(7月31日)
尾張精機㈱ 6月25日→継続会予定(7月31日)
・岡谷電機産業㈱ 6月30日→継続会予定(7月30日)*17
・大成温調㈱ 6月29日→継続会予定(7月22日)
・㈱巴川製作所 6月25日→継続会予定(7月13日)
・水道機工㈱ 6月26日→継続会予定
・寺崎電気産業㈱ 6月29日→継続会予定(7月21日)
戸田建設㈱ 6月25日→継続会予定(7月30日)*18
・㈱タツミ 6月24日→継続会予定(8月4日)
・㈱フコク 6月26日→継続会予定(7月31日)
・㈱スペースバリューHD 6月24日→6月30日→継続会予定(8月6日)*19
・ASTI㈱ 6月29日→継続会予定(7月22日)
・㈱サクサHD 6月26日→継続会予定
・日本ドライケミカル㈱ 6月26日→継続会予定(7月29日)

■定時+臨時の2回開催による対応(4社)
・㈱ダイセル 6月19日 → 臨時株主総会(8月7日)で報告予定
・オンキョー㈱ 6月25日 → 臨時株主総会(9月25日予定)で報告予定*20
五洋インテックス㈱ 6月30日→ 臨時株主総会(8月上旬)で報告予定→9月下旬に再延期*21 基準日6月23日
・㈱ミツバ 6月26日→ 基準日7月15日 臨時株主総会(8月28日)で報告予定*22

■当初基準日から3か月以内での日時変更による対応(8社)
・㈱ぱど 6月18日→6月30日に延期を発表
高砂熱学工業㈱ 6月23日→6月29日に延期を発表
・㈱ディスコ 6月23日→6月26日に延期を発表
・プレミアグループ㈱ 6月25日→6月29日に延期を発表
・㈱海帆 6月26日→6月30日に延期を発表
・㈱ドリームインキュベータ 6月15日→6月29日に延期を発表
・ウィルソン・ラーニングワールドワイド㈱ 6月25日→6月30日に延期を発表
・㈱メディア・リンクス 6月20日→6月22日に延期を発表

4月、5月頃の見通しに比べれば、海外でも思っていたよりは順調に決算事務が進んだ会社が多かったのか、継続会開催予定を公表していた会社の多くは、予定されていた定時株主総会終了と同じタイミングで継続会の日程を示すことが多かった。

ただその一方で、当初予定していた決算発表日に間に合わず、再延期をリリース → さらにその日を基準に想定されていた総会開催日時も更に先延ばし、という事例も出てきているのは確かで、こればっかりは運も味方に付けないとなかなかうまくはいかないな、と思わずにはいられない。

そして、これからより暑さが増すであろう夏の盛りに向けて、毎日冷や汗をかきながらなんとか開催の段取りを整えてきている方々のためにも、何とかこのまま、「感染判明者数は増えても、皆がパニックを起こすことはない」という状況が続くことを願って、今はささやかなエールを送りたい、と思っているのである。

せっかくの七夕の願い事が「株主総会が無事終わりますように」だと、ちょっと味気ない気もするけど、これもとても大切なことだから。

*1:もちろん、おそらくはそれも小池知事独特のリスクコミュニケーション感覚によるもので、いろいろバッシングを受けてはいるものの、大多数の一般市民を萎縮させずに街に繰り出させて消費活動を再開させる方法としては、なかなかしたたかなものではないかと思う。もちろんその代償として、不運にも罹患した人々はそれだけ甚大なレピュテーションリスクを負うことになるし、知らず知らずの間に「昼の街」への蔓延が始まっても、問題が相当深刻になるまでは皆気がつかず、そして慌てた時にはもう手遅れ、というリスクを負うことになるわけではあるが。

*2:しかも、ちょうど一番医療現場が混乱していた時期だったから、しばらくは病院にも行けず、検査で陽性が判明したものの、「中等症」としての取扱いすらしてもらえなかったらしい。

*3:前週までの動きについてはそれでも「6月」にこだわることを「形式主義」などというなかれ。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~参照。

*4:20年7月17日、招集通知開示。

*5:20年7月20日、招集通知開示。

*6:20年7月15日、定時株主総会招集通知開示。

*7:20年7月15日、定時株主総会開催日時公表。

*8:20年7月13日、定時株主総会招集通知開示。

*9:20年7月13日、再延期の末、日程を8月20日とすることを公表。

*10:20年7月20日、米国の決算作業遅れの影響で、決算発表を8月下旬に、総会日程を再延期する旨を公表した。

*11:20年7月9日、決算短信発表と合わせて継続会開催日時を公表。

*12:20年7月15日、決算短信発表と合わせて継続会開催日時公表。

*13:20年6月26日、継続会開催日時公表。

*14:20年7月8日、継続会開催日時公表。

*15:20年7月10日、継続会開催日時公表。

*16:20年7月13日、継続会招集通知開示。

*17:20年7月10日、継続会開催日時公表。

*18:20年7月9日、継続会招集通知開示。

*19:20年7月23日、継続会招集通知開示。

*20:20年7月21日、臨時株主総会の基準日を8月6日とする旨と、臨時総会の開催予定日を公表。

*21:20年7月17日、再延期を発表。

*22:20年7月15日、臨時株主総会開催日時を公表。

復活の時は、突然に訪れる。

このタイトル、もちろん都知事選とは何も関係なく*1、今日の阪神メイン、冠名のテレビ局の名前を見れば分かる通り、いつもの年なら中京で行われていたはずのCBC賞(GⅢ)で起きた、ちょっとした物語を取り上げたくて付けたものである。

CBC賞といえば、かつてスプリンターズSが年末に行われていた頃は、本番に直結するトライアルとして、一時は国際GⅡのステータスまで得ていたレースだったのだが*2、今は、”荒れる夏競馬”を象徴するようなハンデ戦

ここ数年の結果を眺めても、人気になったGⅠ出走組をオープン別路線組や条件戦からの昇給組が蹴散らして波乱を演出、というパターンが続く下克上レースとなることが多くなっていた。

今年1番人気になったのは、前走の高松宮記念の痛恨の1着入線降着を食らったクリノガウディ―*3だったのだが、決してレースとの相性は良くないGⅠ直行組だったうえに、58キロもハンデを背負わされてしまっては、いかに名手・横山典弘騎手を乗せているといってもきつかろう・・・というところまでは容易に予想はできたから*4、自分が選んだのは、ここ数戦絶好調で、前走もオープン格の鞍馬Sを制しているタイセイアベニールだったし、別の馬に目を付けるなら条件戦を3連勝してここに臨むミッキースピリットあたり*5に目を付けて、その辺りからローテーションとハンデを見ながら相対的に確率の高そうな馬に適度に流していく、というのが素直な選択だったのではないかと思われる。

だが、我々が目撃したのは、そんな常識的なデータ党には到底想像も及ばないような結果だった。

5歳牝馬ラブカンプーが、ゲートを出るなり飛び出して、ハイペースで逃げに逃げまくり、そしてそのまま影すら踏ませず最後まで逃げ切ってゴール。鞍上の斎藤新騎手とともに初重賞制覇を成し遂げてしまったのである。

出走16頭中13番人気、丸2年5カ月近く勝利から見放されていた馬がまさかの・・・という展開。


実はこの馬、かつては自分も注目していて、特に2年前の夏競馬でブレイクし、勢いそのままにセントウルSでも2着。そして、低評価だったスプリンターズSでも、稍重馬場をものともせず、小さい体で2着に食い込んだ時のを見た時は、わざわざエントリーのタイトルにしてまで取り上げた馬だった。

k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

「一生懸命走る」と調教師にまで絶賛されていた馬で*6、レースぶりを見ただけで応援したくなるような魂の走りをする馬だったから、順調に進んでいれば、翌2019年には、ファインニードル引退後、新・最速スプリンターとしてスター街道を歩んでも不思議ではなかったはずだ。

ところが、休養が明け、悲願のタイトル奪取に向けてリスタートを切った途端に運命は暗転する

・復帰戦のシルクロードS、2番人気に支持されるも18着惨敗。
・続くオーシャンS、増えていた馬体が絞れ、今度こそ、と思わせるも再び大失速で16着惨敗。
・そして臨んだ大舞台・高松宮記念でも、同世代のミスターメロディに2秒離される18着惨敗。

いずれのレースも出走全馬中「最下位」という惨状で、この不名誉な記録は続くアイビスサマーダッシュまで4戦連続で続く。

この間、ゲートを出て前に付け、先頭で競り合いながらコーナーを回っていく、というレースぶりそのものはそれまでと全く変わりはなかったのに、直線に向くか向かないか、というくらいのところでガス欠を起こして信じられないような減速を見せる・・・そんなレースの繰り返しで、「今度こそ」と信じて馬券を買っていたファンの心も負けが込むたびに離れていく。

結局、2019年は8戦連続2ケタ着順を繰り返し*7、人気もセントウルSで9番人気になった以外は高松宮記念以降すべて2ケタ。

今年に入ってからも5戦連続2ケタ着順で、差し競馬を試みたり、名古屋競馬場の地方交流戦に足を伸ばして初めてのダート戦に挑んだりしていたものの、全く結果らしい結果は出せていなかった。

この馬に限らず、繊細な競走馬、特に牝馬の場合、何かのきっかけで急にレースで走る意欲が見られなくなって不振に陥る、というケースはままある。

どこも故障はしていないし、カイバ食いも良い、調教では普段通りしっかり走って良いタイムを記録している、それにもかかわらず、レースになるとスタート直後に他の馬を追いかけていかずにポツンと離されたところから追いかける形になってしまったり、好位置で走っていても直線で急に走るのをやめてしまったり・・・。

そして、多くの場合、その原因は人間がコントロールすることの難しいメンタル的なもの、と言われており、ひとたびそのサイクルに陥ってしまうと、以後、再び良い時の走りを取り戻すことができないまま引退していく馬も決して少なくない。

だから、自分だけでなく多くのファンが、2年前の秋のGⅠでの激走以来15戦、まともに勝負に絡むことめていなかったラブカンプーをそういうカテゴリーに属する馬として眺めていたはずだし、いくらハンデが出走馬中もっとも軽い「51キロ」だったからといっても*8、この日単勝馬券を買っていたのは「本当にこの馬が好きで好きでたまらない」というコアなファンくらいしかいなかったんじゃないかと思う。

だがそこで彼女は勝った。

それも、彼女の一番良い時の、ポンと出て必死で逃げてそのまま根性で粘り切る、という勝ち方で・・・

強いて「復活」のきっかけになったものを探そうと思えば、いろいろと出てくるのかもしれない。

前走から着用していたブリンカーの効果*9だとか、あるいはその前走、駆け引き不要の新潟直線1000mでスタートのタッチが柔らかく最後までしっかり追ってくれる藤田菜七子騎手が乗って7着に入ったことがきっかけ、だとか、あるいはやっぱり昨年の最多勝新人、斎藤騎手とのコンビが良かったんでしょう*10・・・などなど。

でも、どんな理由を付けてもそれは所詮ただの後付けでしかないような気がする。

そして、今日の結果から言える唯一のことは、

ずっと真摯に走り続けていれば、突然、重賞の舞台で勝てることだってあるんだよ。」

ということなのかな、と。

もちろん、彼女が既に2勝を挙げ、重賞、GⅠ2着の実績も残していたからこそ今日のこのレースに出走できた、という事実を捨象することはできないのだけど*11、ともすれば「同じ土俵で戦える資格はあるのに、そこで勝負しない諦め境地の傍観者」になってしまいがちな我ら人間にとっても、実に刺激的な勝利だったなぁ、ということは、蛇足ながら最後に付け加えておくことにしたい。

どんな時代でも、競馬は、人生の映し鏡だから・・・。

*1:4年に一度のお祭り、ということで、候補者名簿の中に「懐かしいお名前」が並んでいたことは確かだが、結局誰一人”復活”することなく、圧倒的な人気を誇る現職の前に敗れ去ってしまったのだから、わざわざエントリーを立てるほどのものでもない。

*2:自分にはその頃のイメージが未だに染みついていたので、(季節が変わったことにはさすがに慣れてきたが)GⅢのハンデ戦、と言われても、未だにピンと来なかったりする・・・。

*3:重なった春の椿事。 - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~参照。

*4:結局、中団に控えるも良いところなく12着、という結果に終わってしまった。

*5:ゴール前の坂がキツイコースと、湿った馬場への相性が今一つだろう、ということで自分は外したが。

*6:【スプリンターズS】ラブカンプー森田師「何をされても最後まで一生懸命走ってくれます」/ねぇさんのトレセン密着 | 競馬ニュース - netkeiba.comの記事など参照。

*7:最後の京阪杯だけが辛うじて18頭立ての9着だったが、それ以外のレースは2桁でも特に「大きな数字」の結果に終わっていた。

*8:GⅠで2着にまで入っている馬にこのハンデ、というのも、普通ならなかなかあり得ないことではある。

*9:もっとも、これは一度2019年高松宮記念で使って効果が出なかった、とされていたものでもある。

*10:もっとも斎藤騎手自身は今年決してここまでの調子は良くなく、同期の岩田望来騎手や団野大成騎手に大きく水をあけられていた状況だった。岩田望騎手が病気で乗り替わりとなり、団野騎手が不運な落馬事故で重傷を負った週に、斎藤騎手が久々に話題をさらうような重賞制覇を成し遂げた、というのは、運命のいたずらにしてはあまりに・・・という気はするが、彼自身には全く罪はないし、腕も品格もある騎手なのは間違いないところなので、これをきっかけに後半戦再びブレイクしてくれることを願っている。

*11:そもそも5歳になっても現役競走馬として走ることができている、という事実自体がこの世界では一種、エリートの証だったりもする。もちろんずば抜けた存在の馬は”アーリーリタイア”してさっさと種牡馬なり繁殖牝馬なりに上がってしまうし、一定の歳を超えても走り続けていると逆に同情を集める”かわいそうな”存在になってしまうのが、この世界の難しいところではあるのだが・・・。

最近の法律雑誌より~ジュリスト2020年7月号

このブログでも長らく連日連夜「緊急特番」みたいな状況が続いていたのだけど、さすがにそろそろじっくりと法律雑誌を読めるような日常に近づけていきたいな、ということで、久々にこのざっくりとした標題を付けてみたり。

ジュリスト 2020年 07 月号 [雑誌]

ジュリスト 2020年 07 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2020/06/25
  • メディア: 雑誌

確かこのエントリーの場合、記事構成パターンの約束事も決めていたはずだったのだけど、それを思い出すのも一苦労・・・という状況ながら、それでも何とか書いてみた。

特集 これからの企業結合規制

この特集の見出しを拝見して、そういえば、昨年末くらいには「デジタルプラットフォーマー」をめぐる議論の文脈でも「企業結合ガイドライン」が話題になっていたなぁ・・・という記憶が何とか蘇ってきた。

冒頭*1で書かれているとおり、この企画自体はまさにタイムリーに、かつ、より範囲を広げて、「主に平成31年/令和元年において企業結合規制に関し大いに議論された諸問題を確認し、それぞれの問題に即して骨太の将来展望を行おうとするもの」だし、それに続いて、

「いずれの論題も、新型コロナウイルス感染症の問題が生じても色褪せない、重要なテーマである。」(14頁、強調筆者、以下同じ)

と、きちんと釘を刺されてしまっていることで、目先の流行の話題に飛びつきがちな自分としては、まったくもって申し訳ございません・・・というほかない*2

掲載されている論文は、帰山雄介「垂直型企業結合と混合型企業結合の審査基準」*3池田毅「デジタルビジネスにおける企業結合規制」*4中野雄介「スタートアップ企業の買収と企業結合規制」*5川合弘造「乗合バス・地域銀行の企業結合の特例措置」*6で、いずれもここ1、2年のガイドラインや法令等の見直し議論の概要を紹介しつつ、執筆者独自の「展望」も随所に示されており、いずれも今後の動きを見通す上での資料価値は高いといえるだろう。

そんな中、特に自分が面白いな、と思ったのは、公取委による企業結合審査が難航した状況を踏まえ、一部の分野について独禁法の規定の適用から除外する「特例法」*7について川合弁護士が書かれた以下の評価である。

「乗合バス事業者や地域銀行は、収支状況が悪化する中でも、企業結合に必ずしも積極的であった訳ではない。むしろ、公取委による企業結合審査が問題とはなりそうもない事案についても、主務官庁による経営統合等による経営改善の働きかけに対して、公取委による企業結合審査を口実にするなどして、消極的であったものも多いとも仄聞する。その意味で、この特例法は、こうした地域企業による経営を、主務官庁主導で、言い換えると公取委による企業結合審査の困難を言い訳にさせずに、推進していくためのものと位置付けることもできる。」(40頁)

言われてみればなるほど・・・という見方だし、最近の様々な立法の動き*8ともラップするところがあって、非常に興味深かった。

そして最後に、この特例法ができたことで、主務官庁の介入が「私企業による自由な経営判断による事業方針の決定を阻害するおそれ」もあることを指摘しつつ(42頁)、

「特例法は、民間企業の経営者であれば、足元の市場環境だけではなく、近未来に確実に悪化することが想定される事業環境に備えて、会社を守るために企業結合を行うという当然の決断を尊重せず、足元の市場環境での競争制限(あるいは需要者の選択肢の制限)が生じるかを特に重視する審査姿勢をとってきた公取委の伝統的な企業結合審査に対する政治からの回答であったことを忘れてはならない。」(42頁)

と指摘し、公取委の考え方の変容をも促しておられる点は、まさにこれから(コロナの直撃が一息ついた頃に)「先を見据えた業界再編/業界横断的再編」が次々となされることが予想される中で、重要なポイントとなってくるのではないかと思うところである。

新連載 パンデミックと法実務

続いて、こちらは今号から始まった時宜にかなった新連載。初回は後藤元「パンデミックにおけるCSRとソフトロー」*9、山野目章夫「不動産賃貸借」*10という実に豪華な二本立ての構成になっているのだが、特に、後藤教授の論稿にはいろいろ刺激的な問題提起が多かった。

「Ⅱ.パンデミック下での営業の自粛と取締役の義務」という章では、「1.営業を自粛することが取締役の義務違反になるか」という問いと「2.営業を自粛しないことが取締役の義務違反となるか」という問いを立てた上で、前者については取締役の裁量に委ねられるため原則として会社に対する義務違反に問われることはない、としつつも、

「営業を自粛した結果、資金のショート等によって会社が倒産してしまった場合には、営業の自粛による長期的な利益を会社が享受することはできなくなる。このような事態に至る可能性が非常に高いと取締役が判断しているにもかかわらず、その状態で営業を自粛することは、取締役の会社に対する義務に違反する可能性が存在する。」(46頁)

と、なかなか背筋が寒くなるようなことを書かれている(笑)*11

また後者に関しては、より厳しく「営業継続の決定に関与した取締役が会社に対する任務懈怠責任を追及される可能性」や、追加融資や不祥事発覚後に取締役に認められる裁量の幅を狭く解する裁判例に触れつつ、

「感染リスクが一定以上に高まり、法令上の根拠に基づく休業要請が出されている場合などにおいては、取締役が取るべき行動はある程度固まっているとして、取締役に認められる裁量の幅が限定される可能性があろう。」(47頁)

と、より厳しい解釈の可能性も示唆されている。

本稿の最後で「休業指示等に応じない事業者の名称を公表する」という対応に関し、これを一種の「ソフトロー的手法」であるとして一定の評価を与えていることも含め(49頁)、いろいろと議論を呼びそうな論稿でもあるだけに、この先も注目しておきたいところである。

時論  橋本阿友子「音楽教室裁判にみる著作権法の問題点」*12

さて、最後に、東京地裁令和2年2月28日判決*13に関し、かなりのボリュームで書かれた解説記事もご紹介しておくことにしたい。

ここで橋本弁護士が分析の対象とされているのは、もっぱら裁判所が「利用主体」論と「公衆」要件該当性に関して示した判断の部分に限られているが*14、そこに向けられた指摘にはなかなか手厳しいものがある。

「利用主体を、物理的行為者と同視し得るほどの密接な関係のない者にまで拡張するのであれば説得的な根拠が求められるところ、本判決が管理・支配性及び利益性に着目する根拠は必ずしも明らかではない。」(81~82頁)

「そもそも、教師の演奏につき、音楽教室事業者との密接な支配関係によりその利用主体を音楽教室事業者と考えることが可能な本事案において、生徒の演奏にまで利用主体を音楽教室事業者と評価すべき価値判断はどこから生じているのだろうか。教師の演奏と生徒の演奏は区別して判断すべきであったと考える。」
「確たる証拠も適示しないままに大手音楽教室の実態につき他の音楽教室事業者に推認を及ぼし、あらゆる音楽教室について広く生徒の演奏の利用主体を音楽教室事業者と評価したことにも疑問が大きい。」(82頁)

「自分が自分のために演奏する行為を公衆に対する演奏と評価することは、据わりが悪い。この不自然さは、利用主体を規範的にみたことに起因するもので、そもそも生徒の演奏の利用主体を音楽教室事業者と評価することに無理があったのではないかと考える。」(83頁)

音楽の世界でのバックグラウンドを持つ弁護士が書かれているだけに、「本判決では音楽教室の実態を『正しく』反映していない部分があるように思われる。」(84頁)というコメントにも重みがある。

そしてこの論稿の最後に書かれた

控訴審では、従来の最高裁判例を引用するだけではなく、事実に即した、権利保護と自由な利用のバランスが適正に図られた判決を期待したい。」(84頁)

という点については、自分も大いに共感している、ということも改めて申し添えておきたい。

*1:白石忠志「特集にあたって」ジュリスト1547号14頁(2020年)

*2:強いて言い訳をするとしたら、昨今の新型コロナ禍の影響で今後しばらくは各国独禁当局が申請企業とがっぷり四つでにらみ合うような「攻めのM&A」の機会が激減するのは間違いないと言われており、当面はいわゆる「救済合併系」の案件にシフトすることが予想されるため、これまでの議論の前提も大きく変わってくる可能性があり、「コロナ前」にはなかなか頭が切り替わらず・・・といった類の話になるだろうか。もちろんこれはただの言い訳に過ぎない。

*3:ジュリスト1547号17頁。

*4:ジュリスト1547号23頁。

*5:ジュリスト1547号30頁。

*6:ジュリスト1547号36頁。

*7:「地域における一般乗合旅客自動車運送事業及び銀行業に係る基盤的なサービスの提供の維持を図るための私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例に関する法律」、2020年5月20日に可決成立している。

*8:どう見ても解釈上、その法律が物事を進める際の障害となっているとは考えにくいのに、それを理由として物事を進めようとしない人が多いことにいら立って「えいや」と法律ごと変えようとしてしまうような動き。

*9:ジュリスト1547号44頁。

*10:ジュリスト1547号50頁。

*11:一般論として、CSRの観点からの行為に全て取締役の裁量が認められるわけではない、という点については自分も全く同意見なのだが、今般の新型コロナに関しては、2.でも書かれているとおり、営業を継続することによって感染拡大を引き起こすリスクがかなりの確率で存在する以上、よほどのことがない限り、「自主的な営業中止」によって取締役が責任を負うことはない、というべきではないか、と自分は思っている。

*12:ジュリスト1547号79頁。

*13:当ブログでの紹介記事はこれが法解釈の限界なのか?~音楽教室 vs JASRAC 東京地裁判決に接して - 企業法務戦士の雑感 ~Season2~である。

*14:「聞かせる目的」による演奏かどうか、という論点にも少し言及されているが、この点については「(原告が)本判決の指摘に対し説得力に反論するのは困難」という評価となっている(83頁)。

7月の洗礼。

月が変わって愛用している某航空会社のカレンダーをめくり、「何となく華やかな写真だな・・・」と暫しぼんやり眺めてから、ハッと気づいた。

その写真は、夜空に鮮やかに浮かぶ大輪の花火、そして輪の数は5つ。

そういえば今月は、新型コロナウイルスが猛威を振るってさえいなければ、2度目の東京五輪が始まるはずの月だったのだ。

ただの名残となってしまった月終盤の「休日」を示す赤い数字の不自然な並びを見ながら、「いや、でも、祝日になっているからには、このカレンダーどおりに絶対休んでやる!」と心に決め、張り切って活動を開始したのは朝のこと。

だが、そんなふうにリフレッシュされた気持ちは、外に出てコンビニで買い物した瞬間に一気に萎えた・・・。

「キャッシュレス・消費者還元事業終了」

と、

「レジ袋有料化」

のダブルパンチ。

これまで480円台くらいで買えていたコンビニ弁当が一気に500円台に突入する。頭の中では分かってはいたけど、いざレジで数字を見ると脱力感は半端ではない。

元々、自分は日常経費に対しては、「塵はどれだけ積もってもただの塵」というスタンスで、日常的なものは自分の通る経路で目に付いた時に買えばよい、こっちのスーパーが10円安いとか、今日は特売だからどうこう、なんてことは関係ない、という主義で長年やってきているから*1、ビニール袋でたかだか3円コスト増になったくらいでとやかく言うつもりはない。

ただ、よりによって、この、消費の落ち込みが懸念されている時期に、しかも、それまで(電子マネーユーザーにしてみれば)何もしなくても一定割合値引きされるのが常態化していた状況から一気にこんな施策を予定どおり突っ込むとは、「コンビニ潰しか?」と言われても仕方ないようなところはやっぱりある。

「何言ってるんだ、地球環境のこと考えろよ。エコバッグ持ち歩け!」という突っ込みも当然あるのだろうけど、雑貨やお菓子ならともかく、レジ裏で温めてもらった弁当を「エコバッグ」に入れて持ち帰る、という発想は全く自分にはないから、せめて弁当の袋だけでも無償に戻してくれないものか、と思わずにはいられない*2

そして、一匹の、しかも極めて凶暴なウサギにまだまだ手こずっている中で、二匹目、三匹目のウサギまで同時に追いかけようとするような政策をぶつけてくる、というのは、いかにそれぞれの役所がそれぞれの役割を持っていて、しかも、自分たちが一度決めたことはよほどのことがないと変えられないのだとしても、やっぱりちょっと無謀じゃないか、と思わずにはいられなかった。

消費税の税率が上がった時と同じで、この手の話は多くの人々が慣れてくると、さほど大きな抵抗を受けることなく社会に浸透していくことになるし、今は直感的に「高い!」と思う今日の価格も、いずれ時が経てば「本来の値段」として多くの消費者、取引先の頭の中に刷り込まれていくことになるのだろうけど、どんなに社会的な意義がある施策でもタイミングを間違えるとねぇ・・・と思うところはあるだけに、今はこの「7月の洗礼」を苦々しく眺めている、ということを申し上げて、このエントリーの締めとしたい。

*1:もちろんこれは「無駄遣いのススメ」ではなく、お金を貯めるなら「大きな無駄」を減らすことにとにかく注力すべき、という発想の裏返しだったりもするのだが。

*2:工夫好きの日本人なら、いずれ、弁当の容器そのものを持ち歩き用のスタイルに変える、といったアイデアが出てきても不思議ではないのだが、そこで対応にもたつくようだと、小売産業の勢力図も一気に変わってくるることだろう・・・。

2020年6月のまとめ

一年の半分が終わった。

・・・といっても、その半分以上は事実上「緊急事態」の下で過ごしていたようなものだったから、何だかピンとこないところはあるのだが、それでも暦の上ではJUNEが終わり、カレンダーをめくればもうすっかり真夏のムード、というのが現実だったりする。

そして、どんな時でも何があっても”大概忙しい6月”のジンクスは今年も健在、ちょうどあちこちで動き出した様々な波にも乗っかる形になって、月末に「あっという間に終わってしまったなぁ・・・」という毎度の感慨が再び湧いてきたのも、まぁ世の中にとっては良いことなのだろう*1

そんなわけで、ブログの方も更新できたのは月の半分くらいの日数しかなかったのだが、旬のネタにタイムリーに飛びつけた(?)こともあってか、ページビューは”大バズーカ”エントリー*2があった昨年をも超える約31,000強、PVの数字で見ればピークだった8年前以来の水準を回復することができた。

セッションも21,000弱、ユーザー数は12,000強。

今年は、いろいろとご縁をいただいたこともあって、今月も定時株主総会絡みのエントリーがかなり多かったのだが、多くの会社で全てが終わった今週になって「拝見してました!」というお声かけをちらほらいただいていて本当にありがたい限りだし、ストレートに書き殴ったようなエントリーでも思いを共有していただける方がいらっしゃる、というのは、素直に嬉しかったりもする。

気付けばTwitterのフォロワーも3,000を超え、1年前の倍近くに達していたりもするから、のどかにやっていた頃を思うと、少々遠くまで来てしまったかな、と思うこともしばしば。でも、立場は変わっても変わらないものは変わらないのだ、ということで、長年の読者の皆様には、引き続きお付き合いいただければ幸いである。

<ユーザー別市区町村(6月)>
1.→ 横浜市 1865
2.→ 大阪市 1091
3.→ 港区 872
4.→ 新宿区 727
5.↑ 千代田区 621
6.↓ 世田谷区 593
7.→ 名古屋市 411
8.→ 中央区 295
9.→ 渋谷区 281
10.→ 江東区 256

さすがにSTAY HOMEから、会社なり、事務所なりに復帰された方が多いのか、今月は大阪市、港区、新宿区あたりの伸びが目立っており、それには及ばないながら千代田区もじわりと戻す、ただ、まだまだ住宅街からのアクセスも決して激減りしてはいない、という人口流動データと同じような動きになっているのが何とも興味深い限り。

そして検索アナリティクスは以下のとおり。

<検索アナリティクス(6月分) 合計クリック数 2,358回>
1.→ 企業法務戦士 201
2.↑ 企業法務戦士の雑感 62
3.↑ 取扱説明書 著作権 41
4.→ 法務部 弁護士 29
5.↑ 企業法務 23
6.↓ 東京スタイル 高野 20
7.↑ 矢井田瞳 椎名林檎 15
8.→ 高野義雄 14
9.↓ 企業法務 ブログ 12
10.圏外 弁護士バー 12

Twitter上のインプレッション数がもっとも大きかったのは、当然、というべきか、やはりこちらの記事(インプレッション数27,090)だった。

k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

ハンコか電子署名か、それとも何もいらないか、という論争はこれからもしばらく続くだろうし、「オフィスに行けない」という制約がなくなってからが本当の勝負、というところもあるような気はする*3


・・・ということで、「COVID-19の春」は終わったが、季節が変わってもまだまだ「COVID-19の夏」は続く。

自分自身はライフスタイルにも仕事にもさして大きな変化はなく、時代に乗り遅れているのか、あるいは、少し先を行き過ぎていたのかよく分からない状況ではあるのだが、できることなら、新しい月は、以前にもまして減った移動と対面の打合せから解放されたことで手に入れた時間を生かし、時には本をじっくり一冊、二冊読めるような、そんな「生活様式」を定着させられることをひそかに願っている。

*1:自分にとっては、月の半分を海外のバカンス旅行に充てられた1年前の方が遥かに幸福感は高かったのだが、今そんなことを言っても仕方ない。仮にぽっかりスケジュールが空いたところで、海外はおろか、日本国内を迂闊に動き回ることさえままならない状況なのだから・・・。

*2:いわゆる”願いを叶える会社”のネタだった。

*3:これは「電子契約」というミクロな世界の話にとどまらず、リモートワークそれ自体がどこまで世の中に不可逆的に定着するか、ということともかかわる話だといえるだろう。様々な意見はあるだろうが、「望むと望まざると、決められたオフィスに平日毎日8時間以上もいなければならない」という時代からは解放されるべきだと思うし、どこかでそこに引き戻そうとする有形無形の力が働いているのだとしたら、それには全力で抗する、というのが、今この時代に「働く」という使命を託された者の使命だと思っている。自分がそれを好むかどうか以前に、いずれめぐってくる「次」の世代の人々の選択肢を増やすため、それは必要なことだと思うのである。

もっとも成功した「DX」事例と、それでも戻ってきてほしい「リアル」

「無観客」に突入して以降のJRAの健闘ぶりを見て、

「これこそが真のデジタルトランスフォーメーションだ、皆の衆、見習え!」

という趣旨のことを書いたのは、ちょうど2週間くらい前のことだったか*1

そして、5月の2週目くらいからずっと続いてきた「売上前年比プラス」の勢いは、上半期の最後の開催日まで全く衰えることはなかった。

news.yahoo.co.jp

今、ポジティブなトーンで報じても読者にはあまり喜ばれないから、なのか、見出しでは「G1では91%」という数字の方がむしろ目立ってしまう(正確には91.5%)のだが、「売得金は前年上回る」という事実は、「前年比101・5%」という数字が完膚なきまでに証明しているし、それを「入場人員前年比26・8%」、競馬場はもちろん、全国のWINSの発売窓口等、いわゆる”リアル”の販売チャンネルはすべて閉めている(したがって、開けていた時に比べればコストも大幅に削減されている)、という状況で達成しているところがとにかくすごい。

「一生に一度の記念馬券」層がいなくなるGⅠレースだけはどうしても「リアル」に比べて分が悪い、という状況も長らく続いてはいたのだが、先の週末は、とうとう夏のグランプリレース・宝塚記念で、前年を10億円以上上回る対前年比105.5%という売り上げを記録し、名実ともにデジタル路線の完全勝利となった。

もちろん、今の状況はあくまで「非常時対応」。

いずれ夏競馬が佳境に差し掛かる頃には、おそるおそる観客を場内に引き戻し、秋のGⅠシーズンを迎える頃には、「競馬場に行こう!」と呼びかける騒々しいCMが再び流れることにはなるのだろうが、そこでもまた、この一連のコロナ禍の間に開拓した新たなファン層の存在が効いてくることになるだろうから、JRAの関係者ならずとも通年の売得金がどこまで伸びるか、楽しみで仕方なかったりもする*2

これまた繰り返しになってしまうが、電話投票や、インターネット草創期の試行錯誤を経て、長年着実に投資を行ってきた結果が今ここに結実している、という歴史に敬意のまなざしを向けることも含め、この成功事例から学ぶべきことは本当に多い、と思う次第である。

雨上がりの阪神競馬場からロンシャンへと続く道が途切れることのないように。

ということで、リアルな日常が戻ってこようがこまいが、馬が走り続ける限り経営基盤は盤石、というのが今の中央競馬の状況だと思われるのだが、昨日の宝塚記念は、

「やっぱり早く平時に戻ってほしいかな」

と思わせるに十分すぎるレースだった。

前日になっても天候がどう転ぶか読めなかった週末。稍重で始まった芝コースは、午後には「良」馬場に回復し、多少の”重さ”は感じさせつつも、不良馬場続きの東京に比べればまだマシ、という印象になっていたのだが、突如として振り出した雨が状況を一気に変える。

公式発表されたメインレースの馬場状態は「稍重」。だが、トーセンスーリヤが引っ張り、見た目的には「超スロー」とは到底言えないような展開でも1000mの通過は60秒ジャスト。

有力視されていた1番人気・サートゥルナーリアは、こればっかりは「馬場のせい」にしても怒られないだろう、というもたつきを見せて「超重馬場巧者」のメイショウテンゲンにクビ差まで迫られる4着に撃沈したし、その一つ前の着順の伏兵(12番人気)モズベッロ*3が勝ち馬に付けられた差も実に11馬身で、勝ち負けレベルの勝負には全くならない。

さらにその前で、荒れ馬場巧者のイメージそのままに、必死で追いすがって復活を遂げたキセキですら、勝ち馬との差は最後まで縮めることができず6馬身差、タイムに至っては同日同距離の3歳上1勝クラスの勝ち馬にすら及ばない、という惨状・・・。

それだけ過酷なレースだったからこそ、この明らかに重そうな馬場で、ただ一頭、普段通りの力を発揮し、地を這うようなしぶとい脚で後続をぶっちぎった4歳牝馬クロノジェネシスの勝利には。実に大きな価値があったといえる。

そして、この勝利は、どんなに好天が続いていても地元馬向けのサービス(?)でレース前に馬場に水をまかれ、「馬場が違い過ぎて力を発揮できなかった」というコメントを並べて討ち死にする日本からの遠征馬を眺めるしかなかった「凱旋門賞」の歴史をも大きく変える可能性を秘めたものだったように思えてならない。

何といっても、この勝ち馬の父親は、2004年の凱旋門賞馬、バゴなのだ。

ジャパンカップを最後に引退し、日本で種牡馬になった初年度から菊花賞馬を輩出したものの、その後はなかなか目立った産駒を出せずにいたこの父がようやく送り出したミスプロ4×4の血を持つ新・最強牝馬

何とか海を超えてスタートゲートにさえ辿り着くことができれば、五分以上の勝負はできる!!という思いを久々に抱かせてくれる馬だけに、こういう時だけは前言を翻して、関係者の現地への往来に支障がなくなり安心してレースに備えた調整ができる、そんな日常が早く戻ってきてほしい、と願わずにはいられない。

たとえ応援する側にとっては、テレビ越しでしか見ることができない今の週末と変わりない状況だったとしても、ある程度の「リアル」が戻ってこないと実現しないものはやっぱりあると思うから、普段はバーチャルな世界に浸りつつも、ほんの少しの正常化に期待を込めてみたくもなるのである、・・・*4

*1:k-houmu-sensi2005.hatenablog.com

*2:ちなみに、一度ネット投票の快適さを味わってしまった人間が「券売機の前に並ぶ」という世界に戻るのは非常に難しく、自分も先日のエントリーで書いた通り、どうしても買いたい記念馬券がある時以外はWINSに足を運ぶことがなくなって久しい。だから、もしかしたら、よほどの注目馬が現れない限り競馬場やWINSがかつてのような賑わいを取り戻すことはないのかもしれないが、それでも主催者は堅実に売り上げをキープできるし、優雅に観戦を楽しめるようになることで来場者の満足度も上がるのだから、以前の光景を惜しむのは筋違いというべきだろう(もちろん、新聞を売る方々や場内食堂で働く方々、窓口でアルバイトをする方々など、経済的ダメージを受ける方々が一定数いることも否定はしないが、全体を見ればそれでもなおポジティブなインパクトの方が大きかったと自分は思っている。

*3:父馬が道悪の鬼血統・ディーププリランテだったことに気づいたのはゴール後、馬柱を見返したときだった・・・。

*4:今年に関しては凱旋門賞の登録がないため出走は現実的ではなく、出るとしても来年では?という見通しを示すメディアもあったりするのだが、できることなら狙えるものは一番良いタイミングで狙ってほしいな、と思わずにはいられないのである。

掛け違えられたボタンの「直し方」への素朴な疑問。

土曜日の夜、日経の電子版に載った記事を見て、思わず「ん?」と首をひねりたくなってしまった。

見出しからして、知財活用で「新興いじめ」 大企業、無償要求や情報流出」だから、全く穏やかではない。

そして記事の本文に踏み込むと、書き出しからして、

大企業によるスタートアップ企業の知的財産やノウハウの不当な利用が横行している。」
日本経済新聞電子版2020年6月27日22時00分配信、強調筆者、以下同じ)

だからますます穏やかではない。

読み進めると、

公正取引委員会の調査ではスタートアップの15%が「納得できない行為」を経験し、うち75%が受け入れざるを得なかったという。スタートアップによる技術革新を妨げる恐れがあり、政府はトラブルを未然に防ぐ契約方法を示すなど対応を進める。」(同上)

ということで、ここで再び最近のトレンドとなっている「お上による契約ひな型の作成」が始まりそうな気配になっているのであるが・・・。

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