法律

「立場」も必要性も理解はできるのだけれど・・・。

東京地検による日産のカルロス・ゴーン元会長らの起訴、そして再逮捕。 捜査手法に対するグローバル級の批判が鳴り止まない中、会見に臨んだ東京地検次席検事のコメントが報じられている。 「適正な司法審査を経て再逮捕に至ったことを理解してほしい」(日…

「平成」の時代とともに葬り去られた事件史。

金曜日、突如として飛び込んできた「麻原彰晃の死刑執行」のニュース*1。 そして、今朝の朝刊を見て、この執行が、元教祖だけでなく当時、新聞、雑誌等で名前を見かけない日がなかった元教団幹部たち6名に対しても同時に行われたことを知った。 「法務省は6…

ありがちなニッポンの反応〜GDPR“プチ”祭りに思う。

年が明けた頃はまだ知る人ぞ知る、の域を出ていなかった欧州発の「GDPR」だが、ここに来て俄然盛り上がってきた。これまでもちょこちょこと軽いジャブを打っていた日経紙は、24日の朝刊で何と1面にデカデカと「EUデータ新規制 国内企業8割が対応未了」という…

早すぎる時の流れの中で 〜7度目の「3・11」

ここ数年、3月に様々な出来事が集中していて、ブログもろくろく更新できないことが多いのだけれど、そんな中でもこの3月11日だけは必ず何か一言は残すようにしている。ついこの前のことのように思い出されるあの日から、1年、2年、3年・・・と確実に時は過ぎ…

再びの「夫婦同氏強制」違憲訴訟の行方

2015年末に「民法750条合憲」の最高裁判決が出た時は、やっぱりな、という感想しかなくて、それ以上何かどうかしなくては、などとは全く思いもしなかったのだが、ここに来て、また勇気ある人々が現れた。 「結婚時に夫婦別姓を選べない戸籍法は法の下の平等…

正月のスポーツ中継を眺めながら眺めた論文。

毎年のことだが、この時期は、様々なスポーツイベントが目白押しである。 元旦にニューイヤー駅伝とサッカーの天皇杯、2日、3日に箱根駅伝を見て、そこからしばらくは高校サッカー、ラグビー、そして最近定着した春高バレーが続き、「成人の日」までには大体…

「相続登記の義務化」は事態を解決できるのか?

債権法改正もようやく軌道に乗り、家族法改正も大詰めを迎えている中、今年に入ってから「物権法」に関わる法改正の動きが浮上している。元はと言えば、こんな狭い国なのに、土地建物が効率的に利用されていないのではないか、という問題意識に起因する話で…

施行に向けたカウントダウンの始まり。

いつになったら決まるんだろう、という思いで見守っていた人も多かったであろう改正民法の施行日が、ようやく決まった。 「政府は15日の閣議で、企業や消費者の契約ルールを定める債権関係規定(債権法)に関する改正民法を2020年4月1日に施行すると決めた…

ようやく迎えた改正民法成立の瞬間と、そこから生まれるカオス。

2015年の改正要綱決定、3月末日の法案提出から実に2年以上の時が流れ、「今国会での成立は絶望的」というフレーズが何度もリフレインされた末、ようやく「債権法改正」が名実ともに確定した。 「企業や消費者の契約ルールが民法制定以来、約120年ぶりに抜本…

3度の大震災を経て積み重ねられた知恵

先月末に発行されたジュリスト9月号の特集は「震災と企業法務」。 東の方に住んでいる者にとっては未だに震災といえば「東日本大震災」の印象が強く刻み込まれていることもあって、表紙を見た時にはなぜ今?と一瞬思ってしまったのだが、すぐに、熊本がマグ…

「ポケコイン」に法規制の網をかけることに合理性はあるのか?

「ポケモンGO」のリリース直後から話題になっていたことではあるが、遂に金融庁も表だって動き出した模様である。 「人気のスマートフォン(スマホ)向けゲーム『ポケモンGO』に出てくる『ポケコイン』と呼ばれるゲーム内通貨が、プリペイドカードと同じ資金…

原子力損害賠償制度はどこに向かうのか? 〜“中間報告”とりまとめの報に接して

2011年の「3・11」以降、長年の眠りからたたき起こされ、“生きた法律”として現在に至るまでフル活用されているのが「原子力損害の賠償に関する法律」である。 東日本大震災直後は、不法行為法の中でもかなり異色の規律が設けられている背景や、「異常に巨大…

いつか見たような騒動〜「ポケモンGO」に思うこと。

先週末に「ポケモンGO」が日本でリリースされて以降、やれ交通違反で検挙されただの、どこそこの施設管理者が申入れをしただの、挙句の果てには期待を過ぎた関連銘柄が暴落して個人投資家が翻弄されているだの、と、このゲームにまつわる話題を聞かない日は…

6年余の歳月を経て示された答えと制度の意義と。

平成22年4月、改正検察審査会法施行後初の強制起訴がなされてから6年3カ月。 事故発生の時から数えると、実に丸15年近い歳月が流れたこのタイミングで、遂に最高裁が「明石市朝霧歩道橋雑踏事故」をめぐる元明石警察署副署長の業務上過失致死傷被告事件に対…

一つの区切りと割り切れない思い。

間もなくあの大震災から5年、という歳月が流れようとしている。そして、そんなタイミングで、津波犠牲者遺族が提起した2件の訴訟が終結の時を迎えた、というニュースが小さく報じられた。 「東日本大震災の津波で犠牲になった七十七銀行女川支店(宮城県女川…

静かに成立した改正個人情報保護法。

民法改正の見送りが公になった*1翌日、個人的には、今国会でのもう一つの目玉法案だと思っていた「個人情報保護法」の改正案が無事成立した。 「匿名の個人情報を企業などに提供できるようにして商品の購入履歴などの『ビッグデータ』を経済活動に生かすよう…

見出しにもならない“民法改正”の気になる行く末。

今の国会がいろいろと落ち着かない展開になっている、ということは、ニュースを見ていれば素人でもある程度分かるし、より具体的な、「今国会では難しそうだ」という噂も耳にしてはいたのだが、それでも、実際に記事になってしまうと落胆を禁じ得ない。 「政…

民法714条の監督者責任をめぐる最高裁判決を過大評価することへのささやかな疑問

「子供が引き起こした事故で、親の監督責任が免除される基準を始めて示した」*1とされる最高裁判決が、大きな話題になっている。どこにでもありそうな一般民事事件、であるにもかかわらず、判決日が指定された時点で日経新聞が報じるなど*2、元々話題性が強…

改正民法の行く末を占う法制審総会でのやり取り。

長きにわたって議論が繰り広げられてきた債権法改正も、法制審部会での改正要綱(案)決定*1、さらに法制審総会での「改正要綱」決定(http://www.moj.go.jp/content/001136889.pdf)を経て、民法改正法案(及び施行に伴う整備法案)の閣議決定、国会提出に…

訪れた「区切り」の時〜民法改正要綱、正式決定

2009年から始まった「債権法大改正」に向けた議論が、2015年2月、ようやく区切りの時を迎えた。 「法務省が今国会に提出する債権関係分野の民法改正案が固まった。」 「法制審議会(法相の諮問機関)が24日、上川陽子法相に答申した。改正は200項目以上。債…

ようやく現れた「正しい解説」

法制審の部会で改正要綱(案)が承認され、改正法案の提出に向けて秒読み段階に入っている「債権法改正」。もっとも、「この段階になっても、一般的なメディアでは、改正の“正確な姿”を今一つ伝えられていないのではないか」という疑念はあるところで、部会…

債権法改正をめぐる相変わらずな報道。

公式の場だけでも、法制審議会に法務大臣の諮問がなされて以来、5年以上の長きにわたって続いてきた民法(債権法)改正に向けた議論が、今、ようやく終わりを迎えようとしている。 「法制審議会(法相の諮問機関)の民法部会は10日、契約ルールを定める債権…

何が守られるべきなのか〜函館市提訴の報に接して。

今年に入ってから、こういう動きがあることは大きく報じられてきていたのだが、やはりいざニュースとなると、いろんな意味で衝撃的だった。 「青森県大間町に建設中の大間原子力発電所を巡り、北海道函館市は3日、安全性に問題があるとして、国や電源開発(J…

掛け違えたままのボタン。

もう見飽きた、というか、そろそろいい加減にしてほしい、と思うような光景が、神戸地裁で再び繰り広げられた。 「兵庫県尼崎市で2005年4月、乗客106人が死亡したJR福知山線脱線事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴された井手正敬元相談役(78)らJR西日本…

岐路に立つ「強制起訴」制度

検察審査会の「起訴相当」議決に基づき、元明石警察署副署長が強制起訴されていた、明石歩道橋事故をめぐる業務上過失致死傷被告事件で、神戸地裁が「免訴」の判決を言い渡す、という異例の事態となった。 「奥田裁判長は判決で「元副署長に(事故の)予見可…

敗軍の将が兵を語ったら、こうなった。

起訴されていた幹部の刑事裁判が、全て最高裁まで行って決着がついた・・・と思った矢先に、逃亡していた信者が出頭するなど、なかなか終わりそうで終わらない「オウム事件」。そして、今度は「アレフ」の名が、久々に新聞紙面を大きく飾った。 「警視庁が公…

2012年の裁判例アーカイブ(暫定版)

例年、一年間セコセコと書いたエントリーをまとめて、「今年も一年良く頑張ったなぁ」と一人で悦に入っていたこの企画だが、今年は、正面から取り上げた裁判例があまりに少なすぎて、とてもではないが、「これで全部です」と言えるような状況ではないので、…

被害者側の方々を追い詰めないために必要なこと。

2008年の舞鶴市の高1女子殺害事件で、大阪高裁が一審判決(無期懲役)を覆し、被告人に無罪を言い渡す、という極めてインパクトの強いニュースが報じられた。この事件は、犯人性立証に資するような物的証拠が乏しく、遺体発見から被疑者逮捕、起訴に至るまで…

追徴課税の衝撃。

「国際レース」の看板を掲げながら、外国馬が1頭も走らなかった今週のジャパンカップダート*1。昔懐かし“ニホンピロ”の冠を付けた馬が堂々の勝利を飾り*2、鞍上に苦労人・酒井学騎手、とくれば、本命馬&一流ジョッキーの時とはまた異なる趣きがあるもので、…

突然の“解散”の余波。

今週、世の中を揺るがせた野田首相の「解散宣言」。 結局、予定通り、16日にめでたく“解散!”と相成ったわけだが、この急な展開が、違憲訴訟の世界にも予期せぬ事態をもたらしつつある。 「12月16日投開票の衆院選の定数配分を巡り、「1票の格差」の是正を求…

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