独禁

寝た子を起こしてしまった東電値上げ騒動。

先日、いろいろと問題点を指摘した東京電力の値上げ問題だが*1、約款取引に関する問題点だけでなく、独禁法上の問題にまで踏み込んだ議論が広まっていく気配を見せている。 「川口商工会議所(埼玉県川口市、児玉洋介会頭)は11日、東京電力が独占禁止法に違…

“攻め”だけではなかったJASRACの持ち味。

日本音楽著作権協会(JASRAC)と言えば、泣く子も黙る音楽著作権業界の“権利執行人”だが、そんなJASRACが一転して守勢に追い込まれたのが、 「『包括利用券許諾契約』に係る新規参入妨害(私的独占)疑惑」 である。遡ること4年前、公取委が立ち入り調査に踏…

公取委の一大キャンペーン

事前相談なしの大胆な統合発表*1から、はや10ヶ月。 その後の企業結合に関する審査指針の改訂*2もあって、進捗に注目が集まっていた新日鉄・住友金属の合併計画だが、公取委は実に華々しく、記者会見まで開いて「審査結果」を公表した。 「新日本製鐵株式会…

グリーのしたたかな戦略

以前から当ブログでも取り上げてきたDeNA対グリーの果てしなき闘争*1だが、遂にグリー側から正式に訴訟提起のリリースがなされた。 「交流サイト(SNS)大手、ディー・エヌ・エー(DeNA)が取引先のゲーム開発会社に対し、他のSNSにゲームを提供しないよう圧…

独禁法が「武器」であることを再認識させられるニュース

昨年の立ち入り調査、そして今年6月の排除措置命令、と、業界の“仁義なき戦い”を象徴するような話題として取り上げられてきた「DeNAのグリーに対する取引妨害」事件*1が、ここに来てまた新たな展開を見せようとしている。 「交流サイト(SNS)大手、ディー・…

「事業統合」報道に思うこと。

8月4日付けの日本経済新聞朝刊の1面に、 「日立製作所と三菱重工業が経営統合に向けた協議を始めることに基本合意した」 というオドロオドロしい見出しが躍った。中身を読むと、まだそんなに話は煮詰まっていないような印象を受けるが、それでも、今後、「両…

「企業結合規制見直し」に一つの決着。

3月の上旬からパブコメの募集が行われていた企業結合に関する新たな審査指針(案)。 震災を挟んだこともあって、どのタイミングで実施に踏み切るか、注目していたのだが、公取委は当初の工程案をほぼ維持したまま、改訂に踏み切ることにしたらしい(新しい…

仁義なき“囲い込み合戦”の末に。

ここ1、2年の間に、一気に拡大した携帯電話向けソーシャルゲーム市場で、激しくしのぎを削ってきたDeNAとGREE。自分が携帯でやるゲームは、買い切り、追加出費なしで楽しめるような代物だけで、アイテムだ何だとで金がかかるようなものには基本的に…

公取委の微妙なQ&A

数日前、本ブログで取り上げていた「輪番操業が独占禁止法違反になるか?」という問題に対し*1、公正取引委員会が一つの見解を示した。 「公正取引委員会の山本和史事務総長は6日の記者会見で、産業界が夏の電力不足に対応し、業界ごとに操業日をずらす「輪…

輪番操業は「カルテル」なのか?

震災と原発事故の影響で、夏場の電力不足が懸念される今日この頃。 そんな中、日経紙の1面に「節電促進へ規制緩和」という見出しの記事が掲載された。中身は「企業が節電策を実施しやすいよう競争、環境、労働に関する規制を特例的に緩和する調整に入った」…

プロ野球の応援をする権利?

1ヶ月遅れで最高裁HPの下級審裁判例集で取り上げられた判決がなかなか面白いので、ここで紹介しておくことにしたい。先日の「ファウルボール負傷事件」*1に続き、最近、“プロ野球の法律問題”づいているところであるが、本件は「観戦する権利」をめぐって争わ…

企業結合審査手続&審査基準の見直し案

先日、日経紙の報道を受けて当ブログでも紹介していた*1、企業結合審査制度の見直しだが、公取委が早々と見直し案をまとめ、パブリックコメントにかけることになった。題して「企業結合規制(審査手続及び審査基準)の見直し案に対する意見募集について」。 …

「事前審査」制度廃止の意味

まったりとした土曜日、朝刊の1面にいきなりドカン、と載っていて、ちょっと驚かされた。 「公正取引委員会が実施する合併審査改革の内容が18日、明らかになった。審査期間が長引く一因とされる事前相談制度を廃止して、届け出後の法定審査に一本化する。審…

鉄は公取委よりも強い?

4日付の日経新聞の1面を飾った「新日鉄・住金合併」という一大ニュース。合併により世界2位に躍り出る、というスケールの大きさもさることながら、自分が一番驚いたのが、これだけの規模の企業再編マターであるにもかかわらず、 「公取委への相談一切なし」 …

知的財産権と独禁法の交錯領域

小さい記事だったので、思わず読み飛ばすところだったが、日経紙の社会面の片隅の方に興味深いニュースが載っている。 「群馬県の要請を受けて県内業者が開発した道路用の特殊な側溝「GBX側溝」を巡り、コンクリート製造業者ら16社でつくる事業協同組合「群…

公取委の困惑が透けて見えるような・・・

元々そんなに大きな問題になるとは思えない中身なのに、なぜか日経紙を中心に外野が盛り上がってしまった、ヤフー・グーグル提携問題。これまでの経緯については、 http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20100729/1280900592 http://d.hatena.ne.jp/FJneo1994/20…

ここでまた新たな展開・・・か?

今年の夏頃に話が湧きあがった、ヤフー・米グーグルの提携問題。 「クールな独禁当局と、熱くなる日経紙」 のコントラストが非常に印象的だったこの問題だが*1、なぜかここに来て、このタイミングで、国内ネット大手が議論に参入してきた。 「楽天が、ヤフー…

どこまでが本当なのか?

ヤフーとグーグルの提携問題に関し、日本の公取委があまりにあっさりとGo!サインを出したことで、いろいろと言う人も出てくるだろうなぁ、と思ったらやっぱり日経紙の法務面で特集が組まれていた*1。 「公取委「容認」は妥当?」 という、ちょっぴりセンセ…

冷静な反応の裏に垣間見えるもの

ヤフーとグーグルのインターネット検索・広告技術での提携を受け、米マイクロソフトが反発を強めている、というニュース。 確かに日本の検索市場の51%を占めるグーグルと、47%のヤフーが提携する、と聞いただけで、競争法的な問題がどこかにあるんじゃない…

一瞬にして歴史は変わる。

積年の課題とされていながら、遅々として進んでいない感のあった公取委「審判制度」の見直しだが、政権交代後とんとん拍子に話が進んだようで、これまでのスローな展開は何だったのだろう、と思ってしまうくらい、あっけなく閣議決定まで辿りついた*1。 昨年…

あれよあれよと言う間に・・・

鳩山連立政権が誕生して以降、常識人には理解できないようなエキサイティングな発言やら施策やらが次々と飛び出してきて、毎朝、新聞を見るのが楽しみで仕方ないのだが(苦笑)、この記事にはいい意味で驚かされた。 「政府は9日、企業が公正取引委員会の課…

とんだサプライズ。

エキサイティングな政策方針を矢継ぎ早に打ち出してはどん詰まっている感のある鳩山政権だが、トップダウン型の進め方にも良いところがあるのかなぁ・・・? と思わせてくれるのが、日経紙1面に掲載された↓の観測記事。 「政府は企業が公正取引委員会の行政…

「排除型私的独占」ガイドライン公表

来年1月に施行される新・独禁法で、「排除型私的独占」の行為類型が新たに課徴金の対象となることは、本ブログでも以前からご紹介してきたところであるが*1、6月の原案公表、意見募集を受けて、ついに、「排除型私的独占に係る独占禁止法上の指針」の確定版…

世界の東芝、戦う東芝。

7日付のエントリーで“ブラウン管カルテル”の話題を取り上げたばかりなのだが、立て続けに国際カルテル絡みのニュースがまた一つ。 「欧州連合(EU)の欧州委員会は7日、東芝、日立製作所、富士電機ホールディングスと欧州企業が変圧器の販売でカルテルを結…

絶妙なプレスリリース

テレビ用ブラウン管をめぐって、国際的な価格カルテルを結んだとして、公取委がパナソニックの関係会社らに対し、排除措置命令及び課徴金納付命令を出した。 公取委のプレスリリース(http://www.jftc.go.jp/pressrelease/09.october/09100703.pdf)によると…

スケープゴートになるのは誰だ?

日経紙の月曜法務面に、2010年1月に施行される「排除型私的独占」をめぐる話題が掲載されている。 「公正取引委員会が、市場から競合他社を締め出す「排除型私的独占」と呼ぶ行為を独占禁止法違反に認定するための指針作りに取り組んでいる。排除型私的独占…

カルテルとリーニエンシー。

「カルテル事件としては久々の刑事告発事件」として注目された「建材用亜鉛めっき鋼板」事件に関し、東京地裁の判決が出された。 「建材用亜鉛めっき鋼板を巡るカルテル事件で、独占禁止法違反(不当な取引制限)罪に問われた3社と、当時の営業担当幹部6被告…

「非係争条項」事例がまた一つ。

もっぱらマイクロソフトのNAP条項を素材として論じられることが多かった「知財ライセンス契約と拘束条件付取引」問題だが、新たな一事例が付加されることになりそうな気配である。 「第3世代携帯電話用の通信技術で知られる米国の携帯電話用半導体大手、クア…

グーグルなら許されるのか?

米グーグルが、これまでマイクロソフトの独壇場だったパソコン用OS市場に殴り込みをかける、というニュースが話題になっている。 記事によれば、 「インターネット検索最大手の米グーグルは7日、パソコン用の基本ソフト(OS)を開発、パソコンメーカーに無償…

公取委の“パフォーマンス”を憂う。

日経新聞夕刊の「ニュースの理由(わけ)」というコラムで、セブンイレブンに対する公取委の排除命令の話題が取り上げられている*1。 内容としては、 「加盟店が売れ残り弁当を値引きして見切り販売することを同社が制限したことについて、公取委がこうした…

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